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  • 2人~5人
  • 45分~60分
  • 12歳~
  • 1999年~

ラー18toyaさんのレビュー

584名
14名
0
約3年前

クニツィア三大競りゲームの名は伊達じゃない!独特な競りシステムが深い駆け引きを生む傑作!

【評価8/10】軽中量級・2~5人

一巡競り×セットコレクション


傑作を数多く生み出しボードゲームの歴史に燦然と輝くクニツィア先生の最高傑作の一つ。モダンアート・メディチと並び称される「クニツィア三大競りゲーム」の一角です。


クニツィア先生の作品は,プレイヤーの行動はシンプルなのに戦略が深いゲームが特徴的ですが,このゲームもご多聞に漏れず,プレイヤーが取れる選択肢は少ないのにジレンマに悩まされる好ゲームです!


<概要>

本作では各プレイヤーが競り場にタイルを置いていき,競りを行ってタイルを獲得していきます。多種多様なタイルはさまざまな特徴を持っており,どう集めるとどう点数になる,という決まりは若干複雑です。


ただし,そこさえ乗り越えてしまえばプレイヤーができる行動は非常にシンプル。

1)袋からタイルを引いて中央の競り場に置く

2)「ラー」を宣言して競りを開始する

3)神タイルを使う

このたった3つです。しかも,このうち3)の「神タイル」は競り落としたタイルの中に神タイルがある場合だけ行える行動で,内容も「神タイルを1枚捨て,競り場から好きなタイルを1枚取れる」というもの。

従ってプレイヤーの普段の行動は基本「タイルを引くか,競りを開始するか」の2択という事です。


言えば「たったそれだけ?」という話。しかし行動が簡単でも戦略が簡単とは行かないのがクニツィア流。本作でも安定のジレンマに引きずり込んでくれます。


<どこまでタイルを引くのか>

上に「タイルを引くか競りを開始するか」の2択と書きました。基本的にはタイルが中央に8枚並んだ時点で必ず競りを宣言しなければならない事になっています。

しかし,では8枚になるまでただ引き続けるかというとそう単純ではありません。


<「ラー」宣言による能動的な競り>

このゲームはタイルの集め方によって点数の入り方が違うので一概には言えませんが,大胆に単純化して言えば「他プレイヤーの取るタイル数を少なくすれば点数を抑えられる,つまり自分が有利になる」という事になります。ここの匙加減が難しい。

絞りすぎれば誰も入札しない。しかし大盤振る舞いしすぎると他人を有利にしすぎる。従って,両者の間,つまり「最高では無いが,最悪でもない」という状況で能動的に仕掛け,他人を落札に誘導する。それが「ラー宣言による競り」の一つの役割です。


また,「他の人にはあまり得にならないが自分に得なタイルの並び」の時もラー宣言のチャンスです。あまりタイルをめくりすぎると他の人にもうまみが出てきてしまうかもしれない。余計なものがくっついて他の人にとっての価値も上がる前にさっさと競りを開始して自分が安く落札してしまおう。こういう動機でもラー宣言は十分成立します。


<ラータイルによる「偶発ラー」とラー・トラックによるチキンレース>

また,能動的なラーには他の意味もあります。

実は競りに入るタイミングはラー宣言によるほか,袋から引かれたタイルが「ラータイル」の時に起こる「偶発ラー」もあります。この時ラータイルは「ラー・トラック」に置かれていき,2人戦だと6枚目,3人戦だと8枚目など決まった枚数のラータイルがトラックに置かれた瞬間,競り場のタイルは落札されることなく全て流れ,強制的にラウンド終了となってしまう。まさしく神の定めたもうた運命に翻弄される人間たちの図です。

エジプト神話の最高神であるラーが終わりと言えば終わりなのだ。人は神の定めたもうた運命に逆らうことはできない。


このラー・トラックがいっぱいになる枚数,実はプレイヤーの入札能力と全く合っていません。例えば2人戦,3人戦だと各プレイヤーは4回まで落札できます。つまり,本来落札できる回数は2人戦だと合計8回,3人戦だと合計12回のはずです。しかし偶発ラーにだけ競りを頼ると,プレイヤー達の落札能力を生かし切れないまま突然ラウンド自体が終了してしまいます。

しかもラータイルのタイミングは偶然のため,例えばタイルが競り場に1枚も並ばないうちに初っ端ラータイルが出るなど,プレイヤー達が誰も望んでいないタイミングで偶発ラーが発動する事も良くある話で,偶発ラーだけに頼っていては落札機会が全然足りない。


こうして,上記したように他のプレイヤーに対する仕掛けのような「攻めのラー宣言」もある一方で,「そこそこ満足できるタイルが出たから,ラータイルがあんまり溜まる前にひとまず競り行っとこうよ!」という「守りのラー宣言」も発生するのです。


ただし神は気まぐれです。連続ラータイルで無情にもあっさりラウンドが終わる事もあれば,ラーがあと1枚でラウンド終了なのに突然ピタリと出なくなる事もある。そういう時にはいわゆる「一人ラー」が始まる場合がたまにあります。ラータイルがいつ出るか分からないというスリルはありますが,彼は好きなタイミングまでタイルを引き続けて,これ以上はやばいかな?というタイミングでラーを宣言し安い落札でタイルをたくさん持っていく。この「一人ラー」もまた本作の醍醐味です 笑。


こうして,本作「Ra」ではプレイヤー間の牽制もありながら,運命の,神様のご機嫌伺いもある。まだタイルを引けるのか。もうそろそろラーが出そうなのか。ラータイルに脅えながら,それでもギリギリまで攻めてなるべく多くのタイルを取りたい。このように,Raにはチキンレースの要素もあるのです。


<「太陽駒」による競り>

さて,肝心の競りの中身なのですが,ここも一捻りが利いています。

このゲームでは競りにはお金を使わず「太陽駒」というものを使います。各プレイヤーは一定の数の太陽駒をゲーム開始時に受け取ります。2・3人プレイなら4駒,4・5人プレイなら3駒といった形です。


太陽駒には「2」「3」「4」などの数字が刻まれており,これが入札金額のようなものです。誰かが太陽駒を出していたら次の人は前の人が出した駒より大きい数字の太陽駒を出すか,出したくない・出せない場合はパスします。

競りが一巡回った時に一番大きな数字の太陽駒を出していた人が競り場に並んでいるタイルを総取りします。それに加えて,競り場に置いてある太陽駒を引き取り,逆に今競り落とすために使った駒を競り場に置きます(つまり太陽駒を取り替える)。この時,競り場から引き取った太陽駒はこのラウンドの競りには使えません。それは次のラウンドの競りで使う太陽駒になるのです。


太陽駒による競りはポイントが2つあり,一つは落札できる回数が駒の個数によって制限されるという点。「ちょっと数字が大きすぎるな、9の駒の力を4と5に分けたいな」と思っても価値を分割する事も落札回数を増やす事も出来ません。

もう一つは,強い太陽駒で入札すれば当然その回はタイルを競り落とせるでしょうが,その強い駒自体が次の競りにかけられるため他の人のものになる可能性が高い点。勿論,自分が次の競りにも勝てば先程の強い駒を取り戻せますが,落札権利を2回も使ってしまって良いのか?という点が気になるところ。

太陽駒の数までしか落札はできない。また太陽駒を使い切ると入札への参加権すら無くなる

例えば場に並んでいるタイルはとても価値が高くてAさんがどうしても取りたいと思ったとします。そのためAさんは13という大きな数字の太陽駒を使いました。しかしタイルは確かに絶好だったものの場にあった太陽駒は1でした。太陽駒的に見ると,Aさんは13の太陽駒を手放して,次ラウンドの入札で使う太陽駒の1つを「1」に決めた。という事になります。


こうして各プレイヤーは手元にある太陽駒を使って競りをしながら,タイルと共に次のラウンドで使う太陽駒を手に入れていく。


この,タイルだけではなく場の太陽駒まで含めた競りが熱い!また,落札をすればするほど今のラウンドで使える太陽駒は限定されていき,全て使い果たした後は入札する権利すら無くなります。

選択肢は残したいけど良い競りは落としたい。でも他のプレイヤーに大きい太陽駒を取られたくない。ここら辺でもジレンマが発生します。ルールは単純なのにこんなに悩ましいゲームをよくぞ…とクニツィア先生の手腕には感嘆するしかありません。


<結びに>

以上,「Ra」の最大の特徴かつ魅力である「能動ラーによる仕掛け」「偶発ラーとチキンレース」「太陽駒を使った競り」について説明してきました。

競りとしては珍しく二人から遊べるのも特徴で,競りゲームの傑作な上に使いやすいという最強クラスの競りゲームです♪


発表は1999年作と若干古いですが,未だに新品が流通販売されているのは名作の証拠。近年のユーロゲームのような全部盛り要素モリモリ麺マシマシなゲームに慣れているといささかシンプル過ぎるように見える点や,ゲームの特性上ソロプレイに向かない点など,今の流行作とは少しゲームの質が異なる面はありますが,こと対人戦で遊ぶ上では,熱い駆け引きをたっぷり堪能できる極上の作品です。未プレイの方は是非遊んでみてください。共に「ラー!」と叫びましょう!

セットコレクションの法則はやや複雑だがプレイヤーボードにも記載されており,何度かプレイすれば慣れてくるだろう。そこからが本当の勝負だ


長文を最後までお読みいただきありがとうございました。皆様の良きボドゲライフに少しでも貢献できれば幸いです^^

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