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  • 2人~5人
  • 45分~55分
  • 8歳~
  • 2010年~

倉庫の街Sato39さんのレビュー

141名
3名
16日前
0

《シンプルなゲーム性に狂おしいほどのインタラクションを詰め込んだ名作!》

TBGLさんのレビューを読んで何故か心惹きつけられ即購入、日本語化までするほど好きになったのでレビューしたい。

【2010年の競りゲーム】

デザイナーは私が最近特に好きなシュテファン・フェルト。2010年というと、ワーカープレイスメントやデッキ構築などボードゲーム業界において様々なメカニクスが生み出され、大勢を占めていた競りゲームが姿を消し始めた頃の作品だ。ダッチ・オークション(Dutch Auction)という、設定された最高価格から順番に価格を下げていき、買い手は適当なところで入札し、その時点の価格で落札が行われるオークション方式の競りがメインシステムとなっており、そこにドイツ最大の港湾都市であるハンブルクをテーマにした要素が盛り込まれている。

2016年に「ヨービック」というタイトル、ヴァイキングテーマでリメイクされたためか、この作品自体は入手難になってしまったようだが、今回はタイミングよく台湾版をバネストさんで購入できた。しかも台湾版は「Kaispeicher(波止場の倉庫)」拡張も同梱という特別仕様だったので運が良かった。嬉しくてつい日本語化シールを作成してしまったので、興味ある方は活用して欲しい。Sato39 note「倉庫の街 和訳カードシール」


そして、例のごとくハンブルクの街がどこにあるのかも知らなかったので調べてみた。

【港湾都市ハンブルク】

ハンブルクは、エルベ川の河口に位置するドイツ最大級の河川港ハンブルク港を擁し、何世紀にもわたりドイツの貿易を支えてきた一大港湾都市である。中世にはハンザ同盟の最有力都市の1つとして活躍し、19世紀後半にドイツ帝国が成立し自由港区が設置されると、新たな港と倉庫群を建設する必要が生じた。

こうして作られたのがシュパイヒャーシュタット(Speicherstadt)で、1885年から1927年にかけて3期に分けて整備された。ネオゴシック様式のレンガ造りの建物群は、細い路地や運河、橋などで結ばれていて、世界最大級の倉庫群になっており、香辛料紅茶コーヒー絨毯など当時の高級品が取引された。

また倉庫街の整備に伴って増加した商店主らの事務所として建てられたのが、コントーアハウス地区の商館街であり、赤レンガ倉庫街と商館チリハウスは世界遺産に登録されている。(参考:skyticket 「ドイツ最大の港湾交易都市!ハンブルクの倉庫街とチリハウスを含む商館街」


【赤レンガ倉庫街】

とにかくこの美しい赤レンガ倉庫街を見て欲しい。もう何の説明もいらないほどに魅了されてしまう♪

世界遺産データベース「シュパイヒャーシュタット地区とチリハウスを含むコントールハウス地区」より引用
郵船トラベル クルーズ部ろぐ「ハンブルグに到着」より引用

世界最大といわれる赤レンガ倉庫街シュパイヒャーシュタットの倉庫は運河に接して建てられており、屋根に設置された滑車を使って倉庫の脇に横付けした船から上層階に直接荷揚げができるように独特の造りになっている。現在は歴史的な建物を利用したアミューズメント施設などになっているそうだが、いくつかはまだ倉庫として使われている。

とっておきドイツ観光案内「【世界遺産】ハンブルクの倉庫街を散策~あの大人気観光スポットも~」より引用


【ハンブルク大火】

Peter Suhr作

1842年5月5日ダイヒ通りにある葉巻きたばこ製造業者コーエン宅で発生した火災は、3日間燃え続け旧市街の約1/4が失われた。50km先からでも炎が見えたと言われており、51名の犠牲者、20,000名以上が住居を失い、破壊された家屋は1700棟に上ると推定される大規模な都市火災で「ハンブルク大火」と呼ばれる。 ハンブルクの歴史を語る上で避けては通れない災害となっている。(参考:Wikipedia「ハンブルク大火」

【商館チリハウス】

Wikipedia「ハンブルクの倉庫街とチリハウスを含む商館街」より引用

コントーアハウス地区(Kontorhausviertel)は、シュパイヒャーシュタットに隣接するオフィスビル街。19世紀後半から20世紀初頭に形成された一連のオフィスビルはコントーアハウス (Kontorhaus) と呼ばれ、日本では「商館」などと訳される。

商館は北ドイツ表現主義建築様式で建築されており、「レンガの多用」「白い格子状の窓枠」「垂直性の強調」などが特徴とされている。中でも最高傑作と評価されているのがフリッツ・ヘーガー作のチリハウス。東端の鋭いファサードが特徴的で、しばしば船の舳先にも例えられる。そのダイナミックさは他の表現主義建築にも先例がなく、ハンブルクにとどまらずベルリンの表現主義建築にまで影響を与えたとされている。


【ゲーム概要】

プレイヤーはハンブルク倉庫街にある商社の社長となり様々な貿易カードを購入する。貿易カードには資材を積んだ船や契約カード等があり、主に契約を達成することで評価点を獲得することができる。ただし倉庫の街には計4回の大火事が起こるため消防士が必要だ。冬の貿易カードから始まり、春、夏、秋の順でカードが全てなくなると最後の大火事が起こりゲーム終了。最も評価点を稼いだプレイヤーの勝利。


【シンプルだが雰囲気のあるコンポーネント】

コンポーネントはさっぱりしており、大きくはないが赤レンガ倉庫街の雰囲気たっぷりのメインボード、味わい深いイラストの貿易カード、各プレイヤー用の労働者駒、資材キューブ、コイントークンとなっている。人数によってカード枚数の調整が必要だが準備は簡単でインストもさっくり終わる。場所を取らないのも嬉しい。プレイ時間も1時間弱で終わるため気軽に楽しむことができる。


【簡単だが悩ましいダッチオークション】

度重なる大火事に皆が消防士を欲しがった図。手前の船はなんと1金で購入可能。

プレイヤーの手番では、需要フェイズで労働者駒を欲しい貿易カードの列に置き、購入フェイズでカードを購入するだけと非常に簡単。ではゲームも簡単かというと、そこはフェルトのゲームデザイン。全く簡単ではない!

まず需要フェイズでは、スタートプレイヤーから順番に欲しい貿易カードの列に1個ずつ労働者駒を置いていく。一見単純なように思えるが、カードの購入価格はその列の駒の数となる。つまり4個の労働者駒が並んでいると4金必要となるわけで、必然と人気のあるカードはたくさんの駒が並んで高くなる。

逆に人気のないカードは驚くほど安く購入できる。前のラウンドでは高いお金を払って購入したカードが安く買えたり、安かったカードが高くなったりもする。この場の相場や流れを読んで購入するのが、とても面白い!


【大火事がゲームを引き締める】

このゲームを悩ましくしている要素の一つに季節毎にやってくる大火事イベントがある。春、夏、秋のカード群に1枚ずつ仕込まれており、このイベントが現れると即座に消防士の合計点が最も多いプレイヤーがプラスの勝利点、少ないプレイヤーはマイナスの勝利点をもらうことになる。

最初は+1点や-1点程度なので見向きもされないイベントなのだが、徐々に点数が増加していき最後には+4点、-4点となる。つまり最後のイベントだけで8点の差がついてしまうのだ。もし仮に消防士を1枚も取らずにずっとマイナス点を貰ってしまえば、2+4+6+8=20点の遅れをとってしまう。これは痛い。

従って自然と消防士も欲しくなってくるのだが、これは他のプレイヤーも同じなので、常に他のプレイヤーが消防士を何点取っているのか、次にどの消防士を狙ってくるのか、ということを読まなければいけない。そこが面白い!


【ハンブルクを感じるカード群】

船や消防士のカード以外にも様々なカードが盛り込まれている。それぞれの商品をお金に変換する商人、集めていけば高得点を狙える商館、それだけで勝利点を稼ぐ建物など、どれもハンブルクの特徴をよく表したカードばかりだ。シンプルながら、色々な戦略を考えることができて楽しい。


【お互いに足を引っ張り合う楽しさ】

上記の通り色々な特徴はあるが、実はこのゲームの一番の魅力は「足を引っ張り合うこと」にある。どういうことかと言うと、自分の欲しいカードは安く購入したいが、他プレイヤーには出来るだけお金を使わせたいと自然と考えるようになり、このため他プレイヤーが置いている労働者駒の後ろにわざと並ぶようになる。

「ふふふ♪」と、ほくそ笑んでいると相手も自分の駒の後ろに並んでくる。

「げげ!高くなったやん。何すんねん!」と、もう一つ相手の駒の後ろに置いてみる。

「ひでー!そっちから置いたんじゃん。」などとしていると3人目が別の列に置いてくる。

「あー!それも欲しかったのにー。」「ずるい!(笑)」

などと、すぐに阿鼻叫喚の地獄絵図となる。これは気の知れた間柄で遊ぶと非常に楽しい。競りゲームはお互いの顔色を伺いながら腹の内を読み合うインタラクションの塊のようなメカニクスで最近ではあまり好まれない傾向にあるようだが、数年前からボードゲームを始めた私にはとても新鮮刺激的だった。ゲームなのだから、これぐらい刺激的でも良いように最近は感じている。もちろん相手を侮辱することなく、リスペクトしつつやりあうのがボードゲーマーの礼儀だ(笑)


<良いところ>

  • シンプルで場所を取らないが雰囲気のあるコンポーネント
  • 子供や初心者でも熱い読み合いを楽しめるシンプルなプレイ感
  • 悩ましい火事イベントとハンブルクを感じるカード群
  • 刺激的なインタラクション

<悪いところ>

  • 直接的な妨害要素
  • 日本語版がない(言語依存はないのでプレイは可能)

<説明書&対象>

説明書8ページ。インスト:15分、プレイ時間:60分(4人ゲーム)
BGG Weight: 2.27(2022/8/3現在)。軽い中量級

おすすめの対象は、上記の通り妨害要素を楽しめる気の知れたグループだ。オープン会のような初対面で気を使いながら遊ぶゲームではないだろう。

※今回のレビューにあたり様々なホームページより画像、文章を引用させていただきました。問題があれば削除いたしますのでご連絡いただければ幸いです。


【感想】

これは凄い!シンプルなルール、シンプルなコンポーネントの中に狂おしいほどのインタラクションを含んでいる。かといって直接的な攻撃要素ではなく、お互いに自己利益のための仕方のない犠牲とでもいうような回避不能のインタラクションがドラマチックにゲームを盛り上げることになる。

ルールは簡単なので、普段ゲームをしない妻と8歳の息子の3人でプレイしても特に困る場面はなかった。複数の商人を手に入れた息子が商品をお金に変換する見事なプレイで勝利したのは驚きで、妻もしっかりと足の引っ張り合いを楽しめている様子だったのは嬉しかった。

また別の機会で、長男、次男、三男と4人プレイをしたが、優しい長男は他の兄弟に譲ってしまうことが多く、競争の少ない不人気なカードばかり獲得していたのが気になった。しかし誰も見向きもしなかった商館や建物を集めることで得点を稼ぎ、ゲーム終了時は僅差の勝負となり楽しめていたようだ。いくつかの戦略が用意されていて本当に良かった。

万人におすすめできる作品ではないかもしれないが、強烈なインタラクション赤レンガ倉庫街のテーマ性を楽しむことができるならば、簡単なルール短いプレイ時間で貴重な体験ができる名作だと思うので一度試してみて欲しい。

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