- 3人~8人
- 10分~20分
- 7歳~
- 2016年~
フッチカート18toyaさんのレビュー
【レビュー】大人数ゲームの定番の一つ!吹き飛ばし、吹き飛ばされが楽しいパーティーゲーム
【評価8/10】
ゴーアウト
本作は「ドイツが生んだ鬼才」ことフリードマン=フリーゼ氏の小箱ゲーム。アラカルトカードゲーム2017の4位入賞作品です。
氏のゲームは他のデザイナーさんが作るゲームとはどことなく違う、一風変わったゲーム性の作品が多いのですが、本作もそうした例に漏れず独特な遊び感のあるゲームとなっています。が、単に「変わっている」では収まらない、不思議な魅力があるのもフリーゼ氏の作品ならでは。
本作は大人数で輝く作品なので、これからのクリスマスやお正月シーズンに活躍するタイプのゲームであり、この時期にご紹介しようと思いました♪
では、以下で概要を説明していきます^ ^
基本の流れ
90枚のデッキをシャッフルし、人数によって手札を5枚または6枚配ります。各プレイヤーは自分の手番に1枚カードを出すだけ。しかしまだ手札を減らせるかどうかは確定していません。
吹き飛ばし
まず、自分が1枚のカードを出したあと、無事自分の手番まで吹き飛ばされていなければ、先ほど出したカードを捨て札にして次の1枚を手札から出せます。つまり手札を減らせたということ。
しかし、①自分の後に自分が出したより大きい数字のカードを出されると、自分が出したカードは吹き飛ばされ、捨て札行き。そして自分は山札からカードを1枚引き手札に入れなければなりません。これでは「手札入れ替え」にはなっても手札を減らせていません。
逆に②自分の後に自分のカードより小さなカードが出された場合は何も起こらず、自分が出したカードはそのままです。
では同じ数字のカードが出された場合は?
グループの力
これが本作独特の仕組み。③同じ数字を出されると、数字は合算されて、同じ数字のカード同士が全て「合算した数字のカードであるかのように」見なされます。
例えば、自分が3のカードを出したとして
次の人が2のカードを出したとします。この場合は②の通り、自分のカードは微動だにしません。しかし
更にその次の人も2を出した場合、それぞれの2はどちらも「4」のカードが出されたのと同じように判断します。
つまり、自分が出した3の後に4が出されたことになるので、①の場合に当てはまり、自分の3は捨て札に行き、自分は山札からカードを1枚引かないとならないのです。
逆に、自分が3を出し、次の人が2を出して(ここまでは同じ)
その次の人が3を出した場合、①のルールにより2のカードは吹き飛ばされ、場に出ている「3」2枚はどちらも6になってます!元の数字より強くなりました^ ^
ただし、更にその次の人が6を1枚出ししても数字が合体して12になったりはしません。「合体して6になったカードは元々6のカードとは違う」という処理になるのですね。
数字をどんどん合算するには、大元の数字カードと同じ数字、つまりこの場合では「3」が出れば出るほど、「6」「9」「12」「15」…とどんどん合算されていく仕組みです。
こうして同じ数字のカード同士はあたかも「運命共同体のグループ」のように、最初に3を出した人の手番まで回った瞬間、3の数字は全て捨てられ山札を引く必要は無くなります!3を出した人は全員これで手札を1枚減らせました。つまり相乗りはする側にもされる側にもお得感がある訳です。
相乗りされると数字が大きくなるので、相乗りされる側は美味しい。一方、相乗りする側も自分の手番までカードが吹き飛ばされずに無事生き残るかを心配しなくても、だいぶん早い段階でカードを安全に1枚捨てる事ができる。これが相乗りの強みです。
本作の醍醐味
このように、本作の醍醐味は「相乗りしつつされつつ安全に手札を減らしつつ、いかに最後はみんなを出し抜くか」にあります。
90枚のデッキは小さい数字であればあるほど枚数が多い構成となっているため、2(デッキ内に16枚。約18%)や3(デッキ内に12枚。約13%)は相乗りを誘発しやすい。とは言え、1枚1枚は弱いので、相乗りで十分大きくなる前に吹き飛ばされる危険性は常に背負う。
一方、大きい数字は単体では強いですが枚数が少ないまたは1枚しかない(16〜20は各1枚)ため、7、8あたりの数字がグループになった場合、コロッと負けてしまう危険性もある。逆に残り手札1枚で19や20などを「勝ったでしょ」という顔をして出された時、みんなが団結してグループで倒した時などは場が大盛り上がり!勝敗とかはそっちのけで「あれアツかったわ〜!」と感想戦も湧きます😆
手札の残り枚数が少なくなってきた人は周りが警戒して相乗りをなかなかしてくれなくなり、楽に手札を減らせなくなっていくので、ここら辺をいかに切り抜けて手札を全部出し切るか。
最後は運次第、引き次第にはなりがちですが、本作の真骨頂は「吹き飛ばしたり」「吹き飛ばされたり」を楽しむゲームのため、負けても強烈な敗北感を感じることはあまりありません。妨害するのも、されるのも、日常茶飯事のゲームなので、あまりヘイトを生まない点も本作の魅力です^ ^
多人数でオススメ!
上記の通り、相乗り相手は多ければ多いほど良いので、人数はなるべく5人以上で遊びたいところです。6人からが本番、最大人数である8人もむしろウェルカムなわちゃわちゃゲーです!
逆に少人数だと相乗りもショボくなりがちですし、吹き飛ばしたり吹き飛ばされたりで頻繁にカードを引くし、手番もすぐ回ってくるしで、忙しすぎてあまりオススメでは無いかもしれません。筆者はプレイヤーが6人以上いるかどうかを、本作を候補に挙げるかどうかの判断ラインにしています。
弱点
上記したように、ゲームシステムの特性上、少人数で遊ぶ際はあまりお勧めはできません。
また、かなり運に左右されるシステムです。初期手札が小さいカードばかりだと結構希望が持てない感じはありますし、引いても引いても2、3ばかりという事も「あるある」です(自分自身、割とそういう経験があります 笑)。人のカードにうまく相乗り出来るか、自分が出したカードに相乗りしてもらえるかも流れや運によります。
ただし、そもそもガチゲーというよりはパーティーゲームですし、こうした手札運も「まぁ、そういう事もあるよね」と飲み込んで後日の再戦に期するのが吉かと思います。
あと、どうしても最後がグダグダな展開になりがちです。手札残り1枚がなかなか減らず、追っかけの人も合流して数人が残り手札1枚になり、最後の一枚をそれぞれが出すも、吹き飛ばされては山から引き…という光景は本作でよく見られます。
最後の収束性が悪いのは残念ではあるのですが、逆に言うと残り1枚がなかなか苦難の道なのでデッドヒートになりやすいゲームでもあります。そのため「圧倒的に負け」という事態もそんなに起きないですし、そもそも勝者は一人だけなので残り手札が5枚だろうが1枚だろうが負けは負けです。たくさん手札を残したからと言ってその他大勢の敗者の1人なので気に病む必要もありません。
むしろ途中の相乗りがとても楽しいので勝者とかは割とどうでも良い系です 笑
1日の中で何度も遊ぶというよりは、6人以上メンツがいる時に「今度こそは勝てるんじゃないか」と思って取り出して、勝てなくても結局は相乗りを楽しんだから良いかな♪と終わる、そんな不思議な魅力があるゲームです^ ^
まとめ
以上で見て来たように、本作は
・手札を無くすことが目的のゴーアウト。自分の手番でできることはカードを1枚出すことだけ
・自分の後手番の他のプレイヤーが自分より大きな数を出すと、自分が出したカードは吹き飛ばされ山札から1枚カードを引かなければならず、手札を減らすことができない
・ただし、同じ数字のカードは合算してどんどん大きな数字になるという特徴があり
・相乗りで安全に手札を減らしたり、大きな数字をグループで倒したりという本作独特の面白さがある
・最後の1枚を出し切れるかどうかは運ゲーになりがちで、収束性が悪いという面はあるものの
・本作の本質の面白さは「相乗りしたりされたり」「吹き飛ばしたり吹き飛ばされたり」というやりとり自体を楽しむことであり
・なぜか時間を空けるとまた遊びたくなる不思議な魅力を持つゲーム。
・推奨人数は6人以上
というゲームでした。皆様も多人数で遊ぶ時はぜひ本作で遊んでみていただければと思います^^
以上です!最後までお読みいただきありがとうございました!皆様の良きボドゲライフに少しでも貢献できれば何よりです♪
- 161興味あり
- 906経験あり
- 164お気に入り
- 413持ってる
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