- 1人~4人
- 30分~60分
- 12歳~
- 2016年~
ブルゴーニュ:カードゲーム18toyaさんのレビュー
名作「ブルゴーニュの城」のエッセンスをぎゅっと凝縮した小箱の良作!
【評価7.5/10】軽中量級・1~4人
[ダイスアクション×セットコレクション]
恐らくボードゲーム史上で今後も名を残すであろう名作「ブルゴーニュの城」をカードゲームに落とし込んだ本作。
実は私は「ブルゴーニュ→ブルゴーニュ:カードゲーム」の流れでは無く,先に入手したのはこちらのカードゲームの方でした。値段もお手頃でしたし…笑
その後,原作「ブルゴーニュの城」もプレイした上で本作の「ああなるほど。これはしっかりブルゴーニュだね!」と思うところと「これは意図的に省いて軽くしたね!」と思うところが見えてきたので,本日は原作ブルゴーニュとの比較を中心にレビューしたいと思います。
<原作「ブルゴーニュの城」と本作「ブルゴーニュ:カードゲーム」の類似点・相違点>
1)根幹は紛れもなくブルゴーニュ!
プレイヤーができる行動はダイスでカードを獲得,獲得してあるカードをダイスで設置,ダイスで商品を売却,ダイスを捨て労働者を2人獲得する,銀を使ってカードを購入という基本行動はまさしくブルゴーニュ。
このほか,本作独自の行動として「ダイスを捨て1銀獲得する」「ダイスを捨て労働者または銀を3枚につき1勝利点に変換する」という行動もありますが,基本的な行動は原作の感覚です。
また,カードの種類は船・城・鉱山・知識・施設の5種類は健在、動物は牧場になっていますが効果はまあまあ近い。更に本作では1種類,「修道院」という紫のカードが追加されており,設置時効果はありませんがワイルドカードのように使えるほか,修道院だけでセットを作る事もでき設置時効果が無い分高めの勝利点をもらえます。
2)カードは完全ランダムで置かれる
原作では1の目の場所には必ず船と施設が,2の目の場所には城と知識が…等,どの目の場所にどの種類のタイルが置かれるか決まっていました。先の見通しが立ちやすく戦略性に大きく関わっていましたが,本作ではランダムにシャッフルされた山札から順次置かれていくので,ラウンドによっては例えば「船と施設しかない!」等の事態も起こってきます。
戦略性はやや落ちて運要素が上がるものの,準備と取り回しは非常に楽になっています(原作では種類ごとのタイルの準備が結構大変だったのではないでしょうか…)。
3)自領へのタイル配置は大幅な変更
ここは大きく異なる点。
原作では自領にタイルを置きたい時,「既にタイルが置かれた土地と隣接しており」「置きたい場所の指定色(種類)と置きたいタイルの色が一致しており」「置きたい場所の指定ダイスと同じダイスを使用する」という複数の条件を満たす必要がありました。
しかし本作では配置条件を大胆に軽減し「置きたいカード自身の指定ダイスと同じダイスを使用する」だけでカードを配置できるようになりました。
また一繋がりの地形も,原作ではタイル1個から6個まで多彩な広さがありましたが,本作ではどの種類のカードでも3枚ずつ揃える事でラウンドボーナスをもらえ,また各色の3枚セットを最初に作った人はすぐ「色ごと1位ボーナス」をもらえるように変更されました。
3枚セットは最後の得点計算時に点数をもらうためにも必要です。同じ色が2枚までだと1点にもならない。更に「7種全部の3枚組」を完成させる事でももらえる勝利点があるため,本作においては「種類を広く集めつつなるべくたくさんの種類を3枚にする」という横方向への誘導がなされています。
ワイルドとして機能する紫も活用し,3枚セットを5種6組作った図。茶色(施設)はワイルドも含め6枚取れたので3枚セット2組分の勝利点を貰えます。
4)知識カードは全く効果が異なる
ここも意図的に変更されています。原作において知識タイルは28枚あり,1枚ごとに違う効果がありました。本作では知識カードは全て等しく「労働者を2枚獲得する」効果に変更されています。
知識タイルの種類の豊富さは原作においてリプレイ性を高める要素の一つでしたが,反面煩雑でもあり長短が合わさったものでした。本作を作る際,手軽に遊べる事に主眼を置き意図的に単純な効果にしたのでしょう。遊び感は変化したものの小箱として正しい判断だと思います。
5)同一施設を建て放題
原作では「一繋がりの中に同じ施設は建てられない」という制限がありましたが,本作ではこの制限が解除されています。軽く遊ぶにはこの変更も歓迎です。
なお施設の効果自体は原作から結構引き継がれており,微修正はあるものの近い感覚で使えるものが多いです。唯一,原作の効果と全く違うのは寄宿舎。原作では労働者を4人取る,でしたが,本作では「商品もしくは動物を1枚取る」に変更されています。労働者を取る効果が知識カードに移ったためと思われます。
6) 進行の違い
原作では,各プレイヤーの手番ではダイス2個を使え,各プレイヤーが2ダイス×5回を使い終わったら1フェーズ終了。A~Eの5フェーズでゲーム終了。つまり25手番で50ダイスを使うゲームでした。
一方本作では,各プレイヤーが1ダイスを使ったら次のプレイヤーに手番が回り,全員が6ダイスを使い切ったら1ラウンド終了。A~Eの5ラウンドでゲーム終了と,30手番で30ダイスを使うゲームになっています。
1ダイスを使ったらすぐ次のプレイヤーに周るためダウンタイムが短くなり,また使用するダイス総数も抑えた事で原作よりも短時間で遊びやすくなっています。
他にも細かい違いは諸々ありますが,ここでの説明は省略させてもらいます。
<まとめ>
原作「ブルゴーニュの城」はプレイヤーが取れる行動をシンプルに絞りつつ,地図とタイルの効果で複雑さと奥深さを担保し,深い充実感と高いリプレイ性を提供してくれるゲームでした。しかし一方で地図と複雑なタイル効果は敷居の高さになっていた面も否定できません。
その点,本作「ブルゴーニュ:カードゲーム」は地図と知識タイル効果を意図的に落とし,毎ラウンド山札からめくられた順に置いていくという取り回しの良さによって準備の手間もプレイ感も軽くして遊べる人の裾野を広げた良ゲーです。
私もそうでしたが,原作を知らなくても十分に楽しめますし,逆に知っていても「根幹を同じくした別ゲーム」として楽しめると思います。
また,ソロルールも公式で準備されているのも良い点ですね!かく言う私も本作購入の決め手はソロプレイが出来る点でした。場所はそこそこ食いますがサクッと回せてオートマもそこそこ手強いので割と楽しく遊べます♪
一方欠点は,『小箱ながらエッセンスはしっかりブルゴーニュ』なゲームとして仕上がっているため,小箱ゲーとしては準備もルールもやや面倒で煩雑と感じる部分ですかね!
かく言う私も本作から入った口なので,最初は「ルールのここが何言ってるのかよく分からん。もう少し分かりやすく書いて欲しかった,複雑だなあ…」と思った面もあります。
しかし原作ブルゴーニュを遊ぶ機会があり,その後本作をプレイしてみると感想が変わったんです。「原作のあそこをこう反映させたのか,で,これはバッサリ落としたと。いやーなるほど。あれをよくここまでプレイしやすく軽くしたねぇ,大したもんだ!」と。
もちろん,「ブルゴーニュ:カードゲーム」は原作とは独立したゲームであり本作だけでも十分楽しめます。しかし原作「ブルゴーニュの城」も併せてプレイすると本作への理解がより深まり,ますます充実感が高まるかもしれません。
そんな訳でこのゲームは
少し手応えのある小箱ゲームに手を出したい人
手頃なソロゲーを探してる人
ブルゴーニュ好きだけどなかなか多人数で遊ぶチャンスが無い人
ブルゴーニュ好きだけど時間も手間もかかりすぎると感じる人
などにオススメできる,質実剛健なコスパの高い良作小箱です。上記に当てはまる方は是非一度試してもらえればと思います♪
<参考>
ちなみに原作ブルゴーニュの方も興味ある!という方がいらっしゃいましたら、本サイト内で原作の方もレビューしてますので参考になるかもしれません。
長文を最後までお読みいただきありがとうございました。皆様の良きボドゲライフに貢献できれば幸いです。
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