ヨーロッパ・ユニバーサリスEuropa Universalis: The Price of Power

大航海時代前後からフランス革命までの数百年に及ぶ欧州史を俯瞰的な視点で扱ったマルチプレイヤーゲームです。マップは欧州全体をカバーしているのですが、シナリオによって使用する範囲や登場する国家が異なります。プレイヤー数はシナリオによって異なり、最大6名までとなっています。
もともとボードゲームとしてリリースされた作品がPCゲーム化され、PC版が好評だったため、ボードゲームとして仕立て直され戻ってきたという珍しい来歴を持つ作品です。再販にあたってはユーロゲーム様式にハードマップ、各種木駒、商人・軍隊・艦隊は３Dユニットといった豪奢なコンポーネントが用意され、PCゲームの要素も多分に盛り込まれた作品になったようです。
プレイヤーは国家君主となります。
勝敗はゲーム終了時の勝利ポイントによります。ポイントの獲得方法として複数の手段が用意されています。いずれもなんらか史実に基づき、各国に与えられたミッションの達成、社会・経済・技術・軍事といった各分野における発明や発展の実現、事件・事象の発生といったことを実施、達成することによります。得点できる目標はひとつではなく、常時複数の目標が同時に提示されていますので、各プレイヤーはこれらの目標を細かく達成していくことでポイントを稼ぐことになります（このあたりPCゲームっぽい仕様に感じられます）。

キャラクタゲームでもあり、君主や君主を補佐する顧問に就任する文人・軍人の人物は史実に基づいたキャラクターが多数登場します。
プレイヤーは各ターンに「統治アクション」「外交アクション」「軍事アクション」の3つに分類されるアクション類を実施していきます。軍事は一要素でしかなく、ゲームとしては史実と同様に内政や外交、貿易といった様々な要素をバランスをとって実施していく必要があります。
欧州の舞台にしているため宗教も重要な要素で、異教徒の扱い（統治がしにくくなる）、十字軍（時代的には範囲外ですが手段としては残されている）、ローマ法王と枢機卿（自国から枢機卿を多く輩出することでローマ法王の意向に自国の意見を多く含ませたり、ローマ法王自体を自国から輩出したり・・）といった考慮点や要素が組み込まれています。また外交のひとつの手段として政略結婚があります。戦争を起こすには「宣戦布告」が必要で、宣戦布告にあたっては、大義名分が必要です。ただ別途大義名分を捏造するというアクションが用意されています。
ゲームとしては、当時の各国がおかれたシチュエーションやジレンマを再現するべく、かなりボリュームがある内容になっています。その分、欧州史の各事件・事象を再現でき、俯瞰的に体感できます。Ifを含む様々な国家戦略を試すことができるだけの骨太のシステムを持っている作品といえます。