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  • 3人~4人
  • 15分~25分
  • 10歳~
  • 2011年~

大商人ぜろけーさんのレビュー

199名
2名
0
約1年前

運要素なし、インタラクションマシマシの、コンパクトながらシビアな手札構築ゲーム。

2枚の手札からスタートし、カードを購入しながら手札を強化してゆく、いわゆる「手札構築」ゲームです。「デッキ構築」ゲームと異なり、手札を使い切ると捨て札がまるごとぜんぶ手札に戻ってくるので、シャッフルの手間がなく、また引き運の概念もありません。

300 枚近いカードが収録されることも多い一般的なデッキ構築ゲームに対して、このゲームでは購入できるカードがたったの28 枚!(28種類じゃないですよ)と、極めてコンパクトな小箱ゲームに仕上がっています。このコンパクトさはゲーム性にも大きく影響しており、他のデッキ構築ゲームでは味わえない、シビアなカードの取り合いが発生します。

手札は1ターンに原則2枚まで出すことができます(ドミニオンよろしく「アクション権を増やす」カードも存在しますが)。このとき、表面で出すとそこに書かれた効果が発動し、裏面で出すとたんに1金を獲得します。獲得したお金は次のターンに持ち越すことができるので、「2枚裏で出して、2金獲得して終了」というターンも普通にあり得ます。ドミニオンの銀・金貨のように、「お金を獲得するだけ」というアクションもそれなりに有力な選択肢です。

初期手札は「金持ちから1金奪う」「購入権を得る」の2枚となっています。このゲームでは何もしないと購入権が0のままなので、カードを購入する際はこの「購入権を得る」カードを使用することになります。

さて、このゲームの勝利条件は「8金を得るか、8種類のカードを所有する」です。ここで、「手札を2枚伏せるだけで2金もらえてしまうので、ということは最短4ターンであっさり終わってしまうゲーム…?」と思ってしまう方がいるかもしれません。が、思い出してください。「金持ちから1金奪う」カードを全員が初期手札に持っているので、そう簡単にはいきません。出すぎた杭は打たれます。

「8金揃えるのが難しいなら、カードを8種類集めたらいいじゃない」と思いきや、もちろんそれも一筋縄にはいきません。カードの総数が少ないかわりに、「他のプレイヤーからカードを購入する」といった、カードがプレイヤー間をグルグル移動するようなアクションが用意されています。

このようにお金やカードをバチバチに取り合う、強めのインタラクションが他のデッキ構築ゲームにはない特徴です。しかもこのゲームには運要素が一切ありませんから、ほぼ完全な読み合いが可能です。他のプレイヤーの行動をよく観察しながら、自分は自分で8金達成の準備をしたたかに整えていくような、シビアな戦略ゲームの一面があります。

よかったところ

コンパクトなのにしっかりとしたプレイ感

初期手札を合わせても 40 枚程度という(デッキ構築系としては)きわめてコンパクトなパッケージに、奥の深いゲーム性が詰め込まれています。さすが、のちにあの「ラブレター」を生み出すカナイさんという感じがあります。

デッキ構築ゲームらしからぬインタラクション

デッキ構築系のゲームはしばしば「ソロゲー感が強い」と評価されることがありますが、このゲームはソロゲー感とは無縁、むしろバチバチのインタラクションがある辛口の戦略ゲームになっています。カード枚数が少ないという弱点を、「相手が購入したカードを後から奪うことができる」というデッキ構築らしからぬ角度で、「激しい取り合いのゲーム」という新しいゲーム性に昇華しているのがすごいです。

惜しかったところ

デッキ構築ならではの爽快感は少なめ

よかったところの裏返しですが、「じゃんじゃんカードを購入して、派手なコンボでドローしまくる」ような、「いかにもデッキ構築」な爽快感はありません。そもそもドロー運の要素がないので、「事故が起こらないように枚数配分を考えながら購入する」といったデッキ構築特有のジレンマもありません。「小箱でデッキ構築の爽快感を実現」したゲームというよりは、「小箱ならではのデッキ構築のあり方を開拓」したゲーム、と思って遊ぶのが楽しいと思います。

妨害が多く、勝利の目指し方が最初はわかりづらいかも

お金を集めても奪われ、カードを集めても横取りされ…、はじめのうちは、どうやって勝利条件に辿り着けばいいのかわかりづらく、激しいインタラクションもあいまってしんどいと感じてしまう場面があるかもしれないです。「裏面で(1金として)出したカードは奪われない」「1アクションで2金獲得できるカードが存在する」など、いくつかの重要な事実(コツ)に気づいていくことで、だんだんと深い戦略ゲームになってきます。要は「カードゲームはカードプールを理解してからが本番」という話なのですが、インタラクションが激しいぶん、「理解するまでのストレス」を他のゲームより強めに感じてしまうかもな、と思いました。

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