- 1人~4人
- 20分前後
- 10歳~
- 2020年~
トゥルーマリンショーぜろけーさんのレビュー
小箱でもしっかり楽しめる、変則ドミニオン系デッキ構築。
【概要】
場に並んだカードを購入して自分のデッキを育て、勝利点 (20VP) を目指す、いわゆる「ドミニオン系」「デッキ構築系」ゲームです。
遊んだことないので自信ないですが、ハートオブクラウンに少し近いのかなと思います。
【良いところ:小箱にぎゅっと圧縮されたデッキ構築体験】
オーソドックスなデッキ構築ゲームとの最大の違いとして、このゲームには「勝利点カード」や「財宝カード」が存在しません。
代わりに全てのカードに得点 (VP) が設定されており、これを勝利点としても、カード購入の資金としても使います。「すべてのカードがアクションカードであり、勝利点カードであり、財宝カードでもある」と考えるとわかりやすいかもしれません。これによって必要なカードの枚数がぐっと削減され、小箱でしっかり楽しめるデッキ構築ゲームに仕上がっています。
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これだけを聞くと、「アクション、勝利点、財宝をバランス良く取っていかないとデッキが回らない」というデッキ構築ゲームの醍醐味が失われてしまうように感じるかもしれませんが、代わりに「召喚コスト」の概念がジレンマを持ち込みます。
このゲームでは、カードは場に出す (召喚する) ことで初めて VP が発生します。デッキに入れるだけでは、勝利点にも購入資金にもなりません。したがって高い VP を産むカードをどんどん召喚していきたいのですが、高い VP を産むカードには、たいてい高い「召喚コスト」が設定されています。
「召喚コスト」も VP で支払うので、必然的に「まず低コスト・低 VP のカードを召喚してから、それを足掛かりに高コスト・高 VP のカードを召喚する」という連続召喚が必要になります。このシステムによって、「軽いカードと重いカードをバランス良く採用しないとデッキが回らない」というジレンマが発生するようになっています。
【良いところ:適度な運要素】
このゲームではランダムなマーケット(=いつでも同じカードが買えるわけではない)が採用されています。毎回同じデッキを組むことはできないので、カードの種類がさほど多くないわりにはリプレイ性があります。
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ランダムなマーケットの欠点として、「高いカードばかり並んでしまって誰もなにも買えない」といった極端なゲームになりうる問題がありますが、このゲームは「軽いカードから重いカードまで必ずバランス良くマーケットに並ぶ」ように設計されています (宝石の煌めきに似ています)。ただし、カードパワーにはある程度差があるので、運による有利不利は存在します。
【良いところ:VP を消費するか貯めておくかの駆け引き】
勝利点と購入資金が共通 (VP) になっているため、「VP を購入資金に回してしまうと、勝利点はいったん減る」というジレンマが発生します。
たとえば場に 15VP 出ていて、「あと 5VP 出ればあがり」という場面。もし「今のデッキなら次のターンで十分 5VP に届きそう」と思えば、カードの購入を一切せずそのまま 15VP でターンを終えるのも手ですし、「もう少しデッキを強化する必要がありそう」と思えば、例えば 5VP のカードを買って 10VP でターンを終えるのも手です。
「いつゲームを終わらせにいくか」の駆け引きが他のデッキ構築ゲームよりも強くなっていて面白いです。また「今誰が何 VP 持っているのか」が常に可視化されるのもドキドキ感があります。
【良いところ:購入権・アクション権のカウントが不要】
購入・アクションの使用回数に制限がなく、手札が尽きるまで行動できるため、回数のカウントが不要です。
代わりにドロー効果は自制的で、ノーデメリットで2枚以上ドローできるカードは収録されていません。キャントリップ(1枚ドローがついてくるカード)を連打することはある程度可能ですが、ドミニオンほどのソリティアデッキは組めません。
【良いところ:PvP とはまた違ったプレイ感のソロモード】
このゲームにはソロルールが同梱されていますが、これもなかなか面白いです。購入できるカードの枚数がかなり絞られるルールになっていて、特に高スコアを狙ったプレイではパズルや詰将棋に通じるものがあります。
【惜しいところ:絵柄やフレーバーは若干人を選ぶ?】
VTuber や美少女ゲーが元になっている二次創作作品なので、絵柄やフレーバーは若干人を選ぶかもしれない?です。自分はそもそも元作品を以前から知っていたので抵抗ありませんでしたが、こういったコンテンツに偏見を持っている(かもしれない)人を誘いづらい、というのは若干デメリットかもしれないです。元ネタを知っている人に食いついてもらいやすい、というメリットの裏返しではあるのですが…。
元ネタを知らなくてもまったく問題なく楽しめるようになっているので、「元ネタを知らないから…」と躊躇せず、ぜひ遊んでほしい作品です(もちろん、元ネタを知っているとさらに楽しめるような要素もあるので、知っている人にはさらにおすすめです)。
【惜しいところ:カードの品質】
同人ゲームで値段も割安なので当たり前ですが、カードの品質は商業ベースのカードゲームほど高くはないです。厚みや、加工精度(カードの寸法や角丸の加工に若干バラツキがある)など。スリーブを使用すればほとんどわかりませんし、公式の紹介でも「スリーブの使用を推奨」とありますので私はまったく気にしていませんが、念のため。
- 72興味あり
- 102経験あり
- 39お気に入り
- 151持ってる
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