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  • 1人~4人
  • 90分~120分
  • 14歳~
  • 2020年~

ゴーレムSato39さんのレビュー

1009名
14名
0
約2年前

《プラハの街を突き進むパラメーターモンスター、ゴーレム!》

怖い顔で話題のゴーレムを遊ばせてもらったのですが、不甲斐ない得点しか取れず悔しかったのでポチりました。それからというものゴーレムに頭の中を支配されてしまったのでレビューしますw。


【テーマは16世紀プラハのゴーレム伝説】

ゴーレム伝説は世界で最も魅惑的な物語の一つで、そのルーツはユダヤ人の伝統にあります。舞台は16世紀のプラハ(現在はチェコ共和国の首都)、シナゴーグと呼ばれるユダヤ教の会堂で、ラビ(ユダヤ教の神父)のレーヴが粘土細工の自動人形「ゴーレム」を作り上げたとされています。

チェコの首都プラハには東欧最大のユダヤ人街「ヨゼフォフ」があり、ユダヤ教の祈りの場である「シナゴーク」やユダヤ人関連の施設が数多く残されています。

ヨゼフォフには、ラビ・レーヴにより命を吹き込まれた泥人形ゴーレムが、ユダヤ人を守るために夜な夜な暴れまわり役目を終え泥の人形に戻され、新旧シナゴークの屋根裏に眠っているという伝説があるそうです。

13世紀に建てられた新旧シナゴーク。現在まで奇跡的に残されたヨーロッパ最古のシナゴーク。

今も新旧シナゴークの屋根裏部屋に封印されていると言われるゴーレム。
GOTRIP!「ゴーレム伝説の発祥の地 / チェコの首都プラハにあるユダヤ人街ヨゼフォフはまるで異世界」から引用

ゴーレムは、ラビが断食や祈祷などの神聖な儀式を行った後、土をこねて人形を作り、製造後は自然に巨大化するとされています。呪文を唱え、「אמת」(emeth、ヘブライ語で真理、真実。英語ではtruthと翻訳される)という文字を書いた羊皮紙を人形の額に貼り付けることで完成。ゴーレムを壊す時には、「אמת」(emeth)の「א」( e )の一文字を消し、「מת」(meth、死んだ、死。英語ではdeathと翻訳される)にすれば良いとされているそうです。(Wikipediaより引用)

このゲームではプレイヤーは学者となり、書物の研究を行い、錬金術を駆使して様々なアーティファクトを作成し、ゴーレムに命を与えて街へ派遣することにより最も偉大な学者となることを目指します。


【デザイナーはルチアーニ&アッキトッカ】

この作品のデザイナーは、イタリアのゲームデザイナー集団「アッキトッカ」のメンバーであるフラミニア・バラジーニ(Flaminia Brasini)とヴィルジーニョ・ジーリ(Virginio Gigli)、およびCranio Creationsのシモーネ・ルチアーニ(Simone Luciani)です。「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」と同じメンバーですね。

「アッキトッカ」については、ゴクラクテンさんが特集「アッキトッカ」で関連作品を紹介してくださっているので、興味のある方はご参照ください。


【とにかくパラメーターモンスター!】

ゴーレムは正にモンスターです。個人ボードにびっしりと描き並べられたアイコンと数字を見れば納得してもらえると思いますが、とにかくパラメーター数が多いです。個人ボード左側から青は書物の研究トラックと改良赤はゴーレムトラックと改良黄は錬金術によるアーティファクトの作成と改良に分かれており、個人ボードでは主にこれら2種類のパラメータートラックと改良を行っていきます。

メインボードにも所狭しとアイコンが並んでおり、ゴーレムの稼働アクションが示されています。ボード中央にはプラハの街並みが3つの地区として描かれており、このストリートをゴーレムとそれを使役する助手が右方向に向かって歩いて行き、アクションを行います。この助手駒の歩くストリートも1つのパラメータートラックとなっており、右側に歩いていくことにより収入が増えたり、ゴーレムをより制御しやすくなります。これが3つの地区で独立したパラメーターとなっているため、さらに3つのパラメーターがあることになります。

つまり5つのパラメータートラック、3種類の改良タイル、3つのアクショントラックをそれぞれ上げていく必要があり、どのパラメーターをいつ上げていくのか非常に悩ましくなっています。最初はこの膨大なパラメーター数、アクション数に圧倒され何をして良いのか分かりづらいのですが、ラウンドが進むにつれ理解が進み、これらのパラメーターが密接に影響し合っていて非常に緻密な戦略が必要であることが分かってきます。


【ゴーレムの制御が重要】

ゲームは全4ラウンドで行われ、ラウンドの初めにメインボード上の人物カードに書かれた歩数と個人ボードのゴーレムトラック上のマーカーが示す歩数の合計歩数だけ、ゴーレムを必ず前進させなければなりません。

ゴーレムの実行するアクションは右側に進むほど強力になっていくため前進することは嬉しいのですが、ラウンドの最後にゴーレムを制御するために助手から離れた歩数分だけの知識を支払う必要があります。この支払いが実に厳しく、かつ支払いができない場合はゴーレム1体につき5勝利点マイナスという厳しい罰則があります。

プレイヤーの思惑とは裏腹に前進を続けるゴーレムをいかに上手く制御して、時には解体していくのか、というところがプレイヤーの腕の見せ所であり、この作品の最も特徴的で面白い点だと思います。

箱絵とは裏腹に、可愛い木駒のゴーレムが勝手に歩いていく姿はコミカルで楽しい。


【緻密な戦略性が魅力】

上記で述べたとおり、パラメーター数が非常に多く、それゆえにアクションの選択肢もとても多彩です。しかも各パラメーターが複雑に関わり合っているため、アクションの順番もとても重要になってきます。しかもゲーム全体で(3アクション)×(4ラウンド)=12手番しかないため1手番が非常に重い。

「あのアクションを実行して、粘土を3つ獲得してゴーレムを作成して、あの地区へ置くとゴーレムが1歩進んで2番目のアクションを稼働するから、書物を購入できて、即時効果で金塊を1つ獲得できてアーティファクトが完成するから…いやいや、その前にこっちのアクションを実行して…」

などと考え出したら止まりません(笑)。その幅広い戦略性と選択肢の多さが、ある種のパズルを解いているような感覚になり、素晴らしいムーブが出来た時はとても爽快感があります。


【マーブルは神のお告げと受け入れるべし!】

シナゴーグを模して作られたマーブルアクション装置は、話題にされやすいですが私は気に入っています。特徴はマーブルの並んでいる各列にアクションが紐づいており、並んでいるマーブルの数によりアクションの効果値が決まることです。

つまりたくさん並んだ列からマーブルを取ると、より大きな効果を持ってアクションを実行することができます。それが実行したいアクションである場合は最高ですが、逆の場合もあり悩ましいです。しかもマーブルの入れ方により平均的に散らばったり、片方に偏ったりしてしまいます。

しかし、マーブルが平均的に散らばると、どのアクションも実行可能になったと考えられるし、どこかに偏った場合には効果値の強いアクションが打てると考えることができます。それはどのプレイヤーも条件は同じであることから、その条件で最大の効果が得られるアクション連携を考える、という気ままなマーブルを戦略でカバーする面白さにつながっているように思います。


【プレイヤーを選ぶゲーマーズゲーム】

私はとても気に入っている作品なのですが、人を選ぶゲームであることは間違いありません。

<アクションは早取り>

1ラウンド中にマーブルアクション2回ラビアクション1回の合計3回の手番がありますが、ラビアクションはワーカープレイスメントになっていますし、マーブルアクションもマーブルが減るとアクションが弱くなるため、他プレイヤーよりも早く実行する必要があります。この点において適度なインタラクションがあります。

<アイコンが多い>

アイコンは非常に多く、初回プレイで最初から全てを理解するのはかなり困難です。ボードゲーム歴の長い歴戦のプレイヤーは見ただけで意味が分かる程度に分かりやすいアイコンですが、経験の浅いプレイヤーは苦労するでしょう。説明書の別表にアイコンの説明をずらりと記載してくれているので、ぜひ手元に置いてプレイすることを推奨します。

<ダウンタイムが長い>

また緻密な戦略性が魅力の本作ですが、それ故に選択肢も多くダウンタイムが長くなりやすいです。他プレイヤーの手番で自分のアクションを考えていても、マーブルが1つ少なくなるだけでアクションが実行できなくなることも多々あるため、長考するプレイヤーは注意した方が良いでしょう。


<良いところ>

  • パラメーター数、アクション数が多く、幅広い戦略が可能。
  • ゴーレムの制御、アクションの連携は複雑に絡み合っていてパズルを解いているような爽快感がある。
  • マーブルアクションによる揺らぎがあるため、いつも同じようには展開せずリプレイ性が高い。
  • 初見では何が最適解か分からない複雑さ(良いところw)

<悪いところ>

  • アイコンの種類が多く、初見のプレイで完全な理解は困難。
  • ダウンタイムが長くなりやすい。

<説明書&対象>

説明書:14ページ、別表:5ページ。インスト:40分、プレイ時間:2時間30分(初回4人プレイ)
BGG weight: 3.92(2022/3/3現在)。標準的な重量級ですかね。

おすすめの対象は、「複雑に絡み合ったアクションを気まぐれなマーブルを楽しみつつプレイできる重ゲープレイヤー」でしょうか。またプレイを重ねるごとに点数が伸びていくので、繰り返しプレイすることを好む方ほどハマると思います。

※今回のレビューにあたり箱絵及び記載HPより画像を引用させていただきました。問題があれば削除いたしますのでご連絡いただければ幸いです。


【感想】

これはハマりましたw。ボドゲ会でインストしていただいた初回プレイでは、最初から全く見通しが立たず、何となくその場の雰囲気でアクションしているうちに4ラウンド終了してしまい、72点というロースコアでもちろん最下位。他プレイヤーは110〜120点ほど得点していたので、心中穏やかではなかったですねw。

その日、家に帰ってからもゴーレムのことが頭から離れず、テンデイズゲームズのホームページを眺めているうちに思わずポチってしまいました。到着後に早速開封してお試しソロプレイをしてみたら73点。しかし最後の方に少しコツが分かってきた気がしたので、休日の朝から1アクション15分の超長考ソロプレイでじっくり手番を進めたところ132点を得点することができました。

後日、友人と3人でプレイしたところ、やはり対人プレイは狙っているアクションを取られたり、長考できないこともあり120点と少し得点を落としましたが、インタラクションを楽しむことができて非常に楽しかったです。

初見では見通しが悪く、アイコンも多いためハードルがやや高いと思いますが、多数のパラメーターを駆使してゴーレムを制御し、緻密な戦略を創意工夫するこの作品はとても魅力に溢れた素晴らしい作品だと思います。人を選ぶとは思いますが、非常におすすめです。

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