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  • 1人~4人
  • 45分~90分
  • 14歳~
  • 2024年~

スルー・アイス・アンド・スノー山本 右近さんのレビュー

138名
6名
0
約1ヶ月前

19世紀の北極探検がテーマのゲーム、Through Ice & Snow。このゲームは全員が敗北する条件があるのが特徴的ではあるが、構造としてはオーソドックスなワーカープレイスメントだ。

アクションスペースは今どきのワカプレでは珍しくかなりタイトだ。そのラウンド中自分がやりたいアクションを全てできるというのは稀なので、優先順位をつけてアクションを行うことがかなり重要となる。

ワーカーは船長、大工、科学者というスペシャリストが3体おり、アクションスペースはそれに対応するように3列ある。それぞれの列は概ねそれぞれのスペシャリストが1体は必要なアクションスペースが用意されているため、基本的には列ごとに1つずつアクションを行うことになる。これが非常に悩ましい。

また、特殊なワーカー「イヌイット」を雇用することができる。イヌイットはそれぞれの列でスペシャリストの代用にできるアクションスペースが少ないながらあり、雇用もかなり重要になるだろう。

リソース管理がシビアなのも特徴のひとつと言っていい。まずワーカー毎に食糧供給が必要になるが、これがかなり厳しい。船を乗り捨ててソリで移動する拡張を入れると、ゲーム終盤はラウンドごとに食糧供給が2度もあるため更に難しくなる。その他、乗組員の健康状態や士気も維持しておかないと大きなペナルティを受けることになってしまうが、全てを高水準に保つのは難しいため、どこまで許容してどこまで維持するかというのも重要な判断となるはずだ。

枯渇すると全員敗北となるダイナマイトや燃料だが、これらの存在がこのゲームを半協力ゲームに見せかけている。しかしどちらも全員分の総数が必要な数あれば良いので、実際には協力の要素はかなり薄い。ダイナマイトは持っていないとスタートプレイヤーになる権利がない上に終盤勝敗に絡めなさそうなプレイヤーに多く確保されるとゲーム不成立(全員敗北)ルートに誘導される危険もあり、燃料は足りないと持っているプレイヤーに勝利点を大量に吸い取られてしまう。これらを得るためのアクションはかなり限られているため、実際には半協力どころか熾烈な取り合いである。

ルールは遊びやすく比較的シンプルながら難易度は高く、それを考慮してか細かいルールが加わるモジュールや拡張がいくつかあり、これらを組み合わせることで難易度調整や味変を楽しむことができる。

テーマ性もゲーム性も高く、プレイ時間もちょうど良く、初心者に出しづらいことだけ留意すればオープン会でも問題なく遊べそうだ。インタラクションが強いゲームだが、ソロシナリオも充実しておりソロゲーマー向けでもある。言語依存はほぼゼロだが、この手のゲームにありがちな分かりづらいアイコンの多さは気になるので、わかりづらいカードにはテキストを貼っておいた方が良いだろう。個人的には2024年新作ではトップクラスに面白く、新作の中でも特にお勧めしたいゲームだ。

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山本 右近
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