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  • 1人~4人
  • 75分~150分
  • 12歳~
  • 2022年~
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8名
0
1年以上前

グレートウエスタントレイル:アルゼンチン(以下GWTA)、何度かプレイしたので、グレートウエスタントレイル(以下GWT)とのプレイ感の違いを中心にレビューします。


※本レビューはGWTをプレイしたことがある人向けのレビューとなります。詳細なゲーム内容については他のレビューを参考にしてください。


GWTAとGWTの違いは多数ありますが、影響が大きいと感じるのは3点。

・出荷の仕組み

・第4の労働者「農夫」

・鉄道の役割

これらにより、GWTとは別ゲーと感じる人が多いと思います。



【出荷の仕組み】

従来のGWTは手札の繁殖値に応じて出荷先にディスクを置くと勝利点が得られる、という分かりやすいものでした。そのため、求められるのは「高い繁殖値でより遠くに効率良く出荷する」動きであり、そのためにも繁殖値が高い牛は価値が高かったです。

対してGWTAは、


①繁殖値に応じて船タイルにディスクを置く

②ゲームが進むと船タイルからディスクがヨーロッパの都市の港に移動

③港から新リソース「小麦」を使って各都市に配送


でやっと勝利点やお金が貰えるという、余計に2手間くらいかかる仕組みとなっています。特にお金は配送を活用しないとなかなか稼げず苦労する印象ですね。②で早期に出港する船は要求繁殖値がかなり低く、「高い繁殖値で出荷する」事よりも、「載せたい船に素早く載せる」事が大切となりました。これだけでもGWTの常識が通じない別のゲーム感があります。

購入コストが高い高繁殖値の牛を買う必要性が低く、カウボーイの価値もかなり下がったと感じます。むしろ大切なのは③の小麦を使った配送で、小麦はゲームを通して非常に重要なリソースとなります。



【第4の労働者「農夫」】

その小麦と密接に関わっているのが農夫。

GWTでは、「カウボーイ」「職人」「技師」の3種類の労働者があり、それぞれに特化する戦略が至上でした。GWTAでは、ここに新たな労働者「農夫」が加わります。

農夫はGWTの災害タイルが労働者となったもので、取り除いた時にお金を払うと雇用でき、農夫を増やすと上記新リソースの「小麦」が入手しやすくなります。

農夫特化はGWTAの主力戦略の1つです。農夫特化は配送で安定して勝利点やお金が稼げますし、雇用コストが安くお金に余裕ができるので、状況に応じて他の戦略を併用することができます。

小麦が重要すぎるため他の戦略でも農夫雇用を検討する場合が多く、ゲームに非常に大きな影響を与えています。



【鉄道の役割】

GWTでは出荷時の費用を抑える効果があった鉄道。GWTAでは、ゴールを近づけるというものすごい効果に変わりました。

ゲームの回転速度が大切なのはGWTもGWTAも同じ。少しでも早く、たくさん出荷できた人が有利になるため、ルート短縮は効果大です。ゴールまでの道のりはGWTよりも長くなっている(しかも基本建物は弱体化している)ので、短縮しないとかなり弱いアクションを踏む回数が増えてグダることになります。

加えて、ゲームが進むとゴール周辺に農夫という名の災害タイルがどんどん配置されるため、それを躱すためにもゴールを手前に動かすのはめちゃくちゃ重要となります。GWTでは技師特化以外の人は鉄道を触らないケースもありましたが、GWTAでは鉄道を無視するリスクが大きいです。技師を雇わなくてもシングルアクション等を活用してある程度鉄道を進め、お互いの鉄道駒を頻繁に飛び越し合うようになります。



以上の事を簡単にまとめると、、

・出荷は質よりタイミング

・高繁殖値牛、カウボーイは弱体化

・小麦は超重要

・農夫は強い

・鉄道は無視できない

これらから、全体的に特化戦略は弱体化していると感じます(依然、特化が最善なのは変わりませんが)。特にGWTで花形だったカウボーイ特化は見る影もないです。

GWTはとにかく特化が強く、非常に戦略的なゲームでした。強いループを早く構築し、序盤に決めた戦略を一直線に押し通すイメージでしたが、GWTAはより戦術的で柔軟、多角的なゲームだと思います。どのプレイヤーも何かしらの方法で小麦確保は必要ですし、他の駒を飛び越せる時は積極的に鉄道を進めなければ取り残されます。ゴールのタイミングもGWT以上に重要で、周囲の動き次第では、やりたいアクションを省略して戦略を曲げてでも出荷を急がなければなりません。ある程度メイン戦略を決めながらも適宜他分野に手を出していかなければならず、常に周囲を見ながら最善手を求められる難しいゲーム、という印象でした。

また、GWTで見られた労働者のめくれ運や戦略被りは、他分野に手を出しやすいゲーム性からプレイングでカバーしやすい感があります。カウボーイ特化で始めたけどカウボーイがタイミング良く出てこない、、みたいな状況でも、他の安い労働者を雇ってリカバリーできそうです。最初に決めた戦略を状況次第で切り替え可能なのは、GWTAの大きな特徴だと思います。



【まとめ】

GWTと基本骨格は同じでも中身は別ゲー。戦略的で直線的なGWTに対して、かなり戦術的で臨機応変なプレイを求められるGWTA。正解の勝ち筋が見えにくく、より難解ですが、上達すれば運をプレイングでリカバリーしやすい面もあると思います。

非常にやり応えのある名作なのは間違いないですが、個人的には分かりやすい従来のGWTの方がやや好みでしたね。

GWT未プレイなら、GWTから始めた方が良いと感じます。またGWTを所持していて大好きなら、GWTAも購入する価値があると思います。

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