- 1人~4人
- 60分~120分
- 14歳~
- 2022年~
スカイリム:アドベンチャーボードゲーム勇者アッキーさんのレビュー
各プレイヤーは能力の異なる6人のキャラから一人を選択し、スカイリムの各地を移動して様々なクエストを受け、物語を進行させていく、協力型(対戦モードもあり)アドベンチャーRPGタイプのボドゲです。要塞(いわゆる城・街)で装備品を購入&売買し、個人クエストの依頼を受けたりしながら、洞窟・鉱山・遺跡などのダンジョンに侵入してモンスターと戦い、報酬を手に入れ、メインクエストを進行させてシナリオをクリアすることが目的です。
デジタルゲームのオープンワールドをボードゲームで再現したものであり、基本は手番に何をするにも自由なのですが、毎ターンに発生するイベントで脅威トークンが同時に発生し、これがクエスト失敗や要塞に様々な悪影響を及ぼすため、それなりの制限時間(ときにはゲームオーバー)や緊張感もあります。
クエストカードは約300枚。カードを引き内容に従い物語が自動的に進行。内容によってはプレイヤーがAかBかを選択肢したり、ダイスを用いて判定したりと、その後の物語の展開が大きく異なるシステムであるため、TRPGやゲームブックのような展開を楽しめます。アイテムカードは196枚、敵のカードも100枚以上。イベントカードは約68枚あり、大量のクエストカードと合わせてゲーム展開がプレイごとに大きく変わるため、リプレイ性は非常に高いです。
ゲームは異なる2つのキャンペーンとそれぞれ3つのチャプターで構成されており、合計で6つのシナリオを楽しむことができます。基本は最初のシナリオからスタートし、シナリオクリアごとに能力を引き継いで連続でプレイするのですが、シナリオのひとつを選択して単発でプレイすることも可能です。内容にもよりますが、一つのシナリオで最低でも2~3時間かかります。このため、途中でセーブするコンポーネントもしっかり同梱されています。
恥ずかしい話ですが、わたしはアドベンチャーゲームが苦手でして、このゲームがスカイリム:アドベンチャーボードゲームであることをよく調べず購入してしまいました。(笑)デジタルゲームは未プレイ、それを踏まえてのレビューとなります。
ソロプレイ評価
まずまず(60点:Cランク)
戦略・判断 ★★★☆☆
攻防・戦闘 ★★★★☆
運要素 ★★★★★★★★
交渉・取引 ★☆☆☆☆
アート・外見 ★★★★☆
斬新さ ★★☆☆☆
緊張感 ★★★☆☆
リプレイ性 ★★★★★★★
ランダム性 ★★★★★★★
パズル要素 ☆☆☆☆☆
プレイスペース ★★★★★★
プレイ時間 ★★★★★★★
準備・撤収時間 ★★★★★
ゲームの複雑さ ★★★☆☆
ゲームの難易度 ★★★★☆
プレイ人数 1~4人
販売価格 26400円
【各カテゴリー要素についてはこちら】
https://braveaki.game.josoakixpooh.com/2024/02/02/
【ソロプレイの詳細】
ソロプレイゲームは基本的に2~4人の多人数プレイと同じですが、イベントは2手番に一回のみ発生します。自分がプレイするキャラを6人から1人決め、シナリオに合わせたクエストカードを引いて、ゲームが自動的にスタート&進行していきます。
ゲームの流れとしては、
①イベントが発生する
②プレイヤーの移動
③移動先でのアクション
これを繰り返していく、とてもシンプルなシステムになっています。
移動先でのアクションは、
・要塞を訪れる
(アイテムの購入・売却・作成・アップグレード・探検してクエストを受ける)
・ダンジョンを探検してモンスターと戦う
・荒野で探検する
・各場所でクエストを達成する
基本的にはこのアクションで手番が終了し、再び次の手番になり、ゲームが進行していきます。
このゲームはオープンワールドで何をするにも自由であるため、最初は何をすればよいのか難しそうなイメージですが、3種類あるクエスト(メインクエスト・個人クエスト・ワールドクエスト)を受け、それぞれ達成していくのが基本スタイルです。クエストにはさらに以下の3種類のタイプがあります。
①遭遇タイプ
特定の敵やグループと戦闘し、倒すことでクエスト成功。
②スキルテストタイプ
ダイスを振り、条件を達成することでクエスト成功。
③カウントダウンタイプ
指示された場所に行くことでクエスト成功。
(毎ターン脅威トークンが発生する)
ゲームを進行させる要になっているのはメインクエストを達成することですが、メインクエストやワールドクエストは一筋縄ではいかない条件や難易度が高いものも非常に多いため、「個人クエストやダンジョンを探検して経験値やお金を増やし、レベルアップ+強い装備アイテムを購入してメインクエストを進行させていく」という流れがこのゲームの基本スタイル&楽しみ方でもあると感じました。
戦闘システムについては、敵の攻撃→プレイヤーの手番で進行し、各行動はダイスで判定。敵の攻撃(専用ダイスで決定)に対しプレイヤーが装備しているアイテムでどのような行動をとるのか(回避・防御・攻撃・特殊行動など)を自由に決めることが可能です。プレイヤーは選択した行動の内容に従いダイスを振り、出目により成功か失敗かが決まるという、非常にシンプルなものになっています。
このゲームには3種類の装甲(重装甲・軽装甲・魔法装甲)と3種類の攻撃(重攻撃・軽攻撃・魔法攻撃)があり、計算方式は「防御力-攻撃力=ダメージ」 となっています。(例:プレイヤー重攻撃3→敵が重防御1=敵に2ダメージ) ただしダメージが完全に防がれた場合でも1ダメージ(プレイヤーの場合スタミナが-1)という設定になっています。 もし相手の攻撃に対応する装甲を保有していなければ、全ダメージを直撃で受けるというシビアな内容になっています。これはプレイヤー側にも敵側にも同じことが言えます。
ちなみに、ダンジョン探検は複数のプレイヤー同士で協力して実行できるため、力を合わせて難しいダンジョンを攻略することも可能です。(ソロで2役協力プレイも可能)
【良かったところ】
① 約300枚近くもある膨大なテキストの量と圧倒的なボリュームで、毎回異なるゲーム展開を楽しむことが可能。様々なクエストを受けることができ、非常に高いリプレイ性やランダム性があります。クエストによっては街の住人や依頼者からスリや盗みを働いたりするものもあり、アドベンチャーゲームや小説が苦手なわたしでも、様々な展開や面白い話を楽しむことができました。
冒険の途中で戦闘中にプレイヤーを援護してくれる「従者」を仲間にすることができるのですが、敵の強力な攻撃が襲いかかるここ一番の場面で「今日は給料日です!」という展開になり、従者にお金を渡して戦闘に敗北したのはめちゃくちゃウケました。(肝心な部分でちゃんと仕事してちょうだい...!)笑
② 豊富にあるアイテムカードを購入したり、冒険の途中でアイテムを手に入れ、それを頭・身体・右手・左手・脚に装備することが可能。(バックパックに収納することも可能)さらには要塞で特定の資源を支払いアイテムをアップグレードしたり、付呪(いわゆる付加能力)を追加することができるため、デジタルRPGにある装備&強化システムをリアルに再現しており、よくできていると感じました。ちなみにアイテム購入・アップグレード・付呪は各デッキから一枚引く(追加のコストで追加ドローもあり)ため、どんな装備品や付呪カードが出るかは運任せのルールになっていますが、これはこれで楽しめました。
また、一定の経験値が貯まるとレベルアップすることができ、ステータス上限アップ(体力・スタミナ・魔法力のどれか)、それに加えてスキルを1つ取得できます。スキルは18種類(武勇×6種類・隠術×6種類・魔術×6種類)あり、自分のスタイルに合わせたスキルを取得することでゲームの進行を有利に傾けることができます。(例:片手スキル→片手武器使用時のダイス1つ追加で成功率アップ・話術スキル→アイテム購入時にカードを一枚追加でドローなど)自分のスタイルに合わせた好みのキャラを育てていくことが可能であり、非常に楽しめました。
③ このゲームは敵と遭遇した場合に敵側の攻撃からはじまるのですが、その前に不意打ち(いわゆる先制攻撃)を仕掛けることが可能。これは隠密のスキルが試され、成功したときは装備している好きな武器の好きな戦闘アクションを実行することができ、先制攻撃で大ダメージを与えて敵を倒すことができたときの嬉しさはかなりのものがあります。
また、敵の種類は7種類あり、その中には罠のカードもあり、こちらは最初に解錠スキルが試され、ダイスに失敗すると直撃を受けます。こういった要素もデジタルゲームをリアルに再現しており、非常によくできていると感じました。
④ 手番に発生するイベントやクエストに失敗すると脅威トークンが発生し、それが上限に達するとプレイヤー側にとって不利な状況(クエスト失敗・要塞で買い物ができないなど)になります。これが時間制限ルールにもなっており、自由なオープンワールドにも緊張感を適度に高めてくれます。脅威トークンは各クエストや要塞に振り分けることが可能ですが、クエストを色々と受けていれば脅威トークンを一時的に置ける場所にもなるので、このあたりをあれこれと考えるのも楽しいです。
クエストが失敗したり戦闘に敗れても、ゲーム終了ではなく脅威トークンが増えるだけなのも嬉しい救済ポイントの一つ。(ものによってはゲームオーバーもあり)
プレイヤーがレベルアップすることで、敵の強さもそれに合わせて自動的に変動。一度でも戦って倒した敵は、プレイヤーのレベルアップに合わせダンジョンカードから弱い敵がゲームから除外されるため、「弱い敵を倒して経験値&お金稼ぎ」がだんだん通用しなくなるシステムも、緊張感を高めるための良い要素になっています。
【気になるところ】
① 戦闘システムがシンプルすぎていて、戦闘が非常に単調なゲーム展開になることがあります。プレイヤー側は一つのアクションしか行えず、ダイスの出目で選択した一つの行動の成功/失敗を判定するだけのシステムであるため、各アクションのコンボや連続攻撃などは一切なし。ときには複数の敵との戦闘もあるのですが、複数の敵に同時攻撃できるような武器やスキルもありません。(敵側はあり)
特にプレイヤー側と敵側の攻撃&防御が同じくらいだと、お互いダイスを振り合うだけの膠着状態で、緊張感が薄れ非常にダレがち。ジリ貧の場合は逆転要素もなく、かなりの不快感を感じる部分もありました。これは頻繁に戦闘が発生するこのゲームにおいて、わたしが最も残念に感じた部分でもあります。最近は手札による様々な武器カードや防御カード選択、コンボ可能な戦闘システムを取り入れているボドゲも多く、この戦闘ルールはとても古臭い印象を受けました。
② RPG+アドベンチャータイプのボードゲームとはいえ、とにかく運要素がかなり高めなのが辛く感じました。クエストの成功や戦闘の判定を決めるほとんどはダイスで決まります。もちろんダイスを増やしたり成功確率を上げるための手段はあるのですが、「ここ一番の肝心な部分でダイスを振り運に頼る」という展開は、事前に戦略を練って楽しむ私にとって不快感を感じることもよくありました。
③ 昨今の海外輸送費増加・膨大なテキストの和訳などを差し引いても、26500円という価格はあまりにも高すぎると感じました。この手の高額重量級ボドゲでは大量のフィギュアが同梱されているのがお決まりですが、僅かなフィギュア(プレイヤー6人+赤い兵士コマ)しか同梱されていないところも非常に納得いかない部分があり、疑問に感じます。
幸いにして、私はこのゲームをメルカリで運よく1.7万Pで手に入れることができラッキーでした。偉そうなことは言えませんが、ゲーム内容とコンポーネントの量を考慮しても、せいぜい1.5万程度が妥当な価格ではないかと思いました。
④ ルールブック・チュートリアルがとにかく分かりにくく、ゲームのインストにかなりの時間を要しました。特にチュートリアルはゲームの展開やクエストの種類などの詳細説明が非常に分かりづらく、「このゲームは何が目的で何を楽しむのか...?」 とチュートリアルの途中でやめようかと思ったくらいです。文章を見るに、翻訳がちゃんとできていない部分も多数見受けられ、ゲームに慣れた今でも未だに理解できない部分もあります。
⑤ これは前述したルールブックやチュートリアルの翻訳に関係しているのですが、クエストの内容によっては翻訳がしっかりとできていないものも見受けられたため、「内容がわからないまま話が進んでいく...」という展開になることもよくありました。膨大なクエストを翻訳するのは簡単な作業ではありませんが、このゲームのウリの一つの部分でもあることから、もっとわかりやすい和訳をしてほしかったと感じています。また、各クエストカードにイラストなどは一切なく文章のみのため、イラストで想像するようなこともできなかったのが非常に残念でした。
前述したルールブックやチュートリアルの分かりにくさも含め、特に言語依存タイプのボドゲが苦手な人やボドゲ初心者にとっては、ハードルが高いのではないかと感じました。
【その他気になる点】
・お金や資源のコンポーネントが小さすぎて扱いにくい(おそらくキャラクターボードに合わせるため)。また、お金や資源は裏返すと数値が変わるため、うっかりひっくり返してしまうと分からなくなることも
・メインボードが無駄に大きすぎる。(100×56) かなりのプレイスペースが必要
・イベント等でマップ上に敵が出現することもあるが、基本的には棒立ち状態。もう少し動きをつけても良かったのではないかと
・要塞でアイテムを購入する際、なぜか最初に1金を支払う必要があるのは疑問を感じる
・ダンジョンにもう少し変化をつけてほしかった(チャプターごとに1種類のみ)
【総評】
様々なクエストを受け、戦闘やクエスト達成で自身を強化し物語を楽しんでいく、オープンワールドタイプの協力型アドベンチャーボードゲーム。しかし気になるところも多く、今回は残念な部分も含めた率直な意見で辛口レビューとなりました。ただ、文章理解力に乏しく、ADVが苦手で知らずに購入してしまったわたしでもそれなりに楽しめたのは、逆に新鮮さも感じて非常に良かったと思いました。かなりの重量級ボドゲであるため、単調な戦闘や色々と粗が目立つ部分もありますが、実際のオープンワールドゲームのようになぜかプレイ続けてしまう不思議な魅力があります。
このゲームは前述したように運要素が非常に高く戦闘はシンプルなため、TRPGやファンタジーの物語が大好きな人とワイワイ協力しながら一緒にプレイすると楽しさは倍増するのではないかと思います。(わたしはソロプレイのみなのであくまで推測になりますが)ただダウンタイムは長めなので、2~3人位がちょうどよいプレイ人数になるかと感じました。
ゲームは通常のシナリオモードのほかに、自由放浪モード(いわゆるフリーモード)があります。こちらはメインクエストがないためお話を進める必要も必要なく、いつでもセーブ可能。完全に自由な行動ができる(脅威トークンによるゲームオーバーはある)ため、個人的にはこちらのほうがボドゲっぽく楽しめました。気がつくと2時間以上も経ち、いったんセーブして再開してまた楽しめたので、それだけ没頭できたのだと思います。
そのほか、自由放浪モードで対戦できるモードや、難易度を微調整できるルール(ハードモード・イージーモード)もいくつかあるので、プレイヤーに合わせたゲームスタイルがあるのは嬉しいポイントです。
やはり高額なお値段が引っかかるところではありますが、発売から3ヶ月も経たないうちに大手通販や個人売買(ヤフオク・メルカリ等)でだいぶ値下がりしているので、気になる人はチェックしてみてください。海外版では拡張(追加キャンペーン・追加難易度・追加キャラ&装備アイテムなど)、別売のフィギュアセットなども基本版と同時期に発売されていますが、これらが今後に国内で日本語版が発売されるのかも気になるところです。
余談になりますが、以前に別ゲーム「ルーンバウンド3」をやり込んでいたわたしからすると、スカイリムとよく似ている部分も多く見られました。装備やレベルを上げて誰よりも先にボスを倒す正統派RPGボドゲならルーンバウンド3。冒険の物語や内容をしっかりと楽しみ、本格的な装備アイテム、各選択肢や戦闘をプレイヤーと協力してじっくりと楽しみたいならばスカイリムに軍配が上がると感じました。
【追記】
海外BGGではスカイリムアドベンチャーボードゲームに対する様々な意見や改良ルールの話が上がっていますが、その中でもダンジョンカードを追加するこの記事は、非常に興味深いものがありました。↓
(ダンジョンカードの追加)
https://boardgamegeek.com/thread/3023877/deep-dungeons-an-unofficial-expansion-v11-released
これは異なるダンジョンを探索するたびに対応したダンジョンカードをランダムに引き、最深部にたどり着いた場合の報酬でルートを選択することが可能になるという追加のルールです。基本ルールはチャプターごとに一つでバリエーションに乏しく報酬も決まっていたため、これはかなり面白そうだと感じました。
他にも追加カードなど、PDFデータを無料ダウンロードして印刷し、カードを作成すればゲームが盛り上がりそうな追加の記事がたくさんあったので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。↓
(戦闘時の敵バフによる難易度上昇カード)
https://boardgamegeek.com/thread/3055595/bricks-difficulty-mod
(天候カード)
https://boardgamegeek.com/filepage/252551/weather-cards
(スカイリム:アドベンチャーボードゲームBGG)
https://boardgamegeek.com/boardgame/342372/the-elder-scrolls-v-skyrim-the-adventure-game
- 53興味あり
- 19経験あり
- 6お気に入り
- 58持ってる
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