- 2人~5人
- 60分前後
- 8歳~
- 2004年~
コロッサル・アリーナBluebearさんのレビュー
2007年にファンタジーフライト社から発売された名作で、悩ましい競りで有名な人気デザイナーのライナー・クニツィア氏の初期の作品のリメイクです。元は、旧アバロンヒル社から『Titan:The Arena』(1980)という作品だそうですが残念ながら私は未見なので、どこがどう変わっているのかはわかりません。
◎自分の担当モンスターなんてない!
テーマは、ファンタジー世界の有名モンスターたちを闘技場で戦わせて勝ち抜くことです。しかし、ここにすでにこのデザイナーならではのひねりが加わっており、意外なことに『自分の担当するモンスター』というのはありません!登場する全部のモンスターカードをすべて混ぜてしまって、この手札を使ってどのモンスターに勝たせるかを競い、勝ちそうだと思ったモンスターに所持金を賭けて、いちばん配当を多く確保したプレイヤーの勝ち!というルールです。
つまりプレイヤーの立場は、闘技場の観客席で賭け札を握りしめて声援を送っている観客になるわけですね。(てっきり「俺トロールね」「じゃあ俺サイクロプスで対抗するわ」という感じで勝負するんだと思っていました。やっぱりドイツ系のボードゲームは奥が深いです。)
◎モンスターは全12種類の多彩さ!
モンスターにはデーモンや、ユニコーン、ワーム、コロッサスなどの12種類あり、ここから8種類をランダムに選びます。(組み合わせは12C8=495通りね)
それぞれのカードは強さが書いてあって0~10まの11枚があります。これは全モンスター共通なんですが、それだとモンスターごとの特色が出ないので、各モンスターごとにそれぞれ特有の特殊能力(「追加でカードをもう一枚出せる」とか「出ている同一モンスターのカード2枚を入れ替える」、とか)を持っています。ここに番狂わせの元になる「乱入者」などのカードを混ぜて(なんとモンスターごとの特殊能力を封じてしまう!)全部シャッフルしたら、手札8枚づつを配ってゲーム開始となります。
◎生き残りを賭けて賭け金で勝負!
各プレイヤーは賭けにつかうコインを5枚づつ持っており、各手番に「最後まで生き残りそうな」モンスターを一つ予想してそいつに賭けていくのですが、毎ラウンドごとに最も強さの低い1体が脱落していきます。
最後に残るのは3体だけで、脱落したモンスターに賭けてしまったコインはすべてパーになってしまうのに対して、生き残ったモンスターにより早く賭けていたプレイヤーほど、より多くの配当金を得ることができることになっています。
つまり早く賭ければ賭けるほど、生き残った時の見返りが大きい代わりに、脱落してしまうリスクが大きいことになるのです。
ここで手札をにらみながら悶絶して悩むことになるんですよね~。
◎次々上書きされるカードで、変動してゆく強さ!
手番で次にやることは、モンスターカードを1枚場に出すだけ。非常に単純。
ただし、各モンスターの列には、そのモンスターカードしか出せません。しかも自由に上書きできるのです。例えば自分が賭けているユニコーンを勝たせようと、頑張って手札から強めの「8」とかを出して、これで安泰かと思っていたら、次の奴がその上に「2」とかを乗せてしまい、あっという間に最下位になって悲鳴を上げたりするわけです。
カードの強さは0~10までの各1枚ずつしかないので、どこで誰がいくつを出したかで、残っているカードの予測がたつので、自分の手札を見ながら、そして相手のカードの出し方を見ながら、展開を予測していくことになるのです。
8種類全部のモンスターに強さカードが公開されたらそのラウンドは終了してしまい、最も強さの低いモンスターが脱落してしまうので、どのタイミングでいくつを出すのか、ものすごく悩むことになるのですね。
あまり早く大きな数字を出してしまうと、誰かに上書きされて無駄になってしまうし、中途半端な数を出してしまうと意図しないタイミングでラウンドの決着がついてしまい、本当はもっと強いカードを持っていたのにあえなく脱落!なんてこともあり得ます。ここがシビア!
「よし、じゃあ俺はデーモンに賭けて、8ね。まあこれなら負けはないだろう。」
「俺は手札が悪い~!ユニコーンの3で勘弁して!」
「え~!なんで私のユニちゃんにそんな低い数字を置くのよ。私が賭けてるんだから負けちゃうじゃない!」
「いやちょっとカードを温存ししようかと…。パスできないんだよなあ、これきついな。」
「じゃあ私はねー。さっきのデーモンにこれを重ねちゃう」
「うわっ!0じゃねーか!〇〇ちゃんひでえ!」(全員爆笑)
「だってデーモンだから退治しとかないと♡」
「いや、そういうゲームじゃないから(笑)」
「やばい、あとトロールが出たらラウンド終わっちゃう!このままだと俺のデーモンがやば~い!」
といった感じの展開です。
このように非常に考えどころの多いゲームなので、慣れないとダウンタイムが多く、ちょっと時間がかかってしまうのが唯一欠点でしょうか?(あとコインが小さなプラスチックで、非常に安っぽいところかな。)
あと強いてあげるなら、カードゲームですが場にたくさん並んでいくので、けっこう場所を取ることでしょうか?
イラストもコミック調ではなく、海外っぽいリアルタッチの絵柄で雰囲気的にも上場。
価格も安めなので、「ラー」「モダンアート」など、切れ味鋭いクニツィアデザインのゲームが気に入ったグループならきっと盛り上がりますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
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