- 2人~4人
- 60分~120分
- 12歳~
- 2019年~
マルコポーロ2:大いなる帰還Sato39さんのレビュー
《★8.5:ぶっとんだ特殊能力で旅する名作》
先日、タシーニさんの差別発言によりシリーズ打ち切りが決定したマルコポーロシリーズ。その第2作目となるマルコポーロ2を久しぶりに再プレイしたところ、やはり神ゲーと再認識したのでレビューします。
【舞台はマルコポーロが旅した中国、中央アジア】
「東方見聞録」で有名なヴェネツィア商人のマルコポーロをテーマにしたマルコポーロシリーズ。第1作目ではヨーロッパから中国へ旅しましたが、今回は中国からヨーロッパへ帰ります。スタートは中国の都市「大都(だいと:現在の北京)」。
メインボード上中部にはシルクロードや水路が色鮮やかに描かれています。また下部には実際にダイスを置く7つのアクションエリアがあります。たくさんの情報が詰まったメインボードですが、非常に整然としており綺麗です。アイコンも分かりやすく、半年ぶりのプレイでしたが見れば大体何をするアクションなのか思い出せました。
【メカニクスはダイスプレイスメントだが、自由度は高く工夫次第で何とかなる】
メカニクス的にはダイスプレイスメントが主軸で、手番になると自分色のダイスを置いてそこのアクションを実行します。この時、茶色のダイス置き場は早いもの勝ちですが、青色のダイス置き場はコストを支払えば後からでも置くことが出来ます。このためワーカープレイスメントでありがちな「実行したいアクションが出来ない」ということがあまりなく、自由度が高いのが良いですね。
またラウンドの初めに各自所有する5個のダイスを振るのですが、ここで適度なダイス運が出てきます。しかしダイス目の合計が14以下のプレイヤーには救済措置があり、コインかラクダがもらえます。またフリーアクションとして黒ダイスを手番に1つ追加で獲得することもできたり、またダイス目の関係ないダイス置き場もあるので、まったくダイス運に振り回されるということもありません。
これらのシステムにより、ダイス運の悪いときでもプレイヤーの工夫次第で何とか出来てしまうあたりが本当にバランスよく仕上がった素晴らしいゲームなんだと感じます。
【マルコポーロといえば旅!】
プレイヤーは旅行アクションにより都市を移動していくのですが、新しい都市に訪れると交易所を建てることができます。それにより、その都市専用のダイス置き場に置けるようになったり、ラウンドの初めに都市ボーナスがもらえたり、依頼タイルを獲得することが出来るようになったり、最後の得点計算時にとても重要となる紋章を得ることができます。
つまり旅をすることが勝利点を得るために非常に大事なのですが、この旅行アクションはコストがとてもかかるため、簡単には移動していくことが出来ません。しかし、この苦しい旅を続けることで少しずつ得られるものが大きくなり、最終的には紋章など勝利点に繋がるシステムがとても気持ち良いのです。
【最大の魅力は各キャラクターの特殊能力】
マルコポーロシリーズの魅力を語る上で欠かせないのが、各キャラクターのぶっとんだ特殊能力です。ゲームの初めに各プレイヤーは人物カードなるものが配られ、そのキャラクターとなってマルコポーロの旅に同伴することになるのですが、この特殊能力がスゴイ!
以下、愛すべきマルコポーロの旅の仲間を紹介します。
第1作目よりも比較的おとなしくなった特殊能力ですが、それでもゲーム中は他プレイヤーの能力が羨ましくて仕方ないです(笑)。ゲームが終了すると、「次はどのキャラクターで遊ぼうか」ともう次のキャラクターを選びたくなるくらい魅力的ですね。
【説明書】
ルール説明16ページ+リファレンス4ページ。ほとんどがアクションエリアの説明で、非常に読みやすいです。アイコンが多いですが、比較的分かりやすいアイコンだと思います。
【プレイ時間、重さ】
インスト:20分+プレイ時間:1時間30分。
BGG weight 3.39(2021年3月)。ルールは分かりやすいので体感的にはもう少し軽い印象ですが、アクション選択は悩ましいので重めの中量級といったところでしょうか。
<良いところ>
- ダイスプレイスメントだけど、ダイス運を戦略でカバーできる。
- ダイスプレイスメントだけど、自由度が高い。
- キャラクターの特殊能力が魅力的で何度も遊びたくなる。
<悪いところ>
- 出来ることが多いので、長考する人がいるとダウンタイムが長くなりそう。
- シリーズ打ち切りにより入手性が悪くなりそう。
【感想】
久しぶりにプレイしましたが、やはりとても面白いです。第1作目は未プレイなので比較はできませんが、基本ルールを無視するぶっとんだ特殊能力のキャラクター達なのにバランスが取れてて、ゲームの完成度は非常に高いと感じます。選んだキャラクターにより戦略も変わるのでリプレイ性も高く、インストいれても2時間弱ほどなので思いだした時にサッと取り出して遊べる素晴らしい名作だと思います。
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