- 2人~6人
- 30分~45分
- 8歳~
- 2019年~
トランスアメリカ&ジャパンBluebearさんのレビュー
私が知る限り、最も簡単にプレイできる鉄道ゲームです。
一般的な鉄道ゲームというと『蒸気の時代』に代表されるように、鉄道の敷設ルートをどうするか、だけではなく、鉄道会社の経営をうまく廻す事を考える必要がある、けっこうヘビーなゲームの印象が強いのですが、このゲームの関してはそのような経済概念をすべて取り払っており、純粋にルートの確保に専念できるようにデザインされているところが心地よいです。(もちろん経済概念がガッツリ入っている脳ミソフル回転ゲームもそれはそれで楽しいので、要は好みとメンバーしだいですね。)
初心者を入れても、ルール説明にかかる時間は10分かからない程度。
プレイ時間も、6人でやって1時間程度の軽量級で、何かの時には非常に重宝する存在です。(この人数対応は非常にありがたい)
ガチガチの叩き合いでもなく、適度に周りと絡みがあるので、ウチではけっこう初心者導入用のゲームとして活躍しています。
元の『トランスアメリカ』は、2003年にメンサセレクト賞を受賞している実績持ちですから、その面白さは折り紙付きですね。さすが名作です。
■ゲーム内容
マップは広げてもA2程度。
全面にアメリカの全土と都市、線で仕切られた路線区画が描かれています。
都市は地域ごとに5色に色分けがしてあって、各プレイヤーはそれぞれの色の都市カードをランダムに1枚ずつ与えられ、その5つ全部を路線でつなぐのが目的です。
この色分け指定によって、目標都市がランダムでも、全員が結局アメリカ全土を結ぶ一大路線を完成させる必要ができるようにデザインされています。そのためどんなカードの組み合わせが回って来ても、それほど大きく優劣は付かない印象です。(ちなみに都市カードには重複がないので、全員が必ず異なる都市同士を目標にするようになっています。)
各自がどんどん路線をつないでいって、この5都市を全部結ぶことができたら、手元の都市カードを公開し勝利宣言!
というわけです。
(ついつい「ロン!」って言っちゃうプレイヤーが必ず一人はいるところが笑えます。)
■路線は基本的に共通
一般的な鉄道ゲームであれば、各自が敷設した路線は《専用ルート》として自分の権利になるところですが、このゲーム違います。
同じ黒い棒を全員が使用し、この路線は全員が問題なく共有して使用することができます。(ホントにただの木の棒なので、最初にコンポーネントを見たときは、…なんじゃこりゃ?感がありましたが(笑)、慣れてきたので今ではちゃんと鉄道路線に見えます。)
毎手番ごとに、プレイヤーは路線棒を2本置くことができます。
最初にスタート地点を決めて、そこにつながるようにしか置けないのは基本通り。
基本的にはアメリカ全土をくまなく網羅するように三角型の網目が広がっており、ここに路線棒を置いてゆくことで開通した線路を表します。
これだけだと味気ないので、ちゃんと工夫がしてあります。
ところどころ山脈や河川にかかる橋梁部分では線が2重になっていて、ここだけは2アクション分を費やして1本だけ置くことができます。こよのうにコストのかかる地形では路線敷設が困難になるようになっているのです。
■後半の展開が早くいため盛り上がりやすい
前述のように路線が共通なので、だんだんと全土にわたって路線が整備されてくるため、思わぬところで大事なルートが出来上がり、労せずして都市をつなぐこともできるようになってきます。
一度置いた路線を除去するルールは存在しないので、必然的にルートはどんどん広がってゆく一方なのです。
なので、盤面をよーく見ると、ぐるっと遠回りすると「なんだ、実はつながっているじゃないか」なんて事になる場合もしばしば。
このゲームは最大6人でプレイすることもできるのですが、実は私たちが最も評価している点は、この後半の加速感なのです。
人数が多いと、ダウンタイムが長かったり、全体のプレイ時間が伸びたりしがちですが、このゲームは共通路線がどんどん増えてゆくので、実は大人数でやるほうが路線の完成が早く、ぼやぼやしているとあっという間に誰かが上がりそうになったりしますので、緊張感のあるスリリングな展開になります。
この最大の6人ゲーム、おススメです!
■重要なオプションルール
基本ゲームでは、特に相手への妨害手段がなく、単に都市を早くつないだもの勝ち、という展開なのですが、内容物にはちょっとだけ嫌がらせルールが入っており、これがかなり優秀なスパイスとなっています。
個人的には、絶対導入すべきルールです(断言)
すでにウチでは、このルール無しでプレイすることはあり得ません。
各プレイヤーは、黒ではなく自分の色の路線棒を3本だけ持っており、任意の時点で黒の代わりに色付き路線を配置することができます。
すると、その路線は自分だけが使用できる専用となるのです。
このため、入り乱れて発達した路線の要所要所に、特定のプレイヤーだけが通れるルートが出来上がってくるので、この使い方次第ではちょっとした嫌がらせができるのです。
「じゃあ、私はこことここに線路を置きます。西海岸を目指すのよ~♪」
「おおだいぶ線路が伸びたね」
「じゃあワタシはここに線路を置きましょう。橋だから1本ね。」
「おー、もう少しで一気にここまで路線がつながるんじゃないか?!」
「そうそう、なので私はここに赤路線を置いちゃいます!」
「うわー、やられた!そこ〇〇ちゃん以外通れないじゃん!ひでー」
「わはは、やると思った(笑)」
といった展開でした。
本来は、様々な制限を加えるイベントカードのようなものと一緒に使用するようにルールブックには記載がありますが、この色付き線路だけを使用しても充分面白く、初心者ばかりのときはその方が難易度的にちょうどいい印象です。
そのためウチでは、この色付き路線の仕様のみ必須で導入してプレイしています。
白熱して面白さが倍増しますよ!
■盤面は3角網の意味
なんとなく普通の感覚で路線図を考えたら四角形の網目をつくると思います。
しかしこのゲームはなぜか三角形なので、慣れないとぱっと見の印象が独特です。
しかしよく考えれば六角マス目で描いて、辺ではなくマス目からマス目をつなぐと考えると、実はやってることは同じなんですね。
また、三角網だと、ひとつの路線を潰されても最悪2路線で迂回すれば同じルートに戻ることができます。
これを四角形にしてしまうと、迂回するのに3路線かかることになるので、塞がれたときの損害が大きくなってしまうわけです。
このことからも、オプションの色付き専用路線のルールが後付けではなく、ちゃんと最初から想定されていたであろうことが読み取れます。
■裏面は日本マップ
この日本語版は、豪華なことにボードの裏面が「日本地図」仕様になっています。
これはありがたい!
地図の構造が全然違うので、新鮮な気持ちでプレイできます。
また、アメリカMAPと違い、都市の名前が分かるので、とっさに判断が付きやすいというメリットもあります。(目標都市カードは、ちゃんと日本専用のものが別に用意されているという念の入り様)
ただし、ゲームバランスからなのか、九州から簡単に沖縄まで路線が敷けたり(どんな海底トンネルだ!)、日本海にも縦横に海底トンネル?が開通できたりします。
ただ、一番みんなからツッコミが来たのは
「なんで千葉だけ鉄道がないの!?ひどい!」
という点でした(爆笑)。
■補足
ゲームの展開時間が比較的短いので、このゲームは本来ポイント制で勝敗を決めるルールになっており、誰かが路線達成を果たしたら、いくつ分足りないかを数え、それによって得られるポイントをボードわきのマーカーで記録します。
これはこれでいいのですが、少なくとも3~4ゲームやらないと決着がつかないので、さくっと1ゲームシンプルにやっておしまいにするのがいいです。
このへんは好みにお任せしますね。
- 96興味あり
- 473経験あり
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