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  • 2人~4人
  • 40分~100分
  • 12歳~
  • 2015年~

マルコポーロの旅路ハナさんのレビュー

855名
5名
0
約1年前

ツォルキンのコンビ、ルチアーニとタッシーニによる名作ゲーム。

今さらですがプレイして、めちゃくちゃ面白かったのでレビューします。

「マルコポーロの旅路」は、東方見聞録で有名なベネチアの商人兼冒険家、マルコポーロの旅をテーマにした重量級ゲーム。プレイヤーはマルコポーロや叔父マテオポーロといった歴史上のキャラクターになり、ベネチアから北京に向かって旅をしていきます。

最大の魅力はそのキャラクターの圧倒的な固有能力。基本的なルールはシビアで地味なダイスプレイスメント(サイコロを使ったワカプレ)なのですが、全員がその枠を容易に破壊するめちゃくちゃな能力を持っています。「サイコロの目を自由に操れる能力」対「配置コストを踏み倒す能力」対「マップをワープする能力」等々、、、ゲームとして成立するか心配なくらいです。にもかかわらず、ちゃんとバランスが取れているのが素晴らしいところ。1,000回テストプレイしたというのも納得です。

基本ルールは複雑に見えてかなり分かりやすいです。サイコロをワーカーとして使ったダイスプレイスメントで、サイコロの目によって配置コスト、効果が変わったり、配置制限がかかったりします。基本的に大きい目の方が効果が高いのですが、小さな目にもちゃんと使い道があり、サイコロ運はプレイングでカバーできるようになっています。少なくとも運ゲーという感じは全くないですね。むしろ、ラウンド開始時にサイコロを振ってからは公開情報の中でプレイするため、シビアな実力ゲーの側面すらあります。

ゲームの柱になるのは「旅行」と「契約」。

旅行はマップ上のコマを移動させるアクション。移動先に交易所を建てていき、新たなアクションスペースや定期収入を解放していきます。北京に早く着くと大きな勝利点が入るため、様々なルートを通って北京を目指すことになります。旅行は非常にお金がかかるので、無駄なく計画的に移動する必要があります。

契約は、商人らしく決まった商品を納めると勝利点やボーナスがもらえるセットコレクション要素。自分にあった契約を取って達成していくのが非常に重要になります。

お金もリソースもカツカツな中、この両輪をどのようなバランスで達成していくかが悩ましいゲームです。


この結構辛めな基本ゲームを、キャラクターのスーパーパワーでねじ曲げていくのがこのゲームの醍醐味となります。ちょっと他のゲームでは見たことない壊し具合ですね。サイコロを使ったゲームでサイコロの目を自由に変えられる相手に勝てるわけないと思いますが、こちらもワカプレの配置コストを踏み倒したりするので互角、とか、、、絶対楽しいじゃないですか。

能力を活かした戦略を立て、うまくはまったときは本当に気持ちがよいです。



難点として、キャラクター間にものすごい能力差があるため不公平を感じやすいゲームだと思います。他のプレイヤーがスーパーパワーで無双したりすると「○○最強」とか「○○は弱い」と安易に判断しがち。実際のところ使いやすい、使いにくいはありますが、初期セッティングやプレイ人数によってどのキャラクターでも十分勝ち目があると思います。全体的に勝因、敗因をキャラクターに転嫁してしまいがちなゲームだと感じます。

また、よく旅を無視して契約だけしてれば勝てる契約ゲーと言われたりもします。確かに初心者同士だと安定して点数を伸ばせる契約重視戦略(と、契約と相性がよいキャラ)が勝ちやすい傾向があります。実は慣れると契約だけでは点数が頭打ちになり、ちゃんと旅をしないと勝てなくなるのですが、その初プレイだけで浅いゲーム、戦略幅が少ないゲームと言われてしまうことがあるのは残念な点です。(この点はドミニオンの金重視戦略に例えられる事があります。)



【まとめ】

地味で硬派な見た目をしていますが、わりと尖った個性的なゲームです。堅牢なワカプレとぶっ壊れキャラクターの対比が本当に面白く、全キャラクターを試したくなります。本当に魅力的なゲームなので、是非ともプレイしてみてください。続編のマルコポーロIIも出ていますが、Iの方がより尖っていて面白いと思います。


※日本語版はやや入手難になってますが、ゲーム自体に言語依存はないので海外版でも問題ないと思われます。

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