- 3人~4人
- 40分~60分
- 10歳~
- 1995年~
カタンLayton1995さんの戦略やコツ
2024年の対人戦は7戦5勝(5/5時点)です。
カタンが好きで、大会優勝者の方が主催しているカタン会に参加することもあります。
対人戦の累計プレイ回数は数十回ですが、アプリカタン(colonist)の対AIで数百回対戦しており、特に初期配置はかなり上達したので整理を兼ねて戦略をメモしたいと思います。
【カタンで勝つためには】
運、戦略(ソロプレイ要素)、交渉の割合は25-50-25程度と考えています。
もっとも、戦略と交渉は独立ではなく、関連したものです。
相手の立場で戦略を考えることで、自分と相手にとって有利な交渉を進め、他の2人との差を付けることができます。
そのためにも、まずは自身が勝つための戦略を身につけ、次に自分と相手の利益になるような交渉術を身につけていくべきです。
また、戦略で覚える優先順位が高いのは初期配置です。
【戦術の分類】
勝利点10点の内訳は、最大騎士力、最長交易路、得点のいずれか一つ以上を含むことが大半です。
※下記の勝利点の内訳は、都市や開拓地の一部が得点に置き換わることがあります
・都市4+最大騎士力(都市戦術)
鉄、麦、羊の生産力を確保して都市化をメインにゲームを進めます。高い生産力を武器に中〜終盤で大量にカードを引きます。
初期配置の2軒目が読みづらい1,2番手は、1軒目を都市戦術に対応させた方が安定します。
・都市2+開拓地4+最長交易路(街道戦術)
木と土の生産力を確保して、多くの開拓地を建設します。カードで得点が引けた場合を除き、2軒の都市化が必要です。
都市化が鍵です。後にネックになるので、序〜中盤で都市化できそうなら交渉してでも都市化してしまいましょう。
地形的な制約があるため、慣れないうちはどちらか選べるなら都市戦術を選んだ方が勝ちやすいと思われます。
【生産力とは】
ダイスを2つ同時に振った時の目の出安さは、7がもっとも確率が高く6/36です。次に高いのが6と8で5/36、次に5と9が4/36、もっとも低いのが2と12で1/36です。
以上の分子だけを取って「生産力」と呼ぶことがあります。6や8の土地の生産力は5、2や12の土地の生産力は1です。
【初期配置-生産力】
初期配置について、上記の生産力を合計します。
もっとも生産力の高い配置は13(5,6,9など)ですが、これは砂漠が外周にあるマップの一部でのみ発生します。
砂漠が内陸にあるマップでは、最大生産力は12(5,8,10など)です。
1,2番手なら生産力11、3,4番手なら生産力10を1軒目で確保したいです。
また、2軒目と合わせて19は確保しましょう。
例外的に18で妥協することもありますが、希少な資源をどうしても初期配置で取りたいか、3軒目で強い土地が取れる場合です。
【初期配置-資源の価値】
麦鉄>羊>木土
が主流の考え方です。麦と鉄、木と土に関しては希少性(後述)により順位を決定します。
麦と鉄がもっとも高く、次に羊が来るのは、終盤で重要な資源だからです。
推定6点まではプレイヤー間で交渉することが多いですが、7点からゲーム終了までは当該プレイヤーに上がられる可能性があるため交渉しないケースが大半です。
したがって、7点から10点までは自力で点数を積み上げる必要があります。
7点→10点の内訳は都市化やカード(最大騎士力、得点)の割合が高いため、枚数の必要な鉄や麦、次いでカード材の羊の重要度が高くなります。
※むろん、街道戦術では木と土の生産力が必要なことは言うまでもありません
【初期配置-希少資源】
厳密に計算する必要はないのですが、時間があるなら5種類の資源の合計生産力をそれぞれ産出してみましょう。
生産力8以下の資源がある場合は要注意です。
木、羊、麦のタイルは4枚ですが、土と鉄のタイルは3枚しかありません。そのため、土と鉄は希少となる可能性が高いです。
【初期配置-資源の種類】
可能であれば5種類とも自前で産出できるのが理想ですが、4種類以上は産出できるようにします。
生産力と資源バランスはトレードオフとなる状況も多いですが、基本的に2軒で生産力19以上は確保すべきです。
また、初期配置で4種類でも、3軒目で5種類が確保できるような配置が強いこともあるので検討してみましょう。
2軒同時に置ける4番手や、4番手の2軒がある程度読める3番手ならともかく、1番手や2番手はよく「生産力の高い2種類の土地か、バランス重視の3種類の土地か」で悩む状況があります。
1,2番手でも「この場所なら2軒目でも取られないだろう」という予想が付く場所(特に、2面取りの配置)があることもあるのですが、生産力11以上なら3色の土地を取ることが多いです。
2種類でも強い可能性が高いのは麦鉄や、希少資源を含む配置です。
1,2番手の1軒目で街道戦術に絞った配置をするのはリスクが高く、都市戦術を視野に配置するのが無難です。
【初期配置-港】
もっとも汎用性の高い港は3:1港です。都市戦術においては特に有用です。交渉が成立しづらく生産量がインフレする終盤において、足りない資源を獲得しつつバースト対策するのに最適です。
ちなみに、年初から最初の5ゲーム全てで3:1港を取り、バーストはトータル1回でした。
特定の資源が明確に余りそうな状況では専門港も強いですが、初心者卓は専門港に対して必要以上に警戒が強くなることがあります。
【初期配置-建て先確保】
原則として、都市(カード)戦術で4軒、街道戦術で6軒以上の建て先を確保しましょう。
※初期配置2軒を含む
初心者は都市戦術が勝ちやすいと言われる理由の一つは、建て先確保が容易なことです。その他、初心者卓は最長交易路に対して異様に警戒が強く伏せカードに対して警戒が薄くなりがちといった傾向もあります。
【初期配置-街道】
原則として海に向かって、砂漠に近い内陸の土地は砂漠に向かって(砂漠が中央にない場合)引くと無駄になりにくいです。
基本的に、強い土地に向かって街道を伸ばすと誰かに割り込まれやすいです。
2面取りの土地に向かって街道を伸ばす場合、その場所の生産力が8以上(4,6など)なら割り込まれる可能性が上がります。
(港が取れる土地は特に)
迷ったら海に向かって街道を引きましょう。
【初期配置-手番格差】
カタンは手番による優劣が少なく、その点で評価されています。
AI同士の対戦結果では1番手の勝率がもっとも低く23%台、4番手がもっとも高く26%台という話です(n=2000)
経験的に、初心者卓では4番手が有利になることが多いと感じています。
2軒連続で置けるため配置の難易度が低く、1〜3番手の誰かが強い土地を取りこぼすと、その土地を回収できる可能性が高いためです。
一方、重要資源である麦鉄の生産力が低いマップでは、下位手番は生産力と重要資源の確保の両立が難しく、苦しい配置になりがちです。
【ゲームの進め方-盗賊】
カタンは、拡大再生産と呼ばれるジャンルに分類されるゲームです。
拡大再生産とは、ゲームで得たリソースを使ってより多くのリソースを得られる仕組みを作って、最終的に勝利点を得るプロセスのことです。
初めはできなかったことがゲームが進むにつれてできるようになっていく快感や、終盤のインフレ感から人気のジャンルの一つとなっています。
一方、拡大再生産は対人戦において課題を抱える可能性があります。それは、序盤で勢いがついたプレイヤーがリードしたままゴールしてしまい、他のプレイヤーは消化試合となることです。
拡大再生産の課題を解決するための仕組みとしてカタンには盗賊と交渉(後述)があります。
カタンの勝利条件とは「他の誰よりも早く10点を獲得する」ことです。
このために重要な考え方は2つあり、「自分の点数を伸ばす」ことと、「(自分以外の)トップを妨害する」ことです。
したがって、盗賊は7を出したプレイヤーを除く3人の中でもっとも有利な人の土地に置くのが基本指針となります。
※騎士についても同様です
もっとも勝利に近い人を判断するには例外もあるものの、基本的には推定点数が高い人を優先的に狙います。
推定点数とは、プレイヤーの都市、開拓地、最大騎士力、最長交易路の点数に加えて、伏せカード1枚につき1点として便宜的にカウントされた点数のことです。
(終盤で伏せカードのあるプレイヤーが最大騎士力にリーチをかけている場合に、伏せ1枚が2点に化ける可能性がある、といった例外もあります)
推定点数が同じなら都市化しているプレイヤー、都市化しているプレイヤーがいなければ開拓地の数が多いプレイヤーから資源を奪います。
(点数が同じなら生産力が高い人が有利なため)
どの土地に置くかですが、独走している人がいる場合を除き、序〜中盤は複数が囲っている土地に置くことが多いです。
自分を除く3人が囲っているか、首位と次点の2人が共有する重要な土地に置けると理想的です。
また、伏せカードがある人の土地に置くことで、騎士かどうか確かめることができます。
【ゲームの進め方-生産力拡大と勝利点行動】
一般に、拡大再生産と呼ばれるジャンルのボードゲームは序盤に生産力を拡大してその後で一気に勝利点行動に移ると強い戦略となるものが多く、カタンもその傾向があります。
初心者卓の7割のケースでは途中まで1位だった人が逆転される、と言っていた人がいました。
(それだからカタンは面白いと思っていたのですが、逆につまらないと言われて驚きました)
逆転される理由は、街道を伸ばして最長交易路を早い段階で取って警戒された、序盤からカードを引きすぎて生産力を十分に拡大しなかった、などです。
同じ拡大再生産の要素を持つドミニオンの場合、生産力拡大と勝利点行動は完全に分かれていて、生産力拡大そのものは勝利点の獲得にはならず、勝利点行動に移ると生産力が縮小します。
※ステロ(ビッグマネー)戦略の場合
しかし、カタンは生産力の拡大(開拓地の建設と都市化)が同時に勝利点行動となるため、両者の区別をしていない人が中級者でも多いです。
具体的には「盤面が3点(開拓地3 or 都市1開拓地1)以下の状況では、カードは1枚まで」といった具合に行動指針を決めています。
(「4点未満でカードは引かない」という人もいるのですが最初の1枚で得点(20%)を引かなければいいので1枚まではOKと考えています)
拡大再生産の基本戦略である「生産力拡大→勝利点行動」を意識しましょう。
※上記の議論はカードで先行されていない場合の話です。カード対抗が積極的に引いている場合は追いかけるべきケースも多いです。少ない枚数で騎士王を確定されると他の2人にとっても損になるので、自分が不利な場合は特に資源をカード対抗ではない2人から融通してもらって(レートをよくするよう頼んでみましょう)、積極的に追いかけた方がいいです(後述)
【ゲームの進め方-交渉】
カタンの醍醐味です。これは日本選手権の決勝卓(2023)が非常に参考になりました。
やや画質が悪いですがYouTubeで確認することができます。
4人のうち2人が道、2人が騎士を争う展開となったのですが、カード対抗2人のうち1人が自身の目を連打する一方で、もう1人は優勝からは程遠い状況でした。
そこで、不利なカード対抗のプレイヤーが道対抗2人に「自分は木土を出すので、カードを引くために資源を提供してほしい」と交渉します。
自身は勝利のためにカードを引く必要があるわけですが、道対抗の2人としても有利なカード対抗のプレイヤーに最大騎士力を保持されると困るので不利なカード対抗のプレイヤーを支援しました。
決勝の結果はネタバレ防止のため言いませんが、上級者の交渉は見ていて大変参考になります。
ここで重要なのは「最長交易路を2人が争うと残りの2人の利益、最大騎士力を2人が争うと残りの2人の利益」になるという関係性です。
カタンはいかに拡大再生産の課題を克服したか、について盗賊の他にもトップと交渉をしないことが該当します。
3人だけでWIN-WINな交渉を続ければトップとの差は縮まるという考え方に基づいています。
【ゲームの進め方-カード枚数】
発展カードの枚数と割合は以下の通りです。全部で25枚あります。
騎士 14枚(56%)
得点 5枚(20%)
街道建設 2枚(8%)
発見 2枚(8%)
独占 2枚(8%)
半分強は騎士です。騎士対抗がいなくて3枚引けば最大騎士力が確定しそうな場合には、5〜6枚引くイメージで戦略を立てます。
カード対抗がいる場合には、7枚以上引く可能性もあります。
5枚以上騎士を使用して逆転されたケースは記憶にありませんが、期待値上は9枚カードを引く必要があります。
得点は5枚につき1枚あります。カード戦術の場合でも引いたカードの枚数が10枚を超えることは稀です。期待値上は1〜2枚引けることになります。3枚引けたら上振れ、と考えておきましょう。
【ゲームの進め方-確率】
※随時更新予定
下記は残りカードが25枚ある場合の確率です。他のプレイヤーが引いたカードの内訳次第で確率は変動します。
・3枚引いて1枚以上騎士を引く確率
約93%
・3枚引いて2枚以上騎士を引く確率
約59%
・3枚引いて3枚とも騎士を引く確率
約16%
・5枚引いて1枚以上得点がある確率
約71%
・8枚引いて1枚以上得点がある確率
約78%
【アプリ版カタンによる分析】
正確な状況判断や高度な交渉の練習は、一定水準以上の実力者が集まる卓でなければできないかもしれません。
しかし、ソロプレイ要素であれば初心者やAI相手でも練習することができます。
初期配置はまさにその例でしょう。
特に、アプリによる対戦ではターン数とダイスの目の回数が確認できるため、期待値からのずれを考慮して振り返りを行うことができます。
目安としては、目の出た回数が期待値よりも2以上少なければ下振れ、2以上多ければ上振れと考えています。
72ターンのゲームで2や12は2回、6や8は10回出ることになります。
強い(勝利した)プレイヤーの配置と目の回数を確認し、期待値とのずれを考慮しながらその戦略の強さを分析しましょう。
【今後の課題】
※個人メモです
・他のプレイヤーの手持ち資源のカウンティング
→独占をプレイする時はやりますが、普段から身につけるべき習慣です。不必要な交渉を減らして制限時間内に終わらせる目的もあります。
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