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  • 1人~4人
  • 60分~75分
  • 14歳~
  • 2020年~

メルフwinterkoninkskeさんのレビュー

795名
10名
0
3年弱前

二人プレイ時の感想を書きます。

メルフは、数百年前にシルクロードで栄えた大都市「メルフ」において交易などの様々なアクションを行い、モンゴル軍の襲撃に備えながら都市を発展させていくゲームです。

ゲームの中心になっているのは、ボード中央にある5×5マスの都市エリアでのワーカープレイスメントです。まず四角形の上の辺から、下に伸びる5列を見て1列を選び、その列の1マスを指定してリソースの獲得とマスに描かれたアクションを行います。

列は早取りになっていて、全てのプレイヤーが空いている列にワーカーを置いたら1フェイズ終了し、今度は右から列を選びます。これを下、左と4手番行うと1ラウンド(一年)となります。

アクションを行ったマスには自分の建物コマが置かれ、この建物がある列に別の建物コマを置くと連動して獲得できるリソースが増加します。四方から上手く収入を得られるよう自分の列を作っていく感じですね。自分のやりたいアクションのために敢えて他人の構築した列を使うことも出来ます。この場合、使われた他プレイヤーにも収入が入る仕組み。

3ラウンド(三年)を行って、いちばん勝利点が高かった人が勝ちです。

アクションは6種類あって、主にセットコレクションや双六による勝利点とボーナスが入る要素が、ボード周辺に散りばめられている構成です。カード列からスパイスカードを集めたり、リソースを注ぎ込んで特殊能力が貰える本を集めたり、進めることで大きな勝利点に繋がる双六をやったりと、どのアクションも微妙に他のアクションと影響し合っています。

さて、ここまで説明すると、普通の要素散りばめ系のワーカープレイスメントといった所でしょう。メルフでは、歴史的事実に基づいて「モンゴル軍の襲撃」を再現することでそれらと差別化されています。

二年目と三年目の終わりに、メルフはモンゴル軍の襲撃を受けてしまいます。前述した建物コマは縦と横の両方から「市壁」で守らなければ、身代金(リソース)を支払うか、そうでなければ破壊されてしまいます。せっかく作った町並みが壊され、収入も減ってしまう。

そのため、アクションのひとつである「市壁の建設」を使って、建物を守る行動が必要になります。この時、他人の建物をついでに守ることで「影響力」を上げることができます。

影響力が上がるとより効果の高いアクションが使えるようになったり、直接勝利点をもたらすようになります。

つまりプレイヤーは、

・収入と防衛のことを考えながら5×5マスの町に建物を配置

・他人に影響を与えるアクションを行うことで自分も強化

・獲得したリソースをどのアクションに使うと効果的かを、散らばった要素から見極める

この辺りを考えながらプレイして行くこととなります。


正直なところ、二人だけで遊んだ時点では思ったより点が伸びずにモヤモヤします。

というのも、二人だと「勝手に建物を建てられたり、自分に良い影響を与えてくれないNPCが三人目としているだけ」なので、収入や防衛力がかなり足りなくなる展開になりやすいです。単純に市壁を建てるプレイヤーが三人時より一人少ないので、「他人が守ってくれた分、市壁を建てずに安い身代金でギリギリで防ぐ」といった戦法がしづらく、ただでさえ少ない手番数を圧迫してしまうのかなと。

ゲームは12手番しかないので、何だか色々やろうとしてどれも手付かずとなり、結局一番効率が良さそうな「モスク」と呼ばれる双六アクションに戦略が偏りがち。二人だけで遊ぶのがメインの環境の人には、オススメしにくい作風です。

では三人以上だとどうかと言うと、自分はプレイしていないのであくまで憶測になってしまいますが、それでもカツカツなリソース管理になって来ると思います。後半に収入が増えてきた辺りで1アクションの比重が大きくなってくるので、狙った要素を最大限伸ばしきれるかが重要になってくるのかなと。

アクションの種類が多く色々やれそうなのにやれないので、しっかりとした計画性が求められます。個人的にはもうちょっとあちこち齧っても勝てるような自由なのが好みですが、実力がストレートに出る系が好きな人には合うと思います。

あとは、市壁がたくさん置かれてくると、壁に囲まれた町に立体的な建物が並んで、あたかも本当に都市がそこに出来上がったかのような視覚的な達成感が得られる点が秀逸です。アートワークが100点!って感じのコンポーネントなので、情景は本当に素晴らしいです。


プレイ人数によって感覚がかなり違ったりして断言できない部分もありますが、基本的には一手番が重く、細かいルールも多いゲーマー向けの内容だと思います。ちょっと三人以上でやってみないと作家の求めたバランスは理解できないと思うんですが、とりあえず二人プレイ前提の環境では他の作品を遊んだ方がいいかも、と伝えたくて書いてみました。

コンポーネントは、前述したようにまずアートワークが100点といった印象で、彩り豊かで線の細かいイラストがボードやカードの隅々まで描かれており、とても雰囲気が良いです。

市壁コマや建物コマなどの木駒にもオリジナリティがあって、ゲーム終盤になるにつれ立体感を増して行くメルフの町は非常に見応えがあります。ラクダコマもちっちゃくてかわいいです。

交易や信仰、防衛などを通して当時の都市の様子を想像するのが楽しく、こういった歴史的な背景を感じ取れるイメージ作りがとても上手くいっているので、「好きだなぁ」と思えるゲームです。プレイ人数の環境的にはいまひとつ満足できなかった部分もありますが、体験として楽しい事に間違いはないので買って良かったと思っています。

メルフという都市は結局、最後は侵略を防ぎきれずに破壊され、衰退して、現代では「遺跡」として砂漠にぽつんと残されているだけだそうです。こういう情報もルールブックに記載されているので、気持ちも入りますね。

気になったのはこの日本語版ルールブックに、誤字がかなり多いことです。ちょっと翻訳の際に分かりにくい言い回しになってしまっている部分もあって、理解が難しいポイントもありました。なんかこう…徹夜して一晩で仕上げましたみたいな穴があるので、そこはマイナスポイントでした。


個人的に好きですが、けっこう好みも分かれるゲームだと思うので、重たいゲームに慣れていて、作家性の振れ幅にもある程度理解のある中〜上級者同士で遊ぶのが良いのかな、と思います。

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