- 1人~4人
- 120分~180分
- 13歳~
- 2023年~
ズータイクーン勇者アッキーさんのレビュー
プレイヤーは動物園の経営者となり、動物園を個人ボードに作成して楽しむ、いわゆる箱庭系のゲームです。
個人の動物園ボードに様々な動物を導入し、動物園の人気点を高めて収入を増やし、動物園にいる各動物を管理して幸福度を上げつつ、動物保護点を増やしながら建物やショップを建設して、人気点・教育点・動物保護点をさらに高めていきます。
最終得点計算で人気点と動物保護点を比べて低い方が総合得点になるため、動物園の人気を高めるだけでなく「動物を管理して大切にすること」がこのゲームの最も大きな特徴と魅力ポイントになっています。
ゲームの流れは、1R=4シーズンを7Rまで繰り返し、8Rで最終得点計算となります。 ザックリと説明すると、以下の通りです。
春=イベント・動物の繁殖
夏=動物の譲渡・受入
秋=園内タイル獲得・動物導入・建物建設
冬=収支・決算
動物は全部で35種類。(一般動物は23種類・共存動物は12種類)それぞれ人気点や管理費、必要な地形タイルなどのパラメーターもかなり異なります。
このゲームのメインシーズンである秋に、 この中から好きな動物を園内に導入しつつ、売店や公園などの建物を建設して自分だけの動物園をチマチマと作っていく楽しみがあります。
ソロプレイ評価
かなり楽しい(85点:Aランク)
戦略・判断 ★★★★☆
攻防・戦闘 ✕
運要素 ★★★☆☆
交渉・取引 ✕
アート・外見 ★★★★★★★★
斬新さ ★★★★☆
緊張感 ★★★☆☆
リプレイ性 ★★★★☆
ランダム性 ★★★★☆
パズル要素 ★★★★★
プレイスペース ★★★★★★★
プレイ時間 ★★★★★★
準備・撤収時間 ★★★☆☆
ゲームの複雑さ ★★★★★★★
ゲームの難易度 ★★★★☆
プレイ人数 1~4人
販売価格 13750円
【各カテゴリー要素についてはこちら】
https://braveaki.game.josoakixpooh.com/2024/02/02/
【ソロプレイの詳細】
ソロプレイはダミープレイヤーとの対戦となり、最終総合得点に応じた高評価を目指します。ダミープレイヤーは実際に得点を獲得することはなく、プレイヤーのゲーム進行を色々と邪魔してきます。
ダミープレイヤーの難易度を変更することが可能なため、自分の腕前に合わせた自己記録の更新を楽しむことができます。
【良かったところ】
① 好きな動物を園内に導入しつつ建物を色々と作成し、各種パラメータを少しずつ管理する時間は、まるでSLGをプレイしているかのような楽しさ、ジオラマをチマチマと作成するかのような楽しい時間を過ごせます。
動物園作成ボードゲームといえば、カードの絵柄+特殊効果などが一般的ですが、大量の動物駒と地形+建物タイルでこれほどまでにリアルな動物園を作成できるものは他に例がなく、わたしが購入を決意した大きな決め手となりました。まさにアナログゲームならではの魅力とも言えます。
動物駒は圧巻の236個。オスとメスでカラーや形が異なっており、作りも非常に細かいです。園内タイルや建物タイル、各コンポーネントもかなり多く、それぞれに収納できる小箱がしっかりと同梱されているのも、非常に嬉しいポイントです。
② このゲームは動物園の人気点・教育点ほか、「動物保護点」というものがあり、「動物を大切に育てる・管理する」というところに重点が置かれています。
動物園の人気を高めて収入を増やすことももちろん大切なのですが、それだけではダメで、最終得点計算時に「人気点と動物保護点を比べて低いほうが最終得点」となるため、このルールは他の動物園作成ボドゲにはない珍しいシステムで、非常によくできていると感じました。
ちなみに、動物保護点は人気点に比べてなかなか上がらないため、序盤からかなり意識する必要があります。意識していてもなかなか高まりにくいこの難易度の高さも、ゲームを面白くしている要素になっていると感じています。
③ 動物は一般動物のほか、一般動物のエリアに一緒に住める共存動物も12種類存在し、これにより追加ボーナス点も獲得できます。
また、動物小屋や追加の人気点・教育点・保護点を高める注目マーカーもあり、これらも含めて「どうすればより良い動物園を作成できるか?今の園内に最も適した動物は?」とあれこれ考えるのが非常に楽しいです。
さらに決められた動物を園内に揃えると、最終得点計算時に「動物保護プロジェクト」を獲得できます。かなりの動物保護点が獲得できるため、できるだけ好みの動物を園内にたくさん受け入れたいところ。しかし取引できる動物は毎ラウンド変更、ときには対戦相手に横取りされたりと、ほしい動物がなかなか園内に導入できず、別の動物導入を考えたり、園内の動物管理にリソースを費やすのも面白さの一つになっています。
また、春シーズンには繁殖も発生するため、うまく成功すると赤ちゃんが生まれて口コミが上がり、収入も一時的にアップ。かなりリアルに作られているのも嬉しいポイントです。
④ 各一般動物には4つのパラメータがあり、これらを毎ラウンドしっかりと管理する必要があります。これはやや複雑なルールにもなっていますが、ほかにボードゲームにはない楽しみがあります。
経験値は少しずつ増えるほか、動物の数を増やしたり、それに合わせた空きスペースや小屋を増やしていくことで、各パラメータが上昇。結果、動物の幸福度が上昇し、よりレベルの高い動物を園内に導入できたり、地形タイル獲得ボーナスなどの嬉しいメリットがあります。
園内の動物を管理せず、新たな動物を下手に園内へ導入してしまうと、経費が圧迫。さらには他の動物も管理する余裕がなくなり、幸福度がずっと低いままの状況になることも。「動物を大切に育てないと流れが悪くなる」というこのルールは、非常によくできていると感じました。
⑤ 資金で売店や案内所などの建物を建設することができ、それにより様々な恩恵を受けることができるのは嬉しいポイントです。
各建物とビオトープ(動物のエリア)を効率よく配置するのをあれこれと考えるのが非常に楽しく、実際の動物園にあるものをうまく再現されていて、よくできていると思います。
【商用建物】...生息環境に合わせたものが3種類(フード×2・ショップ)あり、ビオトープに隣接することで経費を削減できる。
【公園】...建物に隣接することで人気点を獲得できる。
【教育展示ブース】...ビオトープに隣接することで教育点を獲得できる。
【動物保護センター】...ビオトープに隣接することで保護点を獲得できる。
【気になるところ】
・重量級ゲームの中でも複雑さが非常に高めで、細かいルールを覚えるまでに多くの時間を費やす必要があると感じました。特に各動物の配置条件や動物の幸福度パラメーター管理などは、ゲームに慣れるまでは処理ミス等もよくあります。これはテレビゲームの要素をそのままボードゲームに落とし込んだことが、逆にゲームの複雑さを高めてしまっている部分があります。
ボードゲームに慣れていない初心者や、あれこれ管理するのが苦手な人にとっては、かなりつらい状況になるかもしれません。しかし「覚えてしまえば非常に楽しい」という大きな魅力があります。
・同梱されている説明書にかなりのエラッタがあり、なかにはルールそのものや難易度が大きく変わるような致命的なものもありました。ただし、現在は修正版ルールがアークライトさんから公開されています。↓
【エラッタ改訂版説明書】
https://arclightgames.jp/wp-content/uploads/2024/04/The-Zoo-Game_Rulebook_JP_V2-1.pdf
・各ボードがかなり大きいため、広めのプレイスペースが必要になります。
・プレイ時間が約2時間ほどかかるため、60分~90分でプレイ可能なショートモードなどもあれば、より気軽に楽しめたと思います。
・ソロプレイはオートマとの実対戦モードもあると良かった
・シナリオモードなどがあるとより楽しめた
・イベントカードや協力者カードのカード類がやや少なめ
【総評】
見た目に反して複雑さはかなり高めですが、ここまでリアルな動物園を作成できるボドゲはほかにないため、非常に貴重な動物園作成ボードゲームだと感じています。動物を大切育てる楽しみや、動物保護点も含め、動物に愛着が湧きます。
しばらくはマニュアルを見ながらじっくりプレイすることになりますが、カードなどの言語依存による影響も非常に少ないことから、ルールや流れを覚えてしまえば、飲み込みの悪い私でも非常にサクサクとプレイできるようになりました。 特に秋シーズンはこのゲームのメインフェイズでもあり、動物を園内に導入しつつ建物を色々と作成し、各種パラメータを少しずつ管理する時間は、まるでSLGをプレイしているかのような楽しさがあり、ソロプレイにかなり向いています。
前述したように、このゲームには動物保護点があり、動物を大切に育てることにより点数が高まります。「いかにして動物を大切に管理して育てていくか」という要素は、なかなか他の動物園作成&経営ボドゲには見られない大きな魅力があり◎。本格的な動物飼育を望んでいる方には、ぜひともプレイしてほしいゲームだと感じました。
箱庭作成というゲームの特質上、プレイヤー間の取引があまりないため、 じっくりとソロプレイを楽しみたい方はもちろん、ダウンタイムもほとんどないことから、仲の良いゲーム友達同士でガッツリとプレイするにもピッタリのゲームです。
もともとはテレビゲームであるズータイクーンならではの楽しさをボードゲームにうまく落とし込んだこのシステムは、とても素晴らしい試みだと感じました。特に私は昔にXBOX360でプレイしていたため、懐かしさがこみ上げてきました。非常に良く出来ていると思います。
【2024.6追記】
製作者さんから「ズータイクーン拡張(new shores)」の発表がありました。コアラ・カンガルー・ホッキョクグマなどの動物や、マナティー・アシカなどの新たな海洋動物、さらには小型の動物などが大量に追加されるようです。
この詳細を含め、ズータイクーンの収納やルール詳細などを含む、特設の記事を作成しています。購入が気になる方はもちろん、購入したけどなかなかルールが呑み込めない、さらにやりこみたいという方は、こちらも参考にしていただけたら幸いです☆↓
- 60興味あり
- 49経験あり
- 8お気に入り
- 69持ってる
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