- 1人~6人
- 45分~60分
- 14歳~
- 2021年~
レッド・ライジングBluebearさんのレビュー
ピアース・ブラウンのベストセラーSF『レッド・ライジング/火星の簒奪者』の世界観をベースにしたカードメインの傑作ボードゲームで、STONEMAIER社の2021年リリース作品です。
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正直言うとそれほど期待はしていなかったのですが、これマジで面白かった!
原作は、遺伝子操作で14の階級に分けられた過酷な未来世界で最下層レッドの少年が恋人を殺された事から復讐を誓い、徹底した肉体改造を受けて支配階級ゴールドを打ち倒すべくエリート養成校に潜入し、様々な協力者を得て生き延びていくドラマですね。書評も大変良いのですが、実はまだ読んでないんですよ、ごめんなさい。(けっこう分厚いのでハヤカワ文庫高いんですよね)
ゲームは、新人のアレクサンダー・シュミット氏と、『サイズ大鎌戦役』『ワイナリーの四季』で有名なジェイミー・ステグマイヤー氏の共作デザインです。
これも最大6人プレイができると知って買いに行きました♪(世間での評価のベストは3〜4人らしいですが、参加可能人数が多いのは大変ありがたい♪)
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◾️原作知らないけど面白いの?
このような原作ベースのゲーム化は、《完全に小説の展開や、そのシーンを詳細に再現する手法》でいくか、《あくまで原作の設定や雰囲気だけを借りる手法》でいくか、大きく2通りに分けられますが、このゲームはその中間といったところ。
原作世界の設定がうまくゲームとしてデザインされていて、私たちのように原作未読のプレイヤーでも抜群に面白かった!(これはすごい事です)
コンポーネントの大半は膨大なキャラクターカードで、小説の主人公ダロウやその恋人イオ(原作では死んじゃうらしいですが…)もちゃんといますが、あくまで多数の登場人物のうちの1人という扱い。知らなくても全く問題なくプレイに没頭できるように作られています。(これ大事!もちろん原作をよく知っている人は、それぞれの登場人物にきっとニヤリとするんでしょうねぇ)
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↑これが小説版の主人公ダロウと、その恋人のイオです。
◾️ゲームの目的は打倒ゴールド!
有能な中心メンバーを集めて反体制組織を作り、差別と暴虐に満ちた世界を打倒するのが目的です。
プレイヤーは6つある階級養成校のどれかの寮生となります。
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決起のためにはカードで表されるキャラクターの助力を得て主要メンバーグループを作るのと同時に、3つの要素を上げていく必要があります。配下の《宇宙艦隊》を編成し、貴重な資源《ヘリウム》を確保し、《養成校》における《影響力》を上げるのです。
ただし、誰でもいいから計3つの条件が満たされたり、1人で2つの条件を満たすとゲーム終了です。(ほとんど全部公開情報なのがこわいよ)
誰がどのくらい集めているかをよく見ていないと、驚くほど意外に早く終了条件がやって来ます。ぼやぼやしている暇はなく、展開は非常にスリリングです。
◾️全て異なるカード能力
様々な職業階層ごとに色分けされた世界なので、各キャラクターには14の色別にその職業傾向の特殊能力が書いてあります。
例を挙げると
レッド…労働者
ブルー…航宙士
イエロー…博士
オレンジ…技師
グリーン…プログラマー
ゴールド…エリート
という感じですね。
だいたいですがレッドなら、貴重な資源《ヘリウム》獲得に関する能力を、航宙士なら《宇宙艦隊》に関する能力を、ゴールドなら特定のキャラクターを場から《追放》するような能力を持つ…といった感じですね。
アイコンではなく全てテキストですがそんなに膨大な文量ではないので、私にはかえってこのテキストのほうがわかりやすい印象です。(STONEMAIER社って、あんまりカードにアイコン使わないですよね。嫌いなのかな?)
とにかく大事なのは、この能力が完全に2種類あって、使いかたが完全に異なるところです。(これがこのゲームのキモ)
1つは《場に出した時の効果》
もう1つが《最後に手札に残した時の効果》です。
お気づきのように絶対両立しません。
この使い分けをしっかり考えてプレイしないと勝てない仕組みなのです。
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◾️どのキャラクターをいつ使うべきか⁈
各プレイヤーは基本的にキャラクターカードを1枚場に出して、そことは違う場を選んで出ているカードのいちばん上を1枚もらうか山から1枚引くかのどちらかです。(新しいキャラクターをメンバーに加えた、という事ですね)
つまり原則として手札は5枚から変動しません。
やる事はそれだけ。とっても分かりやすい。
そしてキャラクターカードは場に出すと、その《派遣能力》が発動します。これによって様々な効果を得ながら勝利条件を稼いでいきます。(これもかなり他のカードと密接に連動します)
しかし!
しかし!
ここで肝心なのは、出してしまったカードはもう自分の手札ではなくなるという事です。基本的に帰って来ません。
つまり誰かがまたリクルートし、場から持って行ってしまうかもしれないわけです。
単に強いカードを使えばいい、というものではなく、場の状況によっていつどの効果を発動させるべきなのか、そのカードを手放すことになるので、本当にその判断でいいのかを考えなければなりません。
このとき難しいと思ったのは、他の人が何のカードを持っていったのかは見てるのでだいたい分かってる、という点なのです!
この辺が悩ましくも面白いところなのです。
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↑中には、たぶん悪役なんだろうなあってキャラも含まれてたりします。
◾️手札の5枚のチームこそが、自分の物語の主人公だ!
普通のカードゲームなら、手札から選んで前に《出したカード》の組み合わせでコンボが決まり、得点が生じます。
しかしこのゲーム、そこが根本的に違います。
《最後に手札に残ったカード》こそが最も肝心な得点とコンボ効果のメインなのです。(基本的にこの5人が反乱決起の時の最終主要メンバーになるわけですね)
各キャラクターカードにはもともと固有の得点があるのですが、カードには条件によって追加点数を得られる効果があり、これが複雑に入り組んでおり、合致すればかなり大きいので、この組み合わせをできる限り達成しようと狙います。(これがなかなかうまくはいかないのですが、5枚しかない自分の手札だけ見て考えればいいので、決して難しくはないです)
このため、誰を派遣して場に出すのか、誰を手元に残すのか、代わりに場の中から誰を引き取るのか、等をマジでじっくり考える必要があり、なかなか脳みそを絞ります。
◾️プレイは短いが中味は濃厚!
4人プレイ、5人プレイ、6人プレイをそれぞれ経験しましたが、各手番のアクションがシンプルなので、よほどの長考をしない限りゲームは意外なほどサクサク進みます。
露骨な妨害や直接攻撃はほとんどないのですが、前のプレイヤーの行動で、狙っていたアクションを封じられるという場面にたびたび遭遇します。これがかなりのジレンマとなり焦りを生み、没頭するとかなりスリリングな経験ができます♪
うまく効果が噛み合うと、あらあらと言ってる間にゲームは終了に向かいます。
慣れれば1ゲームは実質40〜50分くらいです。(初心者込みの6人だとさすがに1時間越えましたが)
1回やるとゲームのコンセプトが理解できるので、必ずや『もう1回やろう!』の声がかかるのは良ゲームの証ですよね♪
1ゲームで使う山札は半分くらいなので、毎回パターンが違うため、また異なる戦略を試すことになるので飽きにくいというのも高ポイントです。
先日は連続て3ゲームやってしまいました。
「私はこの青を出して、このゴールドをもらうわ。これで《宇宙艦隊》をまた1レベル上げて、《帝位》ももらうから、さらにまた艦隊が1上がる…と。」
「うわヤバいよこれ。終わっちゃうじゃない?」
「じゃあ俺はこの赤を置いて《ヘリウム》を2個もらう。でさっきの青をもらっていく…と。笑」
「きゃー、ヘリウムも…6個じゃないの!マズイマズイ出遅れたー」
「《木星》だからそっちも艦隊+1なのね」
「あ、そうだった。うん少しでもポイント稼がなきゃね♪」
「あ〜ん!《月》にもうカードがないじゃない!ひどい!《帝位》が取れない!」
「あはは、絶対狙ってやってたな、笑」
「えへ、バレた♪」
「くそお、効果がぜんぜん噛まない!どうすりゃいいんだ⁈ちょっと考えさせて…」
「やっぱり《養成校》で《影響力》確保じゃない?」
「だよなあ、それしかねーか。じゃあこれで。」
「あー!《火星》上書きされた!うおー計画が崩れたあああ!」
「私もー!先にやりたいー!」
「きゃー取られた!その人狙ってたのに!」
「くそお、うまくいかないなぁこのゲーム!ええっと…じゃあどうしようかな…迷う」
…と実際こんな感じでした。
原作がハードSFで、そのボードゲーム化という事で、《たぶん難しいだろう》と敬遠している人も試しにぜひやってみて欲しいです。
特にカードコンボを組み合わせて効果をもたらすようなゲームが好きな人には絶対刺さると思いますよ♪
2〜3回やるとキャラクターが分かってきて、プレイがスムーズになるのと同時に、愛着のあるキャラクターができてくるのがまた面白いと思いました♪
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《余談1》
このゲームセットの中には、しっかりソロプレイ用のパーツ類が同梱されております。
もっとも私らには全く必要ありませんが…ごめんなさい(^^;;
《余談2》
ちなみに私はこのゲームをやっていて何となく『ドミニオン』を思い出しました。
あのゲームは、得点カードを取れば取るほど自分のカードデッキに効果のないカードが増えるため、回転が重くなってきつくなります。これがトッププレイヤーの自動ブレーキの役割を果たすため、自然と下位プレイヤーに逆転のチャンスを与えるよう意図的にデザインされていました。そこがゲームとしての革新だったわけです。
このゲームでも、やってみれば分かりますが、手札がだんだんと完成してくると、場に出せるカードの余裕が限られて来て、どんどん選択肢がなくなっていきます。(コンボを崩したくないのでそのカードを場に出せなくなるため)これがやはり自動ブレーキの役割を果たすのです。
この感覚は新しかった!(個人的にはもっともっと評価されていいと思います)デッキ構築とは別の方向でカードゲームの新しい可能性を開いたと言ったら大げさでしょうかね♪
《余談2》
カード色のブラウンとカッパーとイエローとゴールドの色が見分けにくいです!印刷コストの都合上メタリックが使えなかったためだと思われます。
またなぜか黒は《ブラック》ではなく《オブシディアン》なのです。これは階級闘争と差別のドラマで《ブラック》は別の議論を呼び起こすための配慮であると考えられます。最近のゲームって、こんなところも配慮しなきゃいけないんですね。
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