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  • 1人~4人
  • 90分~180分
  • 13歳~
  • 2019年~

クラウドスパイアダイスケさんのレビュー

367名
8名
0
3年以上前

豪華かつ機能的なコンポーネントが特徴の、タワーディフェンス+MOBAな重量級ボドゲ

空に浮かぶ群島を舞台に、様々な勢力がお互いの要塞を攻め落とすべく戦うシミュレーション。

(重量級のシステムゆえに、ソロチュートリアルシナリオクリア時点でのファーストインプレ的紹介となることをご了承ください)

 

各勢力が送り込むのは、プレイヤーが自由に操作できるヒーローユニットのほか、一度配置したらほぼ自動で進行していくミニオンと、特定のへクスに建設できる自動砲台「スパイア」となっている。

このミニオンとスパイアがビデオゲームのタワーディフェンス的要素として、特殊能力を持ったヒーローユニットや各地に配置されるランダムな内容の中立勢力がMOBA的な要素としてよく比較されていて、実際TD要素は強く意識してデザインされていると思われる。

 

各ウェーブで支給されるリソースやポイントでスパイアを建設したり、自軍のユニットを購入して出撃させ、相手側も同様に繰り出してくるユニットを迎え撃つ。

そうして最終的に相手の要塞の門のHPを0にするか、4ウェーブ目終了時点で要塞のHP+強化ポイントが上回っていたほうの勝利となる。

ゲームの肝となるのはやはり、自動進行のミニオンの存在だろう。一度出撃したらほとんど操作は出来ず、ルールに従って進行していくのをヒーローユニットで補助したり、逆にミニオンが進行している間にヒーローを育成したりと、思ったより忙しくウェーブは進行していく。

ウェーブは両勢力のミニオンが全滅するまで続き、戦闘によって得られた報酬と、ウェーブ始まりの支給ソースで自軍をさらに強化していく。ヒーローユニットとスパイアは持ち越せるので、その回復・補修と強化も重要だ。

 

4人までのバトルロイヤル的な対戦と、2vs2のチーム戦、プレイヤー2人vsAIのCOOP及び、ソロPvEが用意され、ソロも決してオマケではなく、各勢力のシナリオが用意された100ページ超の専用ブックレットが付属するという気合の入った内容となっている。

 

特筆するべきはそのコンポーネント。巨大かつ超重量のボックスにはネオプレーン(マウスパッドなどに使用されている布張りのゴム)製のマップタイルや重量感のあるポーカーチップのようなユニットチップ、ダイスなどがぎっしり詰め込まれている。

 一般的なトランプの箱との比較。重さは量ってないが7キロ近くあるらしい

チップも見た目だけの飾りではなく、HPやアップグレードなどのチップとともにスタックすることで、そのユニットの状態が直感的にわかるようになっていて、機能性も確保されている。

 HP満タンかつ攻撃力が+1されたグレーの勢力と、HPが1まで減った緑の勢力のユニットの差は歴然

これがデベロッパーChip Theory Gamesが代名詞的に使用しているチップのシステムで、他にリリースされているToo Many BonesやHoplomachusなどのタイトルにも同様にチップでHPなどを表示する仕組みが使用されている。

機能性と手触り(プレイ経験のある方は、カジノのポーカーチップ、ボドゲでは宝石の煌めきの宝石チップや、チーキーモンキーの動物チップの重量感を想像してもらえるとわかりやすい)を両立したこのチップのスタックはちょっとした発明といってもいいように思える。

(実はHPを表す赤いチップのみ、プラ製の廉価版になっているのだが、別途プレミアム版も販売されていて、まんまと欲しくなってしまった。そのくらい満足感が違う)

 

これらのネオプレーンマップ、チップと、収納しやすく作られた各種ケース、プレイ中に便利なトレイと、このデベロッパーのコンポーネントに対するこだわり(ボール紙の打ち抜きトークンは一切ない)は、その分値段や送料(合計2万円越え)に響いてしまっているものの、ボドゲを所有することに対する満足感を刺激してくれる。

 プレイ中自軍のチップを配置しておけるトレイも、高級感はないものの便利アイテムだ

 

もちろん、すべてが手放しで褒められるわけではなく、自由度が高いゆえに複雑化したミニオンの移動や攻撃ルール、大量のユニットのタレント効果など、ゲームを始めるにあたってのハードルはかなり高い。

丁寧に進行を説明してくれるガイドはあるにはあるが、ルールブックの通読だけではカバーしきれない処理は無数にあり、ゲーム進行をおおむね把握した後には、リファレンスブック(いずれも当然英語、今のところ有志翻訳はない模様)も読破する必要があるだろう。

ひとまずプレイして分かりづらかったところや、プレイ時に把握しておきたいルールはルール解説記事にまとめておいたので、購入まではいかないまでも、TableTopSimulatorやボドゲカフェなどでプレイする際には参考にしてもらえればと。

 

ルール的、物理的にも重量級のゲームだが、2020年のBGGソロランキングでも57位にランクインしているだけあってプレイの満足感もそれだけ高い。

TDライク、MOBAライクなボドゲ、コンポーネントの満足感のあるボドゲに興味がある方は、機会と気合があれば検討してもいいのではないだろうか。

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