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  • 2人~4人
  • 90分~120分
  • 14歳~
  • 2023年~

東インド会社山本 右近さんのレビュー

1881名
11名
0
1年以上前

パスカル・リブローの新作、East India Companies。日本でもメビウスから和訳付きが発売された。プレイヤーは海運貿易会社を経営し、商品売買と株取引でより多くの利益を上げることが目的だ。

ルールは概ねシンプルで、5つのフェイズを1ラウンドとし、5ラウンドを行いゲームが終了する。フェイズ毎にプレイヤーは異なるアクションを行うが、それぞれのフェイズはテーマに忠実なため迷うことは少ない筈だ。

Aフェイズではワーカープレイスメントで設備投資やそのラウンドの間に活性化される能力の獲得を行い、Bは株の買い付け、Cで船をアジア各地に派遣して、Dで各地での買い付けを行いEでは欧州に戻った船がそれらを売却していく。

アジアでの供給量や欧州での需要を読んで、商品を安く仕入れて高く売る、というのが一応超基本的な部分となる。しかしこのゲームの面白さの源泉はプレイヤー同士のインタラクションであり、この経済ゲーム様のインタラクションをシンプルに味わえるところにある。それも噛み砕いてレビューしようと思う。

アジアと欧州が需給関係にあるわけではないのがミソで、アジアの供給が満たすのはプレイヤーの需要であり、ヨーロッパの需要はプレイヤーからの供給が満たすこととなる。ゲームが進むにつれてプレイヤーの輸送能力が増すため、プレイヤーによる供給もプレイヤーの需要も増加する。これにより、アジアでは供給不足となり欧州では供給過多となっていく。プレイヤーの輸送能力の増加が商品1つあたりの利益を減らしていくこととなるのだ。つまり、後半戦になればなるほど商品で利益を伸ばすのは難しくなってくる。

一方で株式は序盤は価格の上昇が緩やかだが、後半になるにつれて価格の上昇が激しくなっていくため、後半になるほど儲けを出しやすい仕組みとなっている。更に後半戦は商品1つ当たりの利益は減るが売却数は増えるため売上は上がり、株式の価格を更に押し上げる要因となる。これは商品の特性と逆と言える。

つまり大まかなセオリーは前半は商品、後半は株式で利益を上げることとなるが、それだけだと一筋縄ではいかないところがこのゲームの面白さだ。

商品による利益を全員が軽視すると商品をより重視したプレイヤーが有利になるため、ある程度の牽制は必要となるし、商品重視のプレイヤーが少なそうかあるいはイニシアチブが有利なプレイヤーが独占しそうならその株を買い集める動きが強くなる。また、最終ラウンドはフェイズB以降の株売却ができないのである程度の決めうちが必要だし、フェイズDにどの程度の資金を残しておくかも難しい。あらゆる場面でプレイヤーの思惑が交差することになる。

私はこのようなインタラクションが大好きだし、このようなゲームこそリプレイ性が高いと思う。斬新さは無いが、ルール量に対して楽しみの大きい、とても良くできたゲームではないだろうか。

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大濵 健聖
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山本 右近
山本 右近
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