- 2人用
- 30分前後
- 12歳~
- 2000年~
バトルライン18toyaさんのレビュー
【お気に入り度 9/10】
ボードゲームは星の数ほどあれど、未だにこのゲームは究極の2人用ゲームの一つだと確信しています。引き運と戦略性。相手との駆け引き。そしてゲームが進む程に置きたくないのに置かなければならないと言うジレンマ。
よくクニツィアは「クニツィア・ジレンマ」という悩ましい選択を迫るゲーム創作を得意とする、と言われますがバトルラインはまさしくジレンマの塊。
ゲームのルールは簡単で、数のカード(部隊カード)が6種類の色に分かれ、それぞれの色には1〜10のカードが1枚ずつ、計60枚のカードがあります。ここから初期手札をそれぞれ7枚持ち、プレイヤーはそれぞれ1枚ずつフラッグの前にカードを置き、手札を1枚補充していきます。
場には9個のフラッグがあり、各フラッグの前に置けるカードは基本、互いに3枚ずつ。フラッグを挟んで向かい合った3枚同士で互いに役を作って比べ合い、勝った方がフラッグを取得する。このフラッグ取得はゲームの進行中に行う事となり、どちらかのプレイヤーがフラッグを取得したらそのフラッグの前にはもうカードは置けなくなります。
こうしてフラッグを取ったり取られたりしながら、最終的には過半数の5個、または隣り合う連続した3個のフラッグを獲得した方がゲームに勝つ、というものです。戦術カードというものもありますが、複雑になるのでここは割愛します。
さて、ここまでルールを読んだ上で、そんな単純なゲームの何が面白いの?読み合いとかあるの?運だけでは?と思われるかもしれませんが、実際は非常に熱くヒリつく勝負になるんです。
まず、冷静に考えて9か所のフラッグに3枚ずつ全て置けたと仮定すると自分は27枚置くわけです。しかし手元には7枚、そして割と色や数字がバラバラ 笑 しかし、それでもカードを毎ラウンド置いていかなければならないので、ここはウェッジ(ロイヤルストレート、最強の役)まで育てたいな、とか、ここはファランクス(スリーカード、2番目に強い役)かな、とか思いながら置いていく。しかし、置いて補充を繰り返す中で思うように役を作れそうなところもあれば、作れなそうなところも出てくる。でも、もう少し待てば引けるかもしれない。そう思うと、ああまだここには置きたくない…もう少し待ちたい…という盤面も出てくるわけです。
フラッグ9個というと多いように思いますが、カードを1枚置くだけで数字によって強さの相場は何となく決まり、2枚目に置いたカードの色と数字でそのフラッグの自分の役というものはほぼ方向性が決まる。1番強いウェッジを狙っているのか、それとも2番目に強いファランクスを狙っているのかが相手からも見えるし、自分でも引き返す事は出来なくなる。そうなると、例えば相手が何も置いてないのに先に2枚目まで置いて「ここは10のファランクスですよー」と自白してしまうと1、2、3のウェッジで軽くいなされてフラッグを取られてしまうかもしれない。そんな訳で、なるべくこちらは手の内を見せたくない。相手に先に方向性を決めさせたい。でも相手だって同じです。こうして「お前が先に役を決めろよ、見せてみろ」「いやいやお前が」とジリジリしたジャブの撃ち合いが続く訳です。「一番待ち受けが広いのは何も置いていない時」ですからね。なるべく置きたくないんです。
更に置きたくなさに拍車をかけるのが「手札から1枚置いた後に補充する」という仕組み。これによって「ああーこれ引くんなら今ここに置かなかったのに」と血の涙を流した事は数知れず 笑
また、勝敗が確定したフラッグの前には一切カードが置けなくなるルールも厳しい。このゲームでは「証明勝利」により両方がカードを3枚置いていなくても勝敗がついてしまう場合がある。本当は負け確定のフラッグのところは要らないカードの捨て場にしたいのですが、フラッグを取られてしまうと捨て場にすら出来なくなる。不要カード処理が難しくなってしまう訳です。逆に言えば、こちらが相手をそういう羽目にあわせてやればいいんですけどね 笑
こうして、全部のフラッグを取る事は不可能なので、自分の場と相手の場を見ながら、どのフラッグを捨てどのフラッグを取るか、手札も見合わせて考えていき自分が勝てる道を探っていく。カードの引き運は勿論絡みますが、運だけでは勝てない。
戦略、心理戦、そして運。これらが高度に絡み合ったゲームがこのバトルラインなのです。
数のカードの説明だけでも長くなってしまいましたが、更に戦術カードを使用したり、フラッグ確保タイミングのバリアントによってもゲーム性が変わってくるという、ルールは単純にして奥が深いゲームです。合う合わないはあるでしょうが、ジリジリと心理戦と戦略を尽くした戦いが好きな方にはきっと定番の一つとして長く楽しんでもらえるかと思います^ ^
更に最近はこのゲームの入り口としてナイツポーカーというオシャレな短時間ゲームも出ていますのでますます入りやすくなったかと思います。いきなりバトルラインは自信ないかも?と思う方はこちらも是非♪
長文拙文を最後までお読みいただきありがとうございました。皆様の良きボードゲームライフに貢献できれば幸いです^ ^
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