カスカディア真夏。さんのレビュー

「カスカディア」は、北米北西部の豊かな自然環境をモチーフにした美しいビジュアルとパズル的な戦略性が融合したボードゲームです。プレイヤーは自然保護活動家のように自らのタイル群で森林、川、草原といった自然地形を広げ、そこに野生動物たちの生息地を築いていきます。2022年にドイツ年間ゲーム大賞を受賞した本作は、見た目の魅力だけでなく誰でも遊べる優しいルールと繰り返し遊べる奥深さを兼ね備えた傑作です。

👍カスカディアの良い点・魅力

美しいビジュアルと自然の没入感

まず特筆すべきは全体を包むアートワークと色彩の美しさです。静かで落ち着いたトーンの地形タイルと動物の絵柄が見事に調和しており、配置していくたびに自分だけの「カスカディアの自然」が完成していく感覚はとても満足度が高いです。

二重構造の戦略パズル

生息地タイルの繋がりと動物の配置パターンを同時に意識する必要がある点が、カスカディアを単なる「配置ゲーム」にとどまらせません。どのペアを取るか、今の配置が将来にどうつながるかを考える楽しさがあります。

初心者もすぐに楽しめるルール設計

ルールが簡単で説明も短く済むため初めてボードゲームを触る方でもすぐに遊べます。インストラクションの手間が少ないことで家族や友人とのプレイ開始までのハードルが非常に低いのも魅力です。

繰り返し遊べるリプレイ性

得点カードの組み合わせは動物ごとに4種類用意されており、5種類×4パターンのバリエーションで毎回違った戦略が求められます。同じプレイ感覚にはまずなりません。

プレイスタイルの幅広さ

短時間で終わること、そしてプレイヤー間の直接干渉が少ないことから、「会話しながらゆったり遊ぶ」「静かに集中して取り組む」などシーンに応じてプレイスタイルを変えられる点も特徴です。

😢気になる点・デメリット

得点計算がやや煩雑

慣れないうちはゲーム終了時のスコア計算にやや手間取ることがあります。得点シートの使用が前提とはいえ、スムーズな集計には少し慣れが必要です。

インタラクションの薄さ

他プレイヤーとのやり取りがほとんどなく黙々と自分の世界を築くプレイ感になるため、対戦感や緊張感を求める人には向かないかもしれません。

ランダム性に左右される場面

場に出るペアの選択肢はランダムであり、自分にとって理想的な組み合わせが来ないと最適配置が難しくなることもあります。

🧐プレイした感想と考察

実際に遊んでみると、カスカディアは「考える楽しさ」と「見た目の満足感」のバランスが非常に良いゲームだと実感します。コンポーネントの美しさと悩ましい選択の連続が組み合わさり、遊びごたえのある一作になっています。

特にソロプレイも充実しており、「一人でじっくり自然と向き合う時間」を楽しみたい方にもおすすめできます。どんどん広がる自分のタイル群にまるで風景画を描いているかのような静かな喜びを覚えることができます。

📝まとめ

カスカディアは美しいアートワークと丁寧に作られたゲームシステムが融合した、まさに現代的パズルボードゲームの理想形とも言える作品です。ルールの簡単さからくる遊びやすさと戦略性の高さという相反する要素を見事に両立しています。

軽量級ながらも満足感が高く、初心者の入門としても、中・上級者がサクッと遊ぶにもぴったり。拡張セットや得点目標のバリエーションも豊富なため飽きずに繰り返し楽しめるのも嬉しいポイントです。

自然を愛する人、パズルゲームが好きな人、家族での楽しいひとときを求める人——そんなすべての人におすすめできる珠玉の一作です。