コンテナ：10周年ジャンボエディションマクベス大佐＠Digブログさんのレビュー

内容物も本質も巨大な経済ゲーム。物流をそのままゲームにうまく落とし込んだ傑作。

【ざっくり解説】

　デロンジェの経済ゲームで、物流（製造、卸売り、販売）をうまくゲームに抽象化して落とし込んである経済ゲームの傑作です。テーマとゲームの一致性もさることながら、ボード間をコンテナを積載した船が行き来する様は、雰囲気抜群です。

　ゲームの方も内容物や見た目に負けずシビアな経済ゲームとして成り立っています。また自分が何屋をやりたいかも結構大事になります。製造中心にやるのか、仕入れと運輸中心にやるのか、卸売り（オークション）で利ざやを狙うのか。何をやって稼ぐのか？そういうゲームです。

　こういう見方もできます。経済ゲームという演劇の舞台は用意されており、あとはあなたが演じたい役を演じるだけ。このゲームにはそういう側面もあります。

【長所】

　テーマとゲーム性の一致性でしょう。ボード間を船が行き来する様はまさに絵になります。写真映えも間違いなしです。

　思うに長時間ゲームはどうしてもゴチャゴチャした見た目になりがちですが、このゲームはかなり見た目はすっきりしていて、やっている様は絵になります。無駄なものがなく、洗練されていると言えるでしょう。

　ユニークなのは5色あるコンテナの価値がプレイヤー間で違う上、自分以外のは非公開情報ということです。他のプレイヤーの思惑を推し量っていく必要があります。各自の思惑の違いが最後の握り込みの競り（ブラインドビット）にあらわれてきます。これがまた面白いのです。

【短所】

　重ゲーの割に要素がすっきりしていて、要素もりもりが大好きの根っからの重量級ゲーマーには少し物足りないでしょう。借金必須でないあたりワレスゲーマー方々は物足りなさを感じる可能性は高いです(笑)。

　あとは序盤の展開が均一すぎることですね。経済の輪が小さいころはできることが限られていて、ちょっとつまらないです。終盤は競りの入札もゲームの動きもダイナミックになっていきます。

　あとほぼほぼ実質5人ゲームなことですね。4人以下だと誰かが追加投資しないと生産できないカラーのコンテナが有り得ることです。是非とも5人でプレイしましょう。

【個人的な評価】

　素晴らしいゲームデザイナーであるデロンジェの遺作となった本作は、彼の才能を多くの人が惜しんだことでしょう。処女作『ビッグシティ』からゲームテーマとルールの一致感にすでに光るものがあり、非常にユニークなゲームをたくさんデザインしてきました。

　最後の最後の作品もまた、彼の才能をいかんなく発揮しており素晴らしいゲームになったと思います。

　個人的な評価としては凄いゲームだと思います。しかし少し序盤の展開の均一さが好きになれません。ワレスの『ブラス』の運河期が好きでないように、地味に感じてしまいます。ただ本作の中盤以降も『ブラス』の鉄道期も凄いダイナミックで好きなのでむず痒いところですね。

　プレイ回数としては5回ほど遊びました。今なら5人集まれば遊んでも良いかなと思うぐらいには好きです。

【余談　コンテナを買わずに勝つ】

　今でも印象的な思いでが１つあります。それは「コンテナを全く買わず、売りオンリーで勝利したこと」です。このゲームの持つ無限の可能性の１つを感じた瞬間でもありました。底知れぬポテンシャルを感じるゲームなのは間違いないでしょう。ちなみにまぐれではなく2回この方法で勝利しています。

　短時間ヴァリアントありきの戦術の可能性はあります。しかし、長時間でも通用する可能性はあると自分では思っています。コツは5色全積載の船を競りに最低一度は掛けることです。全員が欲しがるので値段が高騰します。

　その時のレポートを貼っておきますね。安心と信頼のけがわさんの記事です。

■2010年ゲームマーケットの時　4人プレイ　短時間ヴァリアントあり

https://www.gamers-jp.com/playgame/archives/000931.html#container 

■2010年の秋の温泉合宿の時　5人プレイ　短時間ヴァリアントあり

https://www.gamers-jp.com/playgame/archives/000970.html#container