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  • 2人~5人
  • 45分前後
  • 8歳~
  • 2007年~

ズーロレット18toyaさんのレビュー

110名
12名
0
8日前

【ロングレビュー】「引くか、取るか」の悩ましい2択!名作小箱コロレットの正統後継者!

【評価8/10】

セットコレクション

本作は「コロレット」「王と枢機卿」などの名作で知られるミヒャエル=シャハト氏がデザインした、2007年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作だ。名前からも感じられる通り、本作の源流は名作小箱「コロレット」にある。ただし基本システムはコロレットを踏襲しつつも幾つかの要素を加えることで、コロレットの楽しさを「軽め中量級ボードゲームの楽しさ」に昇華させている。

本作はファミリーや軽めのゲームを好むメンバーと卓を囲む際などに重宝するだろう。どちらかと言うとライト寄りの「ちょうど良い作品」と言ったところだ。5人で遊べる点も地味にありがたい。

本作を2024年にレビューすることについてもしかすると「今さら…」と思う人もいるかもしれない。昔さんざん遊んだ人からすれば当然の心理だ。だが、コロナ以降新たにボードゲームの世界に飛び込んできた人の中で「少し古いゲームを今遊んだらどんな感想になるの?」と興味がある方もいるのではないかと思う。

筆者自身も、本作の存在は知っていながら2024年になって初めて遊ぶことができ「今でも十分楽しめる作品」と感じたのでご紹介したいと思い本レビューを書いた。何かの参考意見になれば幸いだ。


基本の流れ

本作は基本的に「囲い」の中に動物をなるべくたくさん起きつつ余計な動物は取らず、誰が一番上手に動物園を作れたか、勝利点で競うゲームだ。

各プレイヤーは自分の動物園となるプレイヤーボードを持っている。更に、裏向きで3金と書かれた側を表にして拡張ボードを置く。また、各プレイヤーはコインを2枚もらう。

動物タイルはプレイ人数に応じた種類を用意した上で、十分混ぜてから15枚を裏向きで積み、赤いトークンを乗せる。残りのタイルを適当な数で山にして積み、中央に人数と同じトラックを用意、丸い子供タイルとお金トークンを置いたら準備完了だ。


各プレイヤーが自分の手番でできることは「動物タイルを山から引き、どこかのトラックに乗せる」「トラックを1つ選び、引き取る」「お金を使ったアクションをする」の3択だ。

最初はトラックに何も乗っていないのでタイルを引いてトラックに乗せていくしかない。しかし、だんだん皆がタイルを引いてトラックに乗せていくと、「このトラック欲しいなぁ」と思うタイミングが来るだろう。

トラックを引き取ったら、プレイヤーはトラック上の動物タイルを自分のプレイヤーボードに置く。動物を置く時は、勝利点を伸ばせるように囲いに入れたい。

それぞれの囲いには、一度動物を置き始めたら同じ種類の動物しか入れられなくなる。プレイヤーボードでは「タイルが4枚置ける囲い」「5枚置ける囲い」「6枚置ける囲い」の3種の囲いがある。これらの囲いは完全に埋めきると点数が高く、埋め切りの一歩手前でも点数はある程度貰える。従って、プレイヤーの欲望は「取る動物の種類は絞りつつ、一度取ったらできれば囲いを埋めるまではその動物を取り切りたい」となる。

もし4種め以降の動物を取る事になったら、囲いの中には入れられないので一旦「小屋」に置くしかない(追加ボードを表に出来れば状況は少し変わるが一旦省略)。最後まで小屋に動物を残してしまうとマイナス点になってしまうので出来れば囲いに入れられる動物だけを取りたいが、そう上手くはいかない。

4種めの動物は当面置ける場所がない。小屋に置くしかない


こうしてトラックを引き取った人がタイルを配置している間に、他の人たちはタイルを引いたりトラックを引き取ったりを続けている。一度トラックを引き取り終わった人は、全ての行動が取れず強制パスとなる。お金アクションすら出来ないので注意が必要だ

やがて全員がトラックを引き取り動物タイルを自分のボードに置き終わったら、次のラウンドに進む。次のラウンドのスタートプレイヤーは最後にトラックを引き取った人だ。また時計回りで各プレイヤーが動物タイルを山から引いてトラックに乗せ、どこかの時点で誰かがトラックを引き取り…と繰り返していく。

やがて赤いトークンを乗せた山積み以外のタイルが全て尽きたら、ゲーム終了の合図だ。ここからは赤いトークンの山積みから1枚ずつタイルを引いてトラックに乗せる。このあと、全プレイヤーがトラックを引き取り動物タイルをボードに載せ終わったら、その時点でゲーム終了となる。

最後に勝利点の計算をし、最も勝利点が高かったプレイヤーの勝利だ。


本作の醍醐味

本作の醍醐味はズバリ「動物タイルを引く」事と「今引いたタイルを引き取る」事は同時にできない点にある。

やはりこのジレンマが最高だ。

各トラックが「引き取るにはまだ美味しくないな〜」と思ったら、自分ができることは基本的には「タイルを引く」事になる。一応お金アクションもあるが、そう連発できるものでもない。

しかし、ここで引いたタイルが自分に美味しいタイルだった場合、どういうセットを作るか。他の人に美味しいタイルだった場合にはどうするか。これが悩ましい。

「自分がタイルを引いて、自分に都合のいいタイル同士のセットを作って、即引き取れる」なら問題はない。しかし、実際には「自分に都合のいいタイルセット」を作ったからと言って、再度自分の手番まで一周しないとトラックを引き取れないので「グギギ…」と歯ぎしりも出ようというものだ。

  • 「自分に都合のいいセット」は、果たして次の自分の手番まで残っているのだろうか?
  • もしかすると、他の人にとっても都合の良いセットとなってしまった可能性はないか?
  • または、「自分に取らせたくない」それだけのために横取りされる可能性はないか?

本作ではこうした悩みが常に付きまとう。とはいえ、できるアクションは結局のところ3択なので、「トラックを取らないなら、タイルを引いてどこかのトラックに乗せるか、またはお金を使ったアクションをするしかない」。

これにより考え所は集中し、散漫にならない。初めて遊ぶ人でも悩みどころが分かりやすく、遊びやすいゲームになっている。


コロレットとの比較

上記のように、「タイルを引くか、トラックを引き取るか」の悩ましい2択が本作の本質的な醍醐味であり、本作はコロレットの正当後継者として正しく面白さを引き継いでくれている

しかし本作はコロレットの面白さを引き継ぐだけではなく、「ボードを使ったゲームならではの面白さ」もちゃんと付加してくれており、「ズーロレットやるならコロレットでも良くない?」とはならない仕組みがしっかり備わっている。


①無尽蔵に同じ動物を取ってもダメ

まず一点は「同じ動物の種類を無尽蔵に取っても必ず得点にできるとは限らない」という点。

コロレットでは、集める!と決めた3色は天井知らずで何枚集めても良く、集めれば集めるほど点数が伸びる仕組みだった。

しかし本作では「囲いをいっぱいに満たす」事が目的なのであって、囲いからはみ出すと逆にマイナス点になると言うデメリットも追加された。

これによって「Aさんはさっきまでこの動物集めてたでしょ?だからあげるね♡」「うげ、もう要らんのよ…囲いいっぱいなのよ…」「知ってるよ?だからあげるんじゃん♪」という事態が起こることになった。

象が欲しかったが、同じトラックにパンダを乗せられてしまった。パンダの囲いは既に埋まり切ってるためマイナス点になってしまう。マイナスを覚悟で取るか、見送るか


これにより「囲いを満たしてしまうと逆に待ち受けが狭くなるから、あえて埋め切らずに少し空けておく方が良いのかなぁ?」という迷いが生まれる。囲いは4〜6タイルまでいくつかの種類があるが、こうした戦略性はボードの存在によって得られるもので、本作とコロレットの差別化に一役買っている。


②お金アクション

次に①と連動してるがお金の要素が一味効いている。

まず、すぐにでも取り掛かりたいと皆が思うのが囲いの建設だろう。これには3金かかるものの、拡張ボードを表替えして5枚タイルを置ける4つめの囲いを増設できる。これはタイルの待ち受け選択肢を増やせる点で単純に強い

4種の動物を置けるのは単純に強い

また、囲いの中の動物の入れ替えも悪くない選択肢だ。タイルを6枚置ける囲いの中に動物を5個しか置けていない時に、5枚の囲いに入っている動物と場所を入れ替えて5枚囲いを埋め尽くして点数を伸ばすとか、逆に「4枚しか置けない囲いに入れてしまった動物がまだ増えそうだ」という時にもっと広い囲いの動物と入れ替える、などという戦略が生まれた。これもボードを使った本作ならではの付加要素である。

「2金払って他プレイヤーの小屋にいる動物タイルを1つ買う」もお互いにWIN-WINだ。相手はマイナス点を減らせるしお金も1金貰える。自分は囲いを満たせて点数を伸ばせるし、囲いによっては「埋め尽くしボーナス」でお金まで貰える囲いもある。2金を使って、自分の小屋から動物タイルを1枚取り除く効果も、多用したくはないものの、最後の手段として有効だ。

更に、お金を使ったアクションは効果そのものだけではなく副次的な意味も生んでいる。それは「お金アクションがワンアクションになるため、タイルを引かずに手番を回せる」点だ。変なタイルを引いて悩むくらいなら1回様子を見よう、というコロレットでは無かった作戦が取れるようになった。

ここら辺の「お金周りのアクション」により、本作ではコロレットよりも若干マイルド感が生まれており、ファミリーユースにもより向くようになったのではないかと考える。


③売店、お金、繁殖

コロレットではカメレオンではないカードは「+2」という、点数がもらえるカードだけだったが、本作では複雑になり過ぎない範囲で多様な戦略や楽しみが盛り込まれている。

例えば売店。通常であれば囲いを埋め切るか、せめて埋め切りの一歩手前まで動物タイルを置かなければ勝利点を得ることができなかった本作において、売店は部分点を取れる要素となる。各囲いの近くにある売店設置スペースに売店を置けば、囲いが埋まっていなくても動物タイル1枚ごとに1点をもらえるようになる(多分動物が多くなくてもお客さんを惹きつけられる、という事なのだろう)。

更に、4種類ある売店自体もセットコレクションになっており、1種集めるごとに2点をもらえる。売店を4種集めれば8点なので、動物5枚の囲いを埋め切った点数にも匹敵し、馬鹿にできない稼ぎをもたらしてくれる。

左の囲いは象が2頭しかいないが、売店があるためこのままゲームが終わっても最低限の勝利点は得る事ができる(タイル2枚で2点)。右の囲いはパンダで埋まり切っているので売店の意味はあまりないが、2種類目の売店を置いたので2点は獲得できる


お金は上記②のお金アクションをするのに必要だ。動物や売店と比較すると直接勝利点に結びつかない点は若干見劣りするものの、上記したようにお金アクションには効果そのものの他に「一手パス」の副次的効果があるため、行動の選択肢の幅を広げてくれる。

また、動物タイル自体にも楽しみが増えている。本作の動物タイルは各種それぞれ11枚なのだが、その中に「♂2枚」と「♀2枚」が入っている。自分の囲いの中で♂と♀を揃えるとなんと繁殖して子供タイルを受け取ることができるのだ。この繁殖を想定して自分の囲いを埋め切ることを考えたり、逆に他の人の囲いを「わざと繁殖させることで溢れさせる」ことを狙ったりするのが楽しい!これもコロレットとは違う本作独自の楽しさと言えるだろう。

♂と♀が揃ったので子供タイル(丸いタイル)を即置く。今回は囲いの埋め切りに近付く良い繁殖だった


本作の弱点

上記で見てきたように、本作は「タイルを引くことと、そのタイルを乗せたトラックを取ることは、同時にはできない」というジレンマを主軸に据えつつ、コロレットとは異なる楽しみをボードによって提供してくれている良作である。しかし弱点も皆無とは言えない。

まず箱絵がファミリー向けの雰囲気を漂わせている点だ。無論ファミリーだけで楽しむつもりで購入するならなんの問題もない。ただ、大人だけで遊ぶ時に本作を出した時に「えっ、家族で遊ぶ系?私たちも十分楽しめる?」と言う危惧を感じさせるかもしれない。遊んでもらえればそれがただの杞憂ということはすぐに理解してもらえるだろう。ただ、箱を見ただけの感じで言うと大人がそそられるパッケージかどうか、と言う点は弱点となりうる。

次にコンポーネントだ。本作は2007年の作品ということもあり、昨今の豪華なコンポーネントを見慣れてる人が見てしまうと「少し寂しい?」と感じてしまうかもしれない。本作が好きな私でもこの点は認めざるを得ない。ただし、ゲームの本質や楽しさは上記のとおりしっかり確立しているし、コンポーネントが遊び感に悪影響を与えている訳でもない。コンポーネントだけで本作を敬遠するのは勿体無いと、個人的には感じる。


また、最初に「軽め中量級」と書いた通り、色々な要素は付加されているものの、本作の根っこはコロレットにあり、重量級ゲーマーを満足させる程の複雑性があるとは言えない点も言及しておかなければならない。ただし、どんなゲームであっても全ての層を満足させることなどあり得ない。重量級に寄せれば初心者には理解が追いつかないだろうし、初心者に寄せれば重量級好きの人からは物足りないと感じられるだろう。結局は「ターゲットをどこに置いているか」の問題だ。

本作は「カードゲームから、ボードを使ったゲームへ」と移行を考えている層に対する最適解の1つだと筆者は考える。それと同時に、熟練者であってもコロレットのもたらす「タイルを引くか取るかの悩ましい2択」というゲームの本質を愛する人も少なくないと推察する。となれば、「全方位」とはいかなくとも比較的広い層が本作を楽しめるのではないだろうか。


まとめ

以上で見てきたように、本作は

・動物園を上手に作り、勝利点を競うゲーム。

・基本的には「引くか、取るか」の2択を迫られるのが苦し楽しい。本質的な楽しみはコロレットから良い意味で引き継がれている。

・ただし、ボードを使うことで囲いに置ける動物の数の上限等も設けられており

・お金、売店、繁殖等の要素も加えられて

・源流となったコロレットとは異なる楽しみを提供することに成功している。

・箱絵にファミリー感が漂っていたり、コンポーネントがやや寂しめ等、弱点がない訳ではないが、

・ボードを使ったゲームを遊んでみたい方への導入として、最適解の1つとなり得るし

・本作のジレンマ溢れる2択の楽しさを愛する人は熟練者にも一定数いると推測される事から

・幅広いターゲット層が楽しめる良作に仕上がっているものと思われる


以上です!本作のような少し古めのゲームをご紹介すると「懐古主義」と言われるのかもしれませんが、私自身が2024年に遊んで「今でも面白いものは面白い!」と感じたので、皆様に魅力を伝えたいと思いレビューを書きました^^

本作はBGAでも遊べるので、興味を持たれた方は是非一度遊んでみてもらえればと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!皆様の良きボドゲライフに少しでも貢献できれば幸いです♪

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