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オースももんがさんのレビュー

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9日前

評価:10(歴史と世界を想像して創造するゲーム)

ROOTやパックスパミール、ジョン・カンパニーの作者が既存のナラティブゲームにたいする(作者の感じた)不満を解消して作ったゲーム

まさに物語生成装置というシロモノです。
この時点で好みがわかれると思いますので、以下の人は避けるべきでしょう

  • ゲームは勝ち負けにこだわりたい
  • 面白いシステムが遊びたい
  • キングメーカーなんてありえない
  • 同じゲームを何度も遊ぶなんて考えられない

少々長いので、ここで読むのをやめてもらってかまいません。
逆にこんな人は遊んでみてはいかがでしょうか

  • ジョン・カンパニーやパックスパミールが好き
  • プレイヤー同士の競争と協力の微妙な関係が好き
  • ナラティブゲームを体験したい

なお、これを作成するにあたって以下のblogからの影響を受けています。
ゲームへの解像度があがるので、こちらも読んでみてください。
https://www.comonox.com/entry/boardgames/open/oath-chronicles-empire-and-exile
https://takewatch.blog.jp/archives/20258030.html


ナラティブゲームってなに?
オースのキャラクターとプレイヤーの関係
勝利条件
キングメーカー問題
年代記
マップ
アクションポイント制
戦闘システム
気になる点

ナラティブゲームってなに?

narative(物語性)ゲームとはなんだろうか?
厳密な定義は、ここではしないというか自分もよくわかりませんが私の感じるナラティブゲームとは

自分の体験を思い出として語りたくなるゲーム

とします。
マーダーミステリーや、その中でもストーリープレイング(ストプレ)がわかりやすいナラティブゲームかと思いますがオセロで劇的な逆転をした体験もナラティブな体験といえるでしょう。
ナラティブゲームは、そのような体験を意図的に組み込んでプレイヤーに体験させるゲームと私は考えています。

オースではファンタージー設定のもと住民、拠点、遺物、大建築物など物語を想像させるカードが登場します。
また、ROOTでお馴染みのカイル・フェリンのアートワークそのものが魅力的でもあります。

オースのキャラクターとプレイヤーの関係

オースの勝利条件を語る前に事前情報としてプレイヤーの役回りを知ってもらう必要があります。
このゲーム開始時には、一人の帝国側プレイヤー(宰相)と、その他の追放者が登場します。
また宰相(王権の笏の保持者)は、追放者へ報酬付きで市民に勧誘できます。

宰相:帝国を支配していて権力の維持し、その地位を自分の子孫に引き継がせようとします。
追放者:社会で発言力を得ようとする虐げられた人々の指導者です。
市民:帝国の勝利のために宰相と協力関係ですが勝利条件は宰相と別に設定されています。

市民になるには「王権の笏」の保持者による勧誘が必要ですが、追放者に戻るには相応のリソースを支払うことで自由に国を去ることができます。
追放者というより帝国に定住しない流浪の民といった方が近いのかもしれません。

帝国 vs 追放者たちという対立構造ではなくて実際には全員が全て敵です(追放者同士もです)
ただし宰相(帝国)の方が有利な状態のため、全追放者から宰相は狙われやすく、宰相は追放者の中から一番弱っているであろうプレイヤーを甘言と報酬で市民にしようとします。

ちなみにキャラクターは見た目が違うだけで個別能力はなく完全に同じ能力です。
ついでにいうと宰相も95%ぐらいは同じです。(初期の所持品と勝利条件の判定が違う)
※アクションの説明も全キャラクター共通です。

勝利条件

オースには4つの勝利条件があります。
非対称のゲームではあるのですが、この4つの条件自体はどの陣営でも同じで、適用のしかたが異なるだけです。
なのでROOTのように異なるルールを覚える必要はなく、適用の仕方だけ覚えればよいです。

覇権の誓言・征服の思想:支配する拠点の数が最多
人民の誓言・反乱の思想:人民信望の旗幟タイルを所持
保護の誓言・聖域の思想:遺物、旗幟タイルの合計所持数が最多
献身の誓言・信義の思想:大暗黒秘儀の旗幟タイルを所持

誓言(オース)はゲーム開始時に1つだけ公開されゲーム中に変わることがありません。
この条件(誓言)を達成をしている状態のプレイヤーをオースキーパーといいます。
追放者はオースキーパーの状態を2ラウンド、帝国側(宰相と市民)はオースキーパーの状態でサイコロの出目
で勝利が決まります。(つまり帝国側はオースキーパーにならないよう他のプレイヤーから狙われやすい)

追放者は、上記の誓言に加えて思想カード(4種)を手に入れることで、それを追加の目標とすることができます。
目標を達成するには、それを実施するという誓言(オース)が必要となります。
※誓言と難しい言葉を使いましたが単に個人ボードの思想公開エリアにカードをプレイするだけです
思想は公開している時点で手番開始時に条件を満たしていれば勝利となります。
通常の目標達成に比べて1ラウンド少なくて済みます。

市民はどうなってるの?

宰相と追放者の勝利条件は、わかったけど市民はどうなっているかというと
市民は帝国側が勝利したときに、宰相含む帝国側で別のいわゆるトップタイ争いが始まります。
詳しくは省略しますが、覇権が目標であれば、保護(遺物、旗幟タイルの合計所持数が最多)の条件で勝利を決めます。他の目標タイルも同様に、他の4つの条件のいずれかで勝利者が一人になるように決まります。

全員敵のレースゲーム
つまり、追放者 vs 追放者、帝国 vs 追放者、帝国 vs 帝国 の3つのレース構造となっているのです。
実際には得点制でなく勝利条件制なのでレースというには、ちょっと違うのですが作者自身は、
覇権における拠点数をVPと表現したり、プレイヤー間の目標達成の度合いの指標としてVPという表現を使っているようです。(製作者日記にて)

ちなみに、宰相は市民とのレースに勝てないからといって市民を追放できないのでしょうか?
応えはイエスでもありノーでもあります。
市民権の付与とはく奪が可能なのは宰相でなく「王権の笏の保持者」です。
市民権を得る交渉条件は追加で信望トークン、知識トークン、旗幟タイル、遺物カードを含めることができます。
王権の笏(遺物カード)を市民が持ってさえいれば市民権をはく奪されることはないので、交渉時に報酬に加えてもらうか・・・

戦争アクションで奪うことも可能なのです。まさにクーデターです。
このような3種の対立がキングメーカー問題を引き起こすわけです。

キングメーカー問題

このゲームに限らず勝利が見えない人は残りのゲームの時間を何すればよいのか?という問題があります。
点数を競うゲームであれば勝ちが見えなくても自分の点数を伸ばすことを考えてアクションをすることが多いのではないでしょうか。
結果的に、それは消極的なキングメーカーとなっています。自分の点数をあげるという理由をつけて。

オースでは勝利点ではなく条件達成型のゲームなので消極的なキングメーカーでなく、露骨にキングメーカー問題に直面してしまいます。

Aさん:BCDからの攻撃に耐えきれば勝利です
Bさん:部隊がいないからCさん、Dさんお願いします
Cさん:Dさんを攻撃するための部隊なので無理。Dさんお願い
Dさん(宰相):Aさんに勝たれるのは困るが、Cさんの対応しないといけないのだが・・・

これはシステム上の問題でなく好みの話で、ほとんどのゲームで消極的なキングメーカーを許容しているのではないでしょうか。また作者はこのようなプレイヤーの関係(bad marriage:破綻した結婚生活)=協力と衝突を好んでシステムに取り込んでいます。氏のゲームであるROOT、パックスパミール、ジョン・カンパニーどれも心当たりがあるのではないでしょうか。

キングメーカー問題にどう対応するのか?という答えらしきものは人それぞれあると思いますが、私の中でオースでは結論がでています。それは、

後世の時代が自分の好む方へ進むであろうプレイヤーを支持する

です。
各プレイヤーは勝利のために思想を掲げている。それは次の時代の共通目標となります。
また、勝利プレイヤーの支配している土地の住民は確実に次の世代に持ち越しされます。

住民カードは6つの種類にわかれており、テーマが決まっています。
勝利プレイヤーの助言者のカードが次の時代には増えます。

年代記

このゲームの最大の特徴であり魅力の年代記について説明します。
シナリオ型のレガシーゲームやキャンペーンと異なるのに、なぜオースは連続で遊ぶことが前提なのか?

それが、この年代記による世界の状況変化があるからです。

詳細は割愛しますが、わかりやすいのが主に3つ
ゲーム終了時に以下の引継ぎを行い次のゲームに備えます。

  1. 目標タイルの選択
  2. マップ整理
  3. 住民カードの入れ替え

目標タイルの選択

これは次回開始時の目標タイル(勝利条件)となります。
思想で勝利した場合は、その思想。そうでないなら今回の目標タイルと異なるものを選びます。(その誓言は時代遅れなのだそうです)

マップ整理

勝利者が支配している拠点以外が削除されて新しい拠点(裏なので何かは、わからない)に更新されます。
ちなみに、この選択の前に「ワイ、(あなたに忠誠を誓って)市民になります」と宣言することで、勝利者の支配地域が増えます(部隊を勝利者の部隊と置き換える)
このキャラクター(notプレイヤー)は、次回は市民でゲームを開始します。
※同じグループで遊び続けるのか?キャラクターは固定なのか?など事前に決めておくとよいらしい

あと帝国の勝敗の結果で大建築物が建立されたり廃墟になったりします。(歴史を感じましょう)

住民カードの入れ替え

住民カードは6種類に分類されており、勝利者の助言者に一番多い(勝利者と一番交流のある種類)の住民が3枚増えます。また隣から2枚、さらに隣から1枚と合計6枚追加され、逆に捨て札や敗者の助言者からランダムに6枚除外されます(数十ゲームやらないと復活しない)

マップ

作者お気に入りだと思われるマップシステムについて
オースのマップは拠点を盤面に配置しますが、物理的な位置を表しているのでなく概念的に中心地、その周辺、さらにその周辺というものを表している。
これを円形に並べたら意味がないのだが・・・これを概念として配置するようにしている
これが年代記における有機的にマップの変化に対する解決として非常にすぐれている。
また、外周から外周への移動は、周辺から外周より遠いことがあるというのを表すこともできた。

普通に遊ぶ分には何も気にされないしゲームの面白さには直結しないのだが、
プレイヤーは円形の範囲や勝利プレイヤーの拠点が遷都により中心地になることを感じられる。

※が、これ説明しないと気づかないんじゃなかろうか・・・

Cole Wehrle’s Designer Diaryより

アクションポイント制

ここで戦闘システムの説明の前にオースにおけるアクションについて説明します。
オースでは個人ボードの下側にあるサプライと書かれたトラックをマーカーで管理します。

マーカーの右側の空きスペースの数が保有するアクションポイント残数となっており、メジャーアクションでは、必要な量のサプライコスト支払い(マーカーを右側へ移動し)アクションを実行します。

画像はbggより(製品には存在しないキャラ)

このポイントをアクションフェイズで任意のアクションを任意の回数実行するように割り振りします。
ちなみにマイナーアクションというサプライコストを消費しないものもありますが、ここでは割愛します。

なぜサプライと書かれているかというと、手番終了時(休息フェイズ)のAPの回復量がサプライの部隊の数に応じて変化します。
部隊を個人ボードおよびマップに配置すればするほど回復量が減ります。

盤面を制圧して優位になるほど戦争をしかけにくくなるわけです。

オースではアクションは全員共通で6種類あります。

  • 探索
  • 召集
  • 取引
  • 回収
  • 戦争
  • 旅行

    次は戦争アクションによるちょっと変わった戦闘システムについてです。

    戦闘システム

戦闘は戦争アクションにより、だいたい以下の流れで行われます。

  • 防御プレイヤーの指定
  • 対象の選択
  • ダイスロール
  • 終戦処理

これだけ見ると特段かわったものではないのですが、「対象の選択」が、ちょっと変わっています。
オースでは自分のコマがある拠点を支配しているプレイヤーと、自分のコマを置いているプレイヤーのいずれかを防御プレイヤーとして攻撃できます。(誰も支配していない。誰のコマもない場合、NPCを対象とできます)

攻撃対象(防御プレイヤー)を指定したあとの対象については、相手のコマ(相手の持っている信望トークン)や持っているアイテムなどを対象にできるのも、まあよくあると思います。
変わったところというのが上記に加えて、防御プレイヤーが支配している拠点を対象とできるところです。

それも普通じゃないの?と思われるかもしれませんが、いわゆるマップ型のシステムにおいて
相手の陣地に攻撃(侵入)するさいは、たいてい隣だったり、どこか1カ所というのが一般的じゃないでしょうか。

オースでは防御プレイヤーが支配している拠点であれば、地理に関係なく”どこでも、いくつでも”攻撃の対象として選べるのです。
これは1アクションで複数の拠点の支配を得られる可能性があるということです。

1アクションで1拠点しか支配できない場合、たとえ複数アクションポイントを使っても拠点を奪い返すこと自体が難しいですし相手側がまた防御を固めてしまうと相手より拠点の数を上回ることは相当に難しいでしょう。

複数の拠点を攻撃対象にするというのは相手側の防御も増えてしまうので攻撃側のリスクも当然増えます。
さて実際には、どれくらいのリスクをとって攻撃すればよいでしょうか?

それは戦争アクション早見表に書いてあります。

自分の部隊数が「相手の部隊数+防御ダイスの数」であればだいたい成功するでしょう。
ただしダイスの数が4以上であれば防御力が2倍になる可能性があるので安心できません。

攻撃側の白抜きの剣は2個で1攻撃力、2攻撃力ある面はドクロマークで想像できますが1部隊減らします。

最後は気になる点についてです。

気になる点

このゲームで気になる点をいくつかあげたいと思います。
キングメーカー自体について触れたので、ここでは取り上げません。

  • 難読漢字・用語
    普段見慣れない言葉・漢字がいくつかでてきておりルールを読むさいにも「これなんて読むの?」と頭にはいってこない。没入感を増すためにも事前に同卓者に説明しておいた方がよいかと思います。

隘路(あいろ:通路として狭い、進行の難所)⇒ かならず通らないといけない拠点

旗幟(きし:合戦のおり、自分の存在を明らかにするために立てるはた・のぼり。旗じるし。転じて、表立って示す立場・主張)⇒ ゲーム中は旗(はた)でまったく問題ない

簒奪(さんだつ:本来君主の地位の継承資格が無い者が、君主の地位を奪取すること)

信望(しんぼう:信用と人望)

誓言(せいげん・せいごん:必ずこうしますと(神仏にかけて)約束する言葉)⇒このゲームのタイトルでもあるオース(Oath)のこと

  • 事前共有
    上記の没入感を増すためと重なる部分もありますが、アクションの意味や世界観を事前に共有することで満足感があがるとともに、逆に説明無しに勝敗だけを競うゲームのようになってしまうとこのゲームの魅力は伝わらないと思います。

    プレイヤーの役割(宰相=旧体制を維持したい、追放者=旧体制を変えるもの)
    カードのプレイ(拠点) :住民(取引相手)を増やす。住民と親交する(信望トークンを得る)。
    カードのプレイ(助言者):取引でより利益を教授できる(同族の同行者がいるとより友好的)
    取引アクションで秘儀トークンを得るのは、信望トークンを得るよりも困難です。住人は見知らぬ相手には秘儀をしっかりと隠すのです。

  • 準備が大変
    ゲームそのものの準備というより上記に関連した、没入感を上げるため事前にかなり情報を整理してプレイヤーに伝えなくてはなりません(まぁゲームするだけなら実際にはアクションの説明だけで十分ですが)
    オースの魅力を伝えるにはかなりの労力が必要になるかと思います。

  • TRPGに近いのかもしれない
    ゲームのシステムや勝敗を楽しむというより体験を楽しむゲームであるため、このようなゲームを楽しめるボードゲーマーが身近にいないと、たぶん不満の方が多く感じてしまうかもしれない。
    実際にはTRPGのセッションを楽しむ感覚に近いと思われる
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