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  • 1~4人
  • 90~120分
  • 14歳~
  • 2020年~
(3.8)

ゴーレム

メーカー:テンデイズゲームズ

日本語ルール付き/日本語版
助手とゴーレムを巧く扱い、さまざまなパラメーター上げ・開放要素でより高い得点を目指しましょう

シモーネ・ルチアーニとアッキトッカという、イタリアを代表するデザイナーであり、人気作「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」と同じメンツによるやり応え十分の一作です。

プラハのゴーレム伝説をテーマに、プレイヤーは助手とゴーレムを巧く扱い、さまざまなパラメーターを上げ、開放要素を開放することで、収入上げ、特殊効果を得つつ、より高い得点を目指します。

ゲームの柱となるのはいくつも用意された「パラメーター上げ/パラメーターコントロール」とさまざまな開放要素です。
色つきの球「マーブル」がランダムで振り分けられ、その強さが決められたアクションと、ラウンドごとに用意された特殊アクションを組み合わせることでゲームは進んでいきます。
アクションの効果は、主にパラメーター上げ、要素の開放に用いられます。
例えば、知識のパラメーターを上げ、要素を開放することで、「知識」リソースの収入が上がり、獲得したカードによる特殊効果をより多く使えるようになります。
そのほか、ゴーレムにより強力な力を持たせたり、「アーティファクト」によってさまざまな収入を自分なりに組み立てたりすることもできます。
それらすべてがパラメーター、開放要素して用意されており、それらをいかに効率よく上げ、開放していくかがカギとなるわけです。

各ラウンド、基本的には3回しかアクションを実行することができません。
そのアクションの少なさを補うことができるのが、ゲームのテーマにもなっているゴーレムです。
町中の通りを自らの意思で進んでいくゴーレムは、各通りのマスに割り当てられたアクションを実行することができるのです。
ゴーレムの数を増やせば、さらにアクションを実行する機会が増えるでしょう。
しかし、注意が必要です。
ゴーレムは自分の支配下に置いておく必要があり、もし、支配下におけない状況となった場合は、リソースを支払う必要が生じるのです。
非常にタイトなバランスで作られているゲームだけに、このリソース支払いが及ぼす影響はかなり大きなものなのです。
制限の中で、どのようにゴーレムを活用していくか、非常に悩ましい要素になっています。

ゲームは4ラウンドしかありません。そして、各ラウンドに実行できるのは3アクション。
タイトでシビアなゲームとなっています。
一手一手、的確な手を積み重ねる必要があり、アクション選択の幅は広いながら、その選択には独特の緊張感があります。

タイルのセットアップ、マーブルの振り分け、カードのめくり順など、「揺らぎ」の活かし方も非常にうまく、リプレイバリューも高くなっているのも大きなポイントです。
プレイを重ねるごとに、自分の手が洗練されていくのが実感できる、やり込み甲斐のあるスルメゲームと言えるでしょう。

世界観/フレーバー/アートワーク

レビュー 12件

レビュー
1443名が参考
3年以上前

箱絵を見てから、メインボードの太め体型を見た人は、どう思うでしょうか笑。どちらかと言ったら、怖いと言うより、歩くアイコンなど、かわいい方です。

↑ 個人ボード(準備前)。スタート時、このゴーレムの上には向上タイルが置かれる。上部の2つの目玉に、ドラフトしたマーブルを置くことになっている。


テーマは、プラハのユダヤ教神父の伝説の物語をゲーム化したもので、本来的には重いテーマです。しかし、主役は、その神父が命を吹き込んだ粘土人形。ゴーレムが夜な夜な街を歩き暴れ回るという、特撮のイメージです。


ゲームは重たい部類に入るので、アクションの整理とフェーズ処理は、何回か遊んで、慣れる必要があるかもしれません。

立体ギミック装置のシナゴーグに、大量のマーブルを投入すると、5つの列に分類されて下に落ちて来ます。アクションは、列に落ちて来たマーブルを一つ選び、その列のマーブルの総数を効果値としてアクションします。分別が気に入らなければパスをして、全員がアクションを終わった後、マーブルを一つ捨て、もう一度投入し直すことができます。

「ゴーレム」では、過去のルチアーニの作品のエッセンスが所々に見られます。マーブルを使うのは「マスターオブルネッサンス」。効果値は「ニュートン」や「グランドオーストリアホテル」で使われた手法ですが、パスを含めて「グランドオーストリアホテル」と同じ感覚です。(個人的には、重ゲーでこのパスシステムは、時間が取られるので好みではありません。バランスは多少良くなるのでしょうが、任意アクションもあるのだし…)

アクションは、このマーブルアクションを2回、ワーカープレイスを1回、計3回を一回ずつ3周します。ワーカープレイスのアクションの中身はボーナスを貰うだけですが、次手番の順番取りも兼ねています。


マーブルアクションは、5列なので5種類。(  )内はコスト資源。

A ゴーレムの稼働 (知識)

B ゴーレムの作成 (粘土)

C アーティファクトの作成 (黄金)

D 本の購入 (知識)

E 1金払ってA〜D任意のアクション


大事なのは、B、C、Dの3種類で、終了時VPとして、

B 作成したゴーレムの数×赤い燭台の数

C 作成したアーティファクトの数×黄の燭台の数

D 本が差し込まれている研究スロットの数×青の燭台の数

という大きなVPになります。(全て最大値4×9=36VP)


B ゴーレム作成のコストは3粘土。スタート時は2体しかいませんが、作成すると、任意の地区ブロックのスタート地点に配置し増やすことができます。ゲーム終了時までに最大4体作れます。自分のゴーレムがいる地区ブロックにも追加することができますが、その時は、一体ごとに−3粘土。つまり、既に1体のゴーレムがいる地区ブロックに作成する場合、6粘土必要です。

C アーティファクトは、決められた数の黄金を釜の中に入れ、溶かし、ミニボーナスを得ます。また、毎ラウンド貰える収入のパワーを上げます。釜は4つあります。

D 本にはボーナスが書かれており、購入時、差し込んだスロットにある全ての本が稼働します。研究スロットは4つあります。


燭台というのは、個人ボードのB、C、Dに置かれている向上タイル、これを改良する(裏返す)と現れます。(各計8個分。メインボードに各1個)。向上タイルの改良は、マーブルアクション時に1回できるようになっています。


A ゴーレムの稼働は、3つの地区ブロックトラックを歩くゴーレムを、4体まで稼働させることができます。稼働とは、ゴーレムのいるマスにあるボーナスを得ることです。

先程から、ボーナスやらミニボーナスと言っているのは、資源やVPを貰う、安いコストでアクションや向上タイル改良、ゴーレムや助手を動かすなど、ありとあらゆることです。

このような細々としたボーナスや毎ラウンドの収入を活かしながら、先程3種の大きなVPを目指す、緻密なゲームです。


アクションフェーズの前に、各ラウンド必ず、ゴーレムの移動フェーズがあります。

各プレイヤーは、3地区のストリートに一人ずつ助手を配置しており、ゴーレムを監視しているのですが、助手のいるマスより先に進んでいるゴーレムは、そのマスの差分、ラウンド終了時に知識を払わないといけません。全ての地区でチェックするので、知識は基本的に、いや、必ず足りなくなります。

いろんな所のボーナスで知識を得るにも限界があり、もし足りない場合は、ゴーレム一体につき−5VPとなります。

これに対応するアクションがゴーレムの解体で、ワーカープレイスの一つで解体ができるようになっているので、各ラウンド一応1体は解体できます。解体すると、ゴーレムは墓場に葬られ、ここでもミニボーナスが貰えます。

この助手の3本のトラックに、ゴーレムが動く3本のトラック、さらに個人ボードには、スロットに差す本の数を増やす研究トラック、ゴーレムの歩く数を増やすゴーレムトラックがあるので、このゲーム、8つのパラメータートラックがあります。

助手は、実は、マーブルを選ぶ際に、動かすことができます。マーブルの色は、3つの地区を表しており、赤を選ぶとゴーレム粘土地区、黄を選ぶとアーティファクト黄金地区、青を選ぶと本知識地区トラックの助手を1マス進ませることができます。

マーブルには黒が1つだけ入っており、これを選ぶと、任意の2つの地区の助手が1マスずつ進みます。

↑ メインボード上部、宮殿と図書館。左の宮殿の人物カードは、ラウンド終了時、取った2つのマーブルの色が同じならば恩恵を受けられる。(白マーブルは任意の色となる)。指針として、人物カードに忠実に色を選ぶのもいいが、動かしたい助手の色で選ぶことも多く、各ラウンドの小目標となる程の推進力はない。右、本カード。「ニュートン」の本とそっくり。


戦略は、先程の3つの大きなVPともう一つ、目標カードがあります。目標カードは、達成レベルごとに2、4、6VPの3種類がありますが、同じ目標で被っているものが多く、これが重なっている時はチャンスです。スタート時3枚保持していますが、途中のボーナスで何枚も追加が可能です。


ルチアーニとアッキトッカということで、特化戦略型ゲームです。(「アッキ特化」と人は云う)

ゴーレム戦略、アーティファクト戦略、本戦略、目標カード戦略が代表的ですが、1つでは弱いので、できればメインともう1、2つを組み合わせたいです。


ポイントとしては、

■12手番しかないので、戦略は、序盤平均的に伸ばして行き、中盤何かを切り捨てる。

■その指針となるのが、各向上タイルにある「8粘土→3赤燭台」「8金→3黄燭台」「8知識→3青燭台」。この向上タイルを8コストで改良できるかどうかを見極める。

■スタート時、目標カードはドラフトを行なう。手持ちの3枚を選ぶ時、同じ種類のものを選んで確実に3枚クリアするか、あるいは、違う種類の目標を選んで、3種類達成5VP、4種類達成9VPの追加VPを狙うか。

■小目標を立てるなら、この3枚の目標カード。これに沿って進めていくのが分かりやすい。人物カードの恩恵は内容による。第四ラウンドの人物は大きなVPになることもあるので、チャンスなら狙いたい。

■ゴーレムはボーナスパワーが大きいが、墓場があれだけ多いのはなぜか。助手から離れ、暴走し始めたら、勿体無いとは思わず、喜んで解体したい。

■ゴーレム向上タイルのゴーレムの頭部に当たる部分、このタイルを早めに改良する。この効果は、助手とゴーレムの差分の制御不能マスを最大でも2にしてくれる。また、左足部分も暴走を多少制御させる効果。2粘土で改良できるので、第一ラウンドに改良できる。

■助手の3つのストリートトラックの進み方にも特化戦略が必要。各ストリートトラックの8マス目に燭台が落ちている。特化戦略が決まったら、その助手を8マス目まで進めたい。

■本はタイミング。知識激安の本は、ボーナス内容など見ずに、即購入しておきたい。また、同じ色の本を買うと効果が倍増するので優先したいが、研究トラックを上げておく必要がある。時間的余裕が無い時は、終了時VPを見越して、色違いの本を優先したい。

■研究トラックの上部3マスにも終了時VPがある。しかし、研究トラックを上げるのは大変なので、無視する手もある。ただ、知識収入が増えるので、ある程度は上げたい。ゴーレムトラックも、VP収入が増えるが、歩く歩数が増えるので、積極的に狙う必要はない。

■1回目の解体の前に、ゴーレムのお腹を改良しておきたい。この改良は、即時解体と、次回の解体から墓場ボーナスが2倍となる永続効果だ。墓場ボーナスでは、一番左の墓の4VPが狙い目。お腹の改良後に取れば8VPだ!

■ゴーレムの右足も左腕も、即時アクションを持っているので、改良しておきたい。つまり、ゴーレム向上タイルは全て改良したいので、ゴーレム特化は複数戦略の中では最有力だ。

↑ メインボード下部。青プレイヤーの助手が7マス目まで来た。あと1マス進むと、青の燭台が取れる。助手がここまで進んでくれると、下の2体のゴーレムは解体する必要はない。ゴーレムはこれ以上進むとコストを喰うので、この位置をキープするかどうか悩ましい。やはり、進む前に解体がいいかな……下に墓場があるし…


最後に、一つ気になる点が……

ユダヤ教会シナゴーグの投入口です。投入口が横長なので、説明書には、「できるだけバラけるように」と書いてありますが、やはり端っこから投入すると、端っこにマーブルが固まります。つまり、ラウンド開始時、端っこの列のアクションをしたいプレイヤーは、効果値が上がるように、端っこに投入しそうです笑。真ん中から入れると5列バラけるので安心ですが。ただ、真ん中から入れても、手首をグニャっと、気持ち曲げて投げれば、そっちに行きそう笑。まあ、それもツッコミが入って面白いんですけどね…

(いつも、攻略法ではなく「何をしていいか分からない」ゲームを具体的にイメージするためレビューしてます。なので、シナゴーグの件はあまり気にされないでください笑)


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荏原町将棋センター
荏原町将棋センター
レビュー
1143名が参考
3年以上前

《プラハの街を突き進むパラメーターモンスター、ゴーレム!》

怖い顔で話題のゴーレムを遊ばせてもらったのですが、不甲斐ない得点しか取れず悔しかったのでポチりました。それからというものゴーレムに頭の中を支配されてしまったのでレビューしますw。


【テーマは16世紀プラハのゴーレム伝説】

ゴーレム伝説は世界で最も魅惑的な物語の一つで、そのルーツはユダヤ人の伝統にあります。舞台は16世紀のプラハ(現在はチェコ共和国の首都)、シナゴーグと呼ばれるユダヤ教の会堂で、ラビ(ユダヤ教の神父)のレーヴが粘土細工の自動人形「ゴーレム」を作り上げたとされています。

チェコの首都プラハには東欧最大のユダヤ人街「ヨゼフォフ」があり、ユダヤ教の祈りの場である「シナゴーク」やユダヤ人関連の施設が数多く残されています。

ヨゼフォフには、ラビ・レーヴにより命を吹き込まれた泥人形ゴーレムが、ユダヤ人を守るために夜な夜な暴れまわり役目を終え泥の人形に戻され、新旧シナゴークの屋根裏に眠っているという伝説があるそうです。

13世紀に建てられた新旧シナゴーク。現在まで奇跡的に残されたヨーロッパ最古のシナゴーク。

今も新旧シナゴークの屋根裏部屋に封印されていると言われるゴーレム。
GOTRIP!「ゴーレム伝説の発祥の地 / チェコの首都プラハにあるユダヤ人街ヨゼフォフはまるで異世界」から引用

ゴーレムは、ラビが断食や祈祷などの神聖な儀式を行った後、土をこねて人形を作り、製造後は自然に巨大化するとされています。呪文を唱え、「אמת」(emeth、ヘブライ語で真理、真実。英語ではtruthと翻訳される)という文字を書いた羊皮紙を人形の額に貼り付けることで完成。ゴーレムを壊す時には、「אמת」(emeth)の「א」( e )の一文字を消し、「מת」(meth、死んだ、死。英語ではdeathと翻訳される)にすれば良いとされているそうです。(Wikipediaより引用)

このゲームではプレイヤーは学者となり、書物の研究を行い、錬金術を駆使して様々なアーティファクトを作成し、ゴーレムに命を与えて街へ派遣することにより最も偉大な学者となることを目指します。


【デザイナーはルチアーニ&アッキトッカ】

この作品のデザイナーは、イタリアのゲームデザイナー集団「アッキトッカ」のメンバーであるフラミニア・バラジーニ(Flaminia Brasini)とヴィルジーニョ・ジーリ(Virginio Gigli)、およびCranio Creationsのシモーネ・ルチアーニ(Simone Luciani)です。「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」と同じメンバーですね。

「アッキトッカ」については、ゴクラクテンさんが特集「アッキトッカ」で関連作品を紹介してくださっているので、興味のある方はご参照ください。


【とにかくパラメーターモンスター!】

ゴーレムは正にモンスターです。個人ボードにびっしりと描き並べられたアイコンと数字を見れば納得してもらえると思いますが、とにかくパラメーター数が多いです。個人ボード左側から青は書物の研究トラックと改良赤はゴーレムトラックと改良黄は錬金術によるアーティファクトの作成と改良に分かれており、個人ボードでは主にこれら2種類のパラメータートラックと改良を行っていきます。

メインボードにも所狭しとアイコンが並んでおり、ゴーレムの稼働アクションが示されています。ボード中央にはプラハの街並みが3つの地区として描かれており、このストリートをゴーレムとそれを使役する助手が右方向に向かって歩いて行き、アクションを行います。この助手駒の歩くストリートも1つのパラメータートラックとなっており、右側に歩いていくことにより収入が増えたり、ゴーレムをより制御しやすくなります。これが3つの地区で独立したパラメーターとなっているため、さらに3つのパラメーターがあることになります。

つまり5つのパラメータートラック、3種類の改良タイル、3つのアクショントラックをそれぞれ上げていく必要があり、どのパラメーターをいつ上げていくのか非常に悩ましくなっています。最初はこの膨大なパラメーター数、アクション数に圧倒され何をして良いのか分かりづらいのですが、ラウンドが進むにつれ理解が進み、これらのパラメーターが密接に影響し合っていて非常に緻密な戦略が必要であることが分かってきます。


【ゴーレムの制御が重要】

ゲームは全4ラウンドで行われ、ラウンドの初めにメインボード上の人物カードに書かれた歩数と個人ボードのゴーレムトラック上のマーカーが示す歩数の合計歩数だけ、ゴーレムを必ず前進させなければなりません。

ゴーレムの実行するアクションは右側に進むほど強力になっていくため前進することは嬉しいのですが、ラウンドの最後にゴーレムを制御するために助手から離れた歩数分だけの知識を支払う必要があります。この支払いが実に厳しく、かつ支払いができない場合はゴーレム1体につき5勝利点マイナスという厳しい罰則があります。

プレイヤーの思惑とは裏腹に前進を続けるゴーレムをいかに上手く制御して、時には解体していくのか、というところがプレイヤーの腕の見せ所であり、この作品の最も特徴的で面白い点だと思います。

箱絵とは裏腹に、可愛い木駒のゴーレムが勝手に歩いていく姿はコミカルで楽しい。


【緻密な戦略性が魅力】

上記で述べたとおり、パラメーター数が非常に多く、それゆえにアクションの選択肢もとても多彩です。しかも各パラメーターが複雑に関わり合っているため、アクションの順番もとても重要になってきます。しかもゲーム全体で(3アクション)×(4ラウンド)=12手番しかないため1手番が非常に重い。

「あのアクションを実行して、粘土を3つ獲得してゴーレムを作成して、あの地区へ置くとゴーレムが1歩進んで2番目のアクションを稼働するから、書物を購入できて、即時効果で金塊を1つ獲得できてアーティファクトが完成するから…いやいや、その前にこっちのアクションを実行して…」

などと考え出したら止まりません(笑)。その幅広い戦略性と選択肢の多さが、ある種のパズルを解いているような感覚になり、素晴らしいムーブが出来た時はとても爽快感があります。


【マーブルは神のお告げと受け入れるべし!】

シナゴーグを模して作られたマーブルアクション装置は、話題にされやすいですが私は気に入っています。特徴はマーブルの並んでいる各列にアクションが紐づいており、並んでいるマーブルの数によりアクションの効果値が決まることです。

つまりたくさん並んだ列からマーブルを取ると、より大きな効果を持ってアクションを実行することができます。それが実行したいアクションである場合は最高ですが、逆の場合もあり悩ましいです。しかもマーブルの入れ方により平均的に散らばったり、片方に偏ったりしてしまいます。

しかし、マーブルが平均的に散らばると、どのアクションも実行可能になったと考えられるし、どこかに偏った場合には効果値の強いアクションが打てると考えることができます。それはどのプレイヤーも条件は同じであることから、その条件で最大の効果が得られるアクション連携を考える、という気ままなマーブルを戦略でカバーする面白さにつながっているように思います。


【プレイヤーを選ぶゲーマーズゲーム】

私はとても気に入っている作品なのですが、人を選ぶゲームであることは間違いありません。

<アクションは早取り>

1ラウンド中にマーブルアクション2回ラビアクション1回の合計3回の手番がありますが、ラビアクションはワーカープレイスメントになっていますし、マーブルアクションもマーブルが減るとアクションが弱くなるため、他プレイヤーよりも早く実行する必要があります。この点において適度なインタラクションがあります。

<アイコンが多い>

アイコンは非常に多く、初回プレイで最初から全てを理解するのはかなり困難です。ボードゲーム歴の長い歴戦のプレイヤーは見ただけで意味が分かる程度に分かりやすいアイコンですが、経験の浅いプレイヤーは苦労するでしょう。説明書の別表にアイコンの説明をずらりと記載してくれているので、ぜひ手元に置いてプレイすることを推奨します。

<ダウンタイムが長い>

また緻密な戦略性が魅力の本作ですが、それ故に選択肢も多くダウンタイムが長くなりやすいです。他プレイヤーの手番で自分のアクションを考えていても、マーブルが1つ少なくなるだけでアクションが実行できなくなることも多々あるため、長考するプレイヤーは注意した方が良いでしょう。


<良いところ>

  • パラメーター数、アクション数が多く、幅広い戦略が可能。
  • ゴーレムの制御、アクションの連携は複雑に絡み合っていてパズルを解いているような爽快感がある。
  • マーブルアクションによる揺らぎがあるため、いつも同じようには展開せずリプレイ性が高い。
  • 初見では何が最適解か分からない複雑さ(良いところw)

<悪いところ>

  • アイコンの種類が多く、初見のプレイで完全な理解は困難。
  • ダウンタイムが長くなりやすい。

<説明書&対象>

説明書:14ページ、別表:5ページ。インスト:40分、プレイ時間:2時間30分(初回4人プレイ)
BGG weight: 3.92(2022/3/3現在)。標準的な重量級ですかね。

おすすめの対象は、「複雑に絡み合ったアクションを気まぐれなマーブルを楽しみつつプレイできる重ゲープレイヤー」でしょうか。またプレイを重ねるごとに点数が伸びていくので、繰り返しプレイすることを好む方ほどハマると思います。

※今回のレビューにあたり箱絵及び記載HPより画像を引用させていただきました。問題があれば削除いたしますのでご連絡いただければ幸いです。


【感想】

これはハマりましたw。ボドゲ会でインストしていただいた初回プレイでは、最初から全く見通しが立たず、何となくその場の雰囲気でアクションしているうちに4ラウンド終了してしまい、72点というロースコアでもちろん最下位。他プレイヤーは110〜120点ほど得点していたので、心中穏やかではなかったですねw。

その日、家に帰ってからもゴーレムのことが頭から離れず、テンデイズゲームズのホームページを眺めているうちに思わずポチってしまいました。到着後に早速開封してお試しソロプレイをしてみたら73点。しかし最後の方に少しコツが分かってきた気がしたので、休日の朝から1アクション15分の超長考ソロプレイでじっくり手番を進めたところ132点を得点することができました。

後日、友人と3人でプレイしたところ、やはり対人プレイは狙っているアクションを取られたり、長考できないこともあり120点と少し得点を落としましたが、インタラクションを楽しむことができて非常に楽しかったです。

初見では見通しが悪く、アイコンも多いためハードルがやや高いと思いますが、多数のパラメーターを駆使してゴーレムを制御し、緻密な戦略を創意工夫するこの作品はとても魅力に溢れた素晴らしい作品だと思います。人を選ぶとは思いますが、非常におすすめです。

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Sato39
Sato39
レビュー
592名が参考
約3年前

思った以上にバランスの良いゲームです。マーブルを使った不確実性要素がむしろ戦略性を高めています。

多くのゲームでは、いつ使うんだか理解しかねるパスアクションの説明がよく記載されていますが、このゲームに関しては明らかにパスも戦略の一部として活用できます。

序盤は地味な展開が続きますが中盤以降急激に拡大再生産が生じる点は、テラフォーミングマーズやイッツワンダフルワールドを感じさせますが、拡大再生産ばかり狙うとゴーレムが暴れ出すリスクがあるので、プレーヤーの度胸も問われてきます。

プレーヤーごとに特段プレーヤーボードの違いはありませんが、スタートアップの段階でタイルによるデッキを構築することで、事実上のオリジナルプレーヤーボードができます。

タペストリーやエバーデールはビジュアルがいい反面で文字が多く、解釈を巡ってゲームが中断するストレスがありますが、そう言ったグレーゾーンが少ないにもかかわらず全て絵柄のみで効果を説明している点は感心してしまいます。

全体的なアートワークも、写真で見るより印象がいいです。難を言えば、黄色と赤色が類似色になっている点でしょうか。たぶんヨーロッパの人の好みに合わせているのでしょうね。

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仙人
MORIZO
MORIZO
レビュー
574名が参考
8ヶ月前

■ 筆者の基本スタイル

  • 重ゲーが好き
  • 運要素とプレイ時間のバランスを重視
  • ダウンタイムの少なさを重視

■ プレイ環境

  • 3人プレイ
  • 全員初回プレイ
  • 重ゲーに慣れているメンバー

■ Good

  • 大方針は3種類だが、組み合わせとグラデーションがあり、多彩な戦略が可能
  • ゴーレムの制御やアクションの連携が複雑に絡み合い、パズルを解くような楽しさがある
  • マーブルを使った不確実性要素が戦略性を高めている
  • マーブルを使ったコンポーネントがユニークで、質が高い
  • リプレイ性が高く、何度も楽しめる
  • 初期リソースと目標によって大方針が決まり、それがうまく進むと達成感がある
  • ルチアーニ作品の要素が多く、他の作品をプレイ済みだとより楽しめる

■ More

  • ゴーレムをうまく管理できないと減点につながり、初プレイでは難しく感じる
  • 要素が多い分、ダウンタイムが長くなりやすい
  • インタラクションが少なく、ソロプレイ感が強い
  • ゲームの仕組み(≠ルール)を理解するまで魅力が伝わりにくい
  • 一部の戦略が特定の状況で非常に優位になり、バランスに欠けることがある
  • マーブルを意図的に偏らせることができる

■ 感想

プレイ前はマーブルのコンポーネントが目立つだけで、ゲーム自体は地味な印象だったけど、実際に遊んでみたら複数のゴーレムによる労働やタイルの強化が進むことでアクションの連鎖が発生し、意外と派手な展開になって面白かった!

その分、考えることが多くて初回プレイは長くなりがちだから、時間に余裕を持ってプレイするのがよさそう。

初期リソース、目標、ゴーレムアクション、人物、マーブルといったランダム要素が多くて、何度もプレイして楽しめそうなところも高評価。

マーブルの偏りが問題視されることもあるけど、最後に投入するのが最終手番の人だから、そこまで影響はない気がした。ただ、ヴァリアントルールで「マーブル投入時に全レーンに最低1個落ちるまで繰り返す」を入れてプレイしたら、よりバランスが取れた感じ。

ルチアーニ作品の中では知名度が低めだけど、実は隠れた名作!もっと多くの人にプレイしてほしい作品です。

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仙人
R(アール)
R(アール)
レビュー
568名が参考
3年弱前

とにかく、毎ゲーム違う戦略でいかざるをえなくなります。それを良しとするか、苦手だとするかで大きく評価が変わると思います。

ボードゲームあるあるだと思いますが、ゲーム開始前に「今日はこの戦略を試してみよう」と思ったり、終了後に「次回はあの戦略を試してみよう」と思ったりしますよね。それがこのゲームには通用しません。無理にそれを押し通そうとすると、酷い点をとります。

ゲームセットアップの段階で、今回の盤面は○◯のアクションが強めだから、◯◯をメインに⬜︎⬜︎でも点をとっていこうと考えて動かねばなりません。自分の試してみたかった戦略があっても、そのアクションが不遇な盤面なら捨てざるを得ません。全ては勝利のために!

そして、意図的に人の邪魔をするような余裕もないので、インタラクションはありながら、攻撃した感、された感はありません。

一手もかなり重いので、長考してしまうと長くなりすぎて疲れてしまいます。事実、初回三人戦は説明込みで3時間超えてしまい、綺麗なうちに売るかという話になりました。

しかしながら後日2人でやってみるとあら不思議。評価は真逆になり、今では平日の午前中に暇さえ有れば妻とプレイしています。

我が家の殿堂入りゲームであり、感想戦も盛り上がっています。感想戦が楽しいゲームは最高ですね。このゲームのおかげでボードゲーム購入頻度が下がりました。

「このゲームはゴーレムを差し置いてでも、やる可能性があるか?」

勝利のパターンが決まっていない、そして何回やっても見えないこのゲームは、売られる危機から一転して、私と妻の一番のお気に入りになりました。

同じような方がいるととても嬉しいです。

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