- 1人~4人
- 120分~180分
- 14歳~
- 2017年~
フォールアウトBluebearさんのレビュー
もともとは、1997年から続いている人気ビデオゲームのシリーズだったものを、ボードゲームの形式に移植した作品です。私自身はビデオゲームをやらないので、存在すら聞いたことがなかったのですが、核戦争後の崩壊したアメリカ西海岸の『ウェイストランド』をオープンフィールドで自由に探索する内容で、RPG形式のゲームとしては非常に人気が高いそうです。
このボードゲームも、同様の世界観となっており、北斗の拳やマッドマックスのような荒廃した大陸を、登場人物の一人となって、荒野や廃墟をさまよい、事件に巻き込まれたり、特定のアイテムを探したり、変異した怪物と遭遇したり、同じく生き延びた人々と出会ったり、を繰り返しながらレベルアップをしていき、ストーリーを体験するゲームとなっています。(それにしても、このような世界観を言い表すのに「ヒヤッハ~!!」の一言で基本的に通じるってすごいな。笑)
この設定がわりとツボだったのと(ふだんが魔法やドラゴンばっかりなので、たまにはパワードスーツやマシンガンが恋しいじゃないですか。笑)、どうやら一人プレイに適しているらしいという情報を目にし、夏の厳しいお小遣いをはたいて購入を決心しました。(ウチのメンバーでやるには『4人まで』って、ほとんど出番がないんですよ。また、設定的に女性メンバーにはウケないだろうなあ…って思ったわけですねえ。いざやってみたら大丈夫だったけど。)
ちなみに元はファンタジーフライト社の作品で、ここはディセントとかルーンバウンドとかアーカムホラーなど、RPG風ゲームのデザインには定評のあるメーカーですから、これらが大好きな私にはこれもきっとイケるに違いない!と勝手な思い込みで信用して購入しました。(実際の購入版はホビージャパンから完全日本語版として発売されたものです。)
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手に取るとやっぱり予想通り、足に落とすと悲鳴を上げるくらいの重さ!中身を開けると、精巧なフィギュアと、たくさんのマーカーと、ものすごい量のカード類がぎっしりのボリューム。この内容量だけでお腹一杯な感じです。
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ちなみにこれはHPなどを管理する個人ボード。まだ『サイズ〜大鎌戦役』に出会う前だったので、2重仕様が衝撃でした。
緑色のペグがダメージで、負傷するたびに右に動かしていき、赤色のペグが放射能レベルで、放射能を受けるたびに左に動かしていき、重なったら《死亡》です。(死んでもスタート地点から復活できるので脱落はないので安心です)
①シナリオ形式
シナリオは4つあり、基本的に2つの勢力が争っているなかに、自分たちキャラクターが流れ者?としてやってきて、敵対したり協力したりしながらドラマを進めていく形式です。
ただし、この敵対組織に関する詳しい説明はほとんどないので、この辺は「ビデオゲーム」を知っている前提の設計になっているので注意が必要です。(なんとなくそんな感じの組織なの?っていう感じでもプレイには支障ありませんが、やっぱり知っておくに越したことはないので、私はネットで色々調べちゃいました。この辺を不親切だと捉えるかどうかで評価は変わるかもしれません。)
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シナリオ数4つというのはちょっと少ない印象ですね。(ただし、1回やったらネタバレで再プレイできないっていうほどの縛りはなく、逆に各シナリオは1回のプレイでは全容が完全には分からないような仕掛けになっているので、まあ仕方ないかな…と。)
ちなみに、《協力ゲーム》ではなく、それぞれがクリア条件の獲得を目指し、そのポイント数によって《勝者》が決まる競合ゲームです。(この条件はカードでそれぞれ指定されていくので、プレイヤーごとに微妙に違うところがミソ)
とは言っても、互いに敵対し倒し合うわけではなく、例の別の組織や団体が独自に動いており、そっちが先にポイント上限に達すると《全員負け》になってしまいます。
なので、それらの動きを見ながら自分の行動方針を決めて、時には協力しながら、時には競争しながら動いていくゲームですね。
②キャラクターはくせ者ぞろい。
自分の分身となるキャラクターもいろんな能力を持った癖のある者ばかりで、強力なパワードアーマーを着ていて防御力を誇る反面、足が遅い奴とか、体力的に弱いくせに遺伝子変異で放射能に耐性がある奴とか、脳筋のミュータントとか、すごく造形の良いフィギュアが5体あります。
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最大で4人が旅立つわけですが、同じストーリーで動くものの、パーティを組むわけではなくそれぞれのキャラクターが基本別々に単独で旅をするので、あまりキャラクターどうしの絡みは多くありません。
時々ルート的に同じエリアで一緒になることがあると、「ねえねえ、俺のこの武器余ってるからいくらかで買わない?」などといった交渉が少し入るかな、っていう程度ですね。互いに戦闘もできますが、あんまりメリット無いのでおススメしません(笑)。
③ゲームブックのようなストーリー分岐式の展開
ストーリーのキモとなる『遭遇カード』(途中でのランダムイベントのようなもの)と、『クエストカード』(シナリオごとに明らかになってゆく物語展開を決めるカード)は200枚近くあって、すべて001から順番に通し番号が振ってあって、シナリオごとに最初の設定を公開したら、各自の行動結果によって「次は〇〇番を公開しろ」という指示が出て、それを繰り返すことで、だんだんと話が進んでいきます。
もちろん違う行動を選べば、次に公開される指定カードが変わるので、違う展開になっていく仕掛けですね。(片方の組織に肩入れすると、もう一方の組織から追われたりするわけです。)
イベントに当たる『遭遇カード』は、『街や都市』と『荒野の廃墟』の2種類のカードデッキがあって、そのエリアに入るたびにランダムに1枚引いて適用する形式です。引くとそこには、状況と選択肢が書いてあって、それを選ぶとその結果が書いてあるという形式です。
例えば「あなたは廃墟の中を進んでいく。そこはひっそりと静まり返っていた。」そして選択肢①「古いレジがあったからこじ開けようとする」②「何か使えそうな道具を探す」、さあどっちを選びますか?という感じです。
選んだ選択肢に続く指示でそれぞれ判定をして、その結果で「誰かに見つかって戦闘!」になったり、「死体を見つけて一般アイテムを1枚ゲット!」とかになったりするわけですね。これによってまた展開が変わったり、新しい番号の『遭遇カード』を抜きだして次々山札に混ぜるように指示されたりするわけです。
ただしこれだけすごいカードがあっても、確率的に「あ、これさっき見たやつだ」というのが避けられないので、今後の追加カードがあるといいですね。
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ちなみにこれが多彩なアイテムカードね。イベント関連はあまり内容を公開しない方がいいみたいなので、代わりにこちらで雰囲気を掴んで下さい♪
④マップはタイルを組み合わせる方式
スタート地点と、重要なイベント場所は固定されていますが、その他の地形はシナリオごとにいくつかのタイルをランダムに伏せて並べ、そこを探索するごとに徐々に表に返すことで明らかになってゆく仕掛けです。
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だから同じシナリオでも地形が全然異なるものとなり、廃墟の並びや、敵の配置も全く異なる状況となるのですね。
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なにせ「探索アクション」をしないと地形全体がなかなか明らかになってこないので、「俺こっちいくわ。とりあえず最短で町だろう。」「じゃあ私は向こうから廻りましょうか。」「え~、じゃあ俺はとりあえずこっちの廃墟へ向かおう」と、余計別行動になりやすい構造になっています。(それにフィギュアがけっこう大きくて、同じエリアに入ると置き場所がすごく狭い!荒野は手狭なのですね。笑)
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元のビデオゲームの再現を目指しているだけあって、独特のそれらしいルールが他にもいろいろと山盛りになっており、とても全部書ききれないので省略しますが、これも結局『フォールアウト』らしいと喜ぶか、いろいろとめんどくさいと感じるか、微妙なラインかもしれません。
ちなみに私はこういうこだわりが大好きなので、大歓迎です。
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こいつらが途中で出会う厄介な奴らですね。動画が無いので名前とイラストでしかわかりませんが、凶悪そうなのはわかる。(ビデオゲームやってた人は、「ああ、あいつね」って分かるんでしょうね)
全部がこんな感じなので、この元ゲームを知らないメンバーでプレイした際は、インストが非常に非常に大変でした。(私自身が元ゲームを全く知らないのでなおさら雰囲気が伝わらないので)
できるだけ特有の固有名詞や、背景設定なども調べて、説明に盛り込むようにしたので、プレイに支障は無かったものの、説明にだいぶ時間がかかってしまいましたね。
あらかじめ「非常に壮大なゲームだから、ちょっと説明に時間かかるよ」と言っといた方がいいです。ちなみに頑張って独自のサマリーや、用語集まで作りましたよ!それでも最初のシナリオで4人プレイで3時間ちょっとかかりました。さすがにボードゲーム初心者にいきなりやらせるのは避けた方がいいです。
多少面倒でも、設定盛り盛りで、世界観にどっぷり浸れる重ゲーに抵抗がない熟練者グループなら、きっと楽しい体験ができると思いますよ!
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