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  • 1人~5人
  • 120分前後
  • 14歳~
  • 2016年~

トラムウェイズmaroさんのレビュー

264名
1名
0
約4年前

近年、既存の要素にデッキビルディングを追加したゲームが目立ちますが、このトラムウェイズはエイジオブスチーム(AOS)のようなネットワークビルド、ピックアンドデリバリーに、デッキビルドを加えた意欲的な作品です。

ゲームは6ラウンドからなり、ラウンドの前半はオークションとデッキビルド、後半はAOSのようなネットワーク構築を行っていきます。

ラウンドの初めにはAOSのようなオークションの要素があります。このオークション自体もやや曲者なのですが、オークションで決まった手番順はラウンド前半でのカード獲得の順序と後半のカード使用の両者に影響するため、かなり重要です。

オークションの形式についてすこし述べます。スタートプレーヤーから順に、①パスをしてターンオーダーの最後尾となる、あるいは②それまでに入っている他人、自分のビッド数と異なるビッドをして即座にお金を支払う。のいずれかを選択します。1巡した自分の手番で最高額ならトップのターンオーダーに確定します。そうでなければ再度ビッドしますが、他人含め前回と同じ額の宣言は不可です。しかもその都度ビッドした額を支払う必要があります。パスをしたプレイヤー(最後尾)を除いた残りのプレイヤーで同様のオークションを繰り返し、最終的なターンオーダーを完成させます。

このゲームではプレイヤーは、地域の地下鉄会社のマネージャーの一人の役割を引き受けることになります。そこではエンジニアのチームの先頭に立ち、スモールシティのために可能な限り最高かつ効率的なネットワークを構築します。目標は、建物と市民という2つの側面から最適な場所を見つけ、そのネットワークを利用できるようにすることです。好きな場所に好きな時に移動できる幸せな市民は、最高の輸送会社に感謝することになります。

基本的なルールはAOSに似ているものの、やはりデッキビルドを用いたシステムはAOSとは異なり、かつ幾分複雑でもあります。ただ、デッキビルドのカード使用の自由度が高く、ここのマネジメントもかなりゲーム展開に影響します。

セットアップなどはそれほど面倒ではなく、進行も意外とスピーディですが、ゲームの概念に慣れるまで、そして楽しさが分かるまでは2,3ゲーム(あるいはそれ以上)の経験が必要かもしれません。ただし主要なアクション自体は路線敷設・改良、建物建築・改良、住民の移動、とAOSのコンセプトと同様ですので、経験者には分かりやすいでしょう。勝利点はHP(happiness point、幸福度)で示され、カードの効果を複数使用したり、オークションでトップとなるとstress(ストレス)という要素が溜まります。一定以上蓄積するとHPが減点されたりします。

このゲームをAOSと比較するのはお門違いなのでしょうが、ピリピリとした濃密さにはAOSに軍配があがるように感じます。デッキビルドの宿命でもあるカードの引き運というものもトラムウェイズには存在します。

ルールはやや多めですが、プレイ感は意外とそれ程重くはありません。リンクの完成と建物の建築をして乗客を移動させることと、線路・建物のアップグレードにより、勝利点を得ていきます。6ラウンドで終了なのと、マップ自体もそれ程広くないため、AOSや18xx系のように長時間を要することもありません。

個人的にはAOSのネットワークシステムを根幹としながらこれまでになかったエンターテイメント性を増幅した興味深いゲームと思いました。ゲームのテンポも好ましく、重い鉄道ゲームのマニアでなくても充分に楽しめるバランスを持っていると思います。

たとえて言えば、カタンのベースゲームに対する宇宙開拓者版、または1830に対するシティオブビッグショルダーズというような、ひねりを効かせつつ異なる側面からの楽しさを追求し、かつとっつきやすくもあるゲームといえます。

以前は米アマとか英アマなどで見かけましたが、最近はあまりないようです。AOSのルールを理解していれば比較的スムースに取り組めるものですので、この手のゲームが好き方であるかたはもちろんですが、そうでない方にも是非プレイしてみて頂きたい作品です。

評価9/10  重さ7/10

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