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  • 1人~5人
  • 40分~70分
  • 10歳~
  • 2019年~

ウイングスパンBluebearさんのレビュー

1434名
14名
0
3年以上前

正直言うと、ソロプレイ感が強いという評価だったので、購入予定はありませんでした。

ところが「鳥が可愛いゲームがある」「やってみたい」というメンバー圧力(主に女性陣)に負け、流通も安定してプレミア価格も落ち着いたのを機に購入に踏み切りました。(ついでに格安だったのでプロモカードセットも一緒に購入)

■コンポーネント

内容物およびルールの確認をしたところ、あまりの豪華さ、細かい手の入り様にまず感心。

フルカラーで、生息域まで盛り込んだ、全て特徴が異なる鳥カードが170枚。

これらカードを収納する専用ケースは、場の3枚を配置するトレイ役も兼ねる構造。

4色に色分けされていながら、実は色自体に意味はないという卵トークン。

組み立てるとリアルな餌箱のデザインになるダイスタワー。

折りたたむと野外手帳風の装丁をリアルに描いてある2つ折り個人ボード。

1人プレイ用のオートマルール完備(残念ながら必要なしですが…)

さすがはStoneMaierGames社だと思いました。(『SCYTHE』もすごかったのは皆さんご存じの通り。ゲーム環境を良くしようとするこのメーカー姿勢は感心します。)

しかもこれらがちゃんと最後に箱の中に収納できる、という設計までなされている。

唯一、メーカーロゴの入ったコマケースが4つなのが…??でした。(5つあるとすごく使いやすいのに、と思いました。なんでだろう。)

■ゲーム内容

たくさんのファンの方々が優秀なレビューを上げて下さっているので、細かいルールは割愛し、あくまで我々の印象を中心に語らせていただきます。

カードの配置やアクションなどは、個人ボードの表記や、自分のアクションキューブの配置などでわかりやすくデザインされており、ビギナー女性を含んだプレイでも特にルール説明に困ったことはありませんでした。(実際にカードを置いてみせて説明しましたが、説明に要した時間は10分くらいでしょうか?)

以下、特に感じたことをまとめてみます。

①ゲーム進行に伴い、できるアクションは減少する。

ゲームの進行は全部で4ラウンドしかありませんが、各ラウンドで実行できるアクション数は、第1ラウンドで8アクション、第2ラウンドで7アクション、第3ラウンドだと6アクション、というようにアクション数は減少していきます。(毎ラウンド1コマを得点ボードに置くため、自然と1個ずつ少なくなるようにできています。)

普通は…逆ですよね(笑)。

ゲームが展開するとともに、それまでできなかったアクションができるようになったり、ワーカーの数が増えたりするために、だんだんとできる事が拡大していくことが爽快感になっていたりするデザインが多い印象ですが、このゲームは完全に逆です。

凄いと思ったのが、これが手詰まり感・閉塞感をもたらしたりせずに、だんだんアクションが少なくなるから早く何とかしなきゃ、という緊迫感につながっている点です。意識したデザインになっていることがやってみると良く分かります。

②意図的に他者への干渉要素はほとんど無し。

私がこのゲームに対する購買意欲が全くなかったのはひとえにこの1点です。(大学では環境生態学が専攻だったにもかかわらず…笑)

また最近のゆるいルールで、直接攻撃要素を廃したゲームが出たんだなぁ~、としか思わなかったです。(私個人は、交渉や直接攻撃を含む相互干渉が好みで、せっかくプログラムではなく血の通った人間相手にゲームをするのだから、相手と何かしら絡みがあってこそ、だと思っています。あくまで個人的な意見です。ごめんなさい。)

このゲームは、他人のカード、他人のボードを全く見ないでもゲームできるようになっています。相手のカードや餌を奪う手段が一切なく、相手のポイントを下げるような行動もありません。

あるとすればラウンドごとにランダムに設定される《中間目標》の達成が早い者勝ちなので、これを先に押さえられると自分の獲得ポイント数が少なくなることぐらいです。

しかし、やってみて見識がちょっと変わりました。

このゲーム、《あえて意図的に相互干渉を排して》います。

使用するカードは170枚すべて効果が異なり、その上に各カードの効果はほぼ毎回発動するので、その組み立て、配置順によって毎ラウンド大きく効果が変わります。

したがって実際にゲームを体験すると、自分のカードの計画を考えるのに精いっぱいで、他人のボードを見比べている余裕はほとんどありませんでした。(ビギナーならなおさらでしょう)

特にカード効果はこのメーカーのポリシーなのかアイコンではなくテキスト表記です。なので余計に細かい効果を分析する余裕がなく、鳥のイラストと名前を見て「ああ、それ取ったんだ、いいね~」というくらいの見比べしかできませんでした。

170枚+10枚ものカード効果を全て暗記するツワモノであれば、効果的な干渉ができるのかもしれませんが、ゲーム歴の長い私でもその必要性を感じませんでした。

ここに、他者との相互干渉のルールを入れると、明らかに選択判断が多すぎて、処理が煩雑になりすぎる事が予想されるのです。

直接干渉をするなら、トップが誰か分かっていて、走り出したトップを叩くのが基本です。(無意味な下位叩き、悪ふざけでの介入、は私たちも嫌うところです。)なので、このゲームはわざと《誰がトップか全くわからない》ようにデザインされているのです。(個人ごとのポイント獲得手段は各自が秘密に持っているのでなおさらわからないようになっている。)

ちゃんと考えて作られているわけですね。

ゲームのルール設計は、すべてを盛り込むことはできないので、《誇張》と《省略》に腕の差が出ます。余分なルールを追加するのは簡単ですが、何かを削ぎ落すのはものすごく難しいのです。
その点このゲームは、それらを理解した上で、あえて相互干渉要素を削ったのだな、とわかる人にはわかります。
ここに感動しました。

ただ、せめてもう少し、ほんの少しだけ、ちょっとだけでも相互干渉が欲しかったかな(笑)

強すぎるという批判が多い「カラス」とかを。いっそのこと「他人から好きな餌を1個奪う」とか「他人のボードの鳥を1枚追い払う」とかにしたらどうでしょうか?(そのぶんポイントはマイナスにするとか。カラスだし)

選択ルールにしておいて、入れたい人だけ入れればいい、とすれば問題ないと思うんですけど…受けなさそうですね。(すみません単なるワガママですね)

■総論

このように、体験してみて初めてびっくりするほど自分でも高い評価となりました。(おかげで再戦のリクエストがたくさん!)

このゲーム、ホントに良くできています。

皆さん中にも、この「ソロプレイ感」を理由に敬遠している人がいるなら、一度体験してみる事をお勧めします。ゲームデザインに関する考え方がちょっと新しくなるかもしれません。

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Hirrosh
みのり
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