QEてんじくさんのレビュー

競りゲームでありながら、競りで使えるお金が無制限という、かなり斬新なルールのゲームです。

プレイヤーが国家であるため（その気になれば造幣局で）いくらでもお金を刷ることができるという設定だそうで、これがゲームのルール設定にとてもマッチしています。

ただ、「最終的に競りでもっとも多くのお金を使ったプレイヤーはゲームから脱落する」というルールもあるため、実際には無茶もできません。

ほかの競りゲームと同様、同卓したプレイヤーたちの相場観（感）をいち早く掴む必要があります。

毎ラウンド、無作為に1点から4点の得点タイルが捲られ、この捲られた得点タイルの獲得をかけて競りを行います。

拡張セット抜きの本作だけの場合、プレイヤーにとっての勝利点の得点源となるのは、この捲られる得点タイルしか存在しかないので、必然的に獲得競争が激化して競り金額はどうしてもインフレしていきます。（金銭）単位も「京」とか「垓」とか、実社会とは乖離した競り金額が飛び交うことになります。

これはこれで、パーティゲームとして面白いです。

ただし、拡張セットを入れると、これとはまったく違ったガチガチの競りゲームに変化します。

拡張セットありでは、二番目に高い競り金額をつけたプレイヤーも別の得点タイルを獲得できるようになったため、無理して高い金額をつけられなくなりました（つける必要がなくなりました）。

高い競り金額をつけると脱落リスクだけを負うようになるため、拡張では相場観を読んで「競りの二番手」を狙うことが効率的だと言えます。競りがとてもシビアになり、よりゲーマズゲームになったと思います。

またプレイヤー間で「得点タイルの売買」という要素も付け加えられており、これもさらにゲームを面白くしています（この売買はうまく競りの中に組み込まれていて、とても面白いシステムになっています）。

参考ですが、個人的には第一ラウンドの競り金額を300〜1000くらいに設定することがよいと思います。かなり考えるゲームになります。

このゲームを遊んだことがある人も、一度は拡張セットを入れて遊んでみてほしいと思います。まったく違ったゲームに感じると思います。

すごく面白いゲームなのですが、そういったゲームによくあることですが、本作も現在市場ではほとんど見かけることはありません。面白いが故に、保有者は手放さないでしょうから当然と言えば当然なんでしょうが‥。

ゲーム市場の詳しいことや版権のことなどはまったくわからない素人ですが、個人的にはこういった素晴らしいゲームは、ぜひ再販して世に広まってほしいと思います。