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  • 12歳~
  • 2016年~

テラフォーミングマーズTM of Yokohamaさんのレビュー

538名
3名
0
11ヶ月前

【メイン要素】拡大再生産+セットコレクション+陣取り

【ルール理解】ルールが多いので、インストに時間がかかる

【手番選択肢】カードプレイがメインだが、選択肢が多い

【勝利点要素】地球化ポイント+カードによる得点+カードやタイル効果による得点

【言語依存度】カードに説明多数

【妨害干渉度】陣取りは早いモノ勝ち。直接攻撃あり。

【運と実力比】運6、実力4ぐらい

【外観芸術性】火星開拓というテーマに合ったワクワク感がある

【初心者向けルール(提案)】どうせなら拡張「プレリュード」込みでスタート


火星を開拓すべきか、開拓せざるべきか、それが問題だ。

 「テラフォーミング・マーズ」の一番の魅力は、これまでのレビューにもある通り「火星の地球化(開拓)」というテーマではないかと思います。地球が人類の住めない星となりつつある中、何世代もかけて火星を開拓し人類を移住させるという、壮大かつ近未来にはありそうな予感。火星に海が出来、都市と森で満ちていくという夢とロマン。コンポーネントからして、ワクワクさせてくれる何かがあります。

 ところが、タイトル通り、火星開拓に一番貢献した企業が勝利するゲームかと思いつつ、実は、火星を開拓しなくても勝てる(場合がある)という、少し不思議なゲームでもあるのです。

 このゲームのデザイナーは、どのようなゲーム展開まで想定していたのでしょうか。「火星開拓」とは、火星を地球化する行為、すなわち<気温上昇>、<酸素濃度の上昇>、<海の創造>の3つのアクションを指します。開拓に貢献すると「地球化指数(TR)」というポイントがもらえ、「TR」は次ラウンドの収入にもなり、最終的に「勝利点(VP)」にもカウントされます。

 膨大な200枚のプロジェクトカードに目が行きがちですが、カードとは関係ない<標準プロジェクト>で3つの基本開拓アクションが行えます。標準プロジェクトによる開拓だけでも、後半に2次関数的に加速する拡大再生産となるところは、非常に緻密に計算されていると感じます。ただ、カードを使用することで開拓が少し安くできたり、収入がより増えたりするようになり、他のプレイヤーよりゲームが有利に展開できるようになります。

 私の勝手な想像ですが、標準プロジェクトにより都市や森林を作りつつ、カードを使い+αの効果を得てゲームを有利に展開する、そんなゲームデザインだったのではないでしょうか。誰でも、最初にこのゲームをする時は、そのようにプレイすると思います。ところが、熱心なゲーマー達は、次第にカードだけの強い組み合わせで得点を重ねられる方法を思いつき、上記の開拓3アクション以外でも大量の資金と得点を生み出すという、デザイナー本人の想定を超えた勝ち方を見つけてしまいました。

 もちろん、ゲームデザイナーは「ゲームに強い人」である必要はないため、本人の想定を超えた攻略法が出ても全く問題はありません。むしろ、ライトなゲーマーを楽しませ、コアなゲーマーを納得させられるだけのポテンシャルが、このゲームにはもともとあったのだということです。ただし、カードだけで勝つには、初期の企業選びと、途中で狙ったカードを引けるかどうかにかかっています。着実に点を稼ぐには、標準プロジェクトによる開拓アクションとカード効果ををうまく組み合わせる必要がありますので、このゲームに勝利するには、「火星を開拓すべきか、開拓せざるべきか、それが問題」となるのです。


 魅力あるゲームである一方で、不満もあります。

 まず一つ目。ゲーム最初の企業+初期カードの選定が、勝敗の2割ぐらい影響することと、ゲーム進行も途中のラウンド毎に引く4枚のカード次第な面があること。ゲームに運要素を盛り込むことを否定しているわけではないのですが、2時間以上はかかる重量ゲームで、結局カードの引き運次第かと思ってしまうと、個人的には妙に納得できない部分があります。ドラフトを導入したり、プレイスキルがあがればカード運をある程度コントロールできるようになりますが、やはり重量級ゲームは実力で勝負をつけたい。

 2つ目。プレイングに優しくない設計であること。個人ボードが2層式ではないためキューブがすぐズレてしまい、扱いづらいです。別売りでオーバーレイや2層式個人ボードを購入すれば解決できますが、標準仕様で2層式にしてほしいところ。また、カードを大量に使用するため、机のスペース的にも、タグの効果を参照するにも、得点計算も非常に煩雑です。アプリ版やBGAではコンピューターが自動で処理してくれますが、対面でやる場合は10回ぐらいプレイした今でも、正しく処理できる自信はありません。

 3つ目。ゲームが長くなる傾向があること。1ターン2手番のダウンタイムが長い。拡大再生産の軌道に乗るまでが長い。序盤の企業力にゲタを履かせられる「プレリュード」拡張込みだと、拡張なしより2~3ラウンドぐらい短くなりますので、私としてはマストの拡張だと思っています。また、ゲーム終了条件が、上記3つの開拓アクションが全部上限値に達したら、というのも問題です。火星開拓しないでもカードだけで勝てる場合、1番を走る人にゲームを終わらせるインセンティブがなくなるからです。終了条件の一つに、開拓とは別の要素があっても良いのではないでしょうか。たとえば、カードの山札が無くなったらリシャッフルせずにそのターンでゲーム終了、もしくは12世代が来たら終了、など。


 あれこれ書いてきましたが、最近、BGAのターンベースで、自分の手番以外の待ち時間をなくし、カードのタグや得点計算の処理をコンピューターにやってもらうと、余計なストレスがなく、楽しくプレイできることに気がついてしまいました。「プレリュード」拡張込みだと更に快適です。

 つまり、ゲーム自体は非常に面白くて魅力的なのに、プレイする環境にやや難があるということです。もし、テラフォーミングマーズをやったことない人にお勧めしたいなら、詳しい人がうまく面倒な処理を一手に引き受けて、初めてやる人がゲームの内容に集中できる環境を作ってあげましょう。個人ボードも2層式を用意して、ストレスなく出来るように。

 ゲーム自体の評価は、「プレリュード」拡張込みで☆8ですが、対面でやる場合の色々な不満点を差し引いて☆7としています。

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touring123
たっくん@カードゲーマー
びーている / btail
仙人
TM of Yokohama
TM of Yokohama
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