タイニータウン：富のちからwinterkoninkskeさんのレビュー

二人プレイ時の感想を書きます。

本作は「タイニータウン」の拡張第一弾として発売されたもので、タイニータウン本体がなければ遊べません。

追加されたのは「コイン」という要素です。

タイニータウンでは、自分のボードに決められたキューブを配置することで建物を建設できますが、「富のちから」はこの建設のアクションを二個以上同時に行うことで一枚のコインを得ることが出来ます。

コインは最大で4枚所持でき、1枚を消費することで棟梁が指定した資材を無視して自分の好きな資材を置くことができるアクションが、新たに追加されています。ゲーム終了時に余ったコインは1枚1勝利点。

さて、これだけ聞くとしんどかった棟梁から来るいらねぇ資材の悩みを少し解決してくれる緩めの新要素のように聞こえますが、やってみるとそんなことはありませんでした。

まず二つ同時に建てる難しさ。プレイヤーはゲーム中にどうしてもモニュメントを建てたいので、始まったらまずモニュメントを建てるタイミングを計算すると思います。

このキューブを5個くらい配置するモニュメントの他に、二箇所でキューブを置かなきゃいけない。これ、やってみるともう16マスがほとんど埋まります。なおかつ序盤は工場系や食糧系の大きな建物も狙いたいので、どうしても思った所に建物が建たなかったりします。「こんなとこに建てちゃったけど大丈夫かな…コイン一枚と釣り合うのか？」というジレンマの登場です。

また各種建物カードにはコイン系のテキストを扱う新建物が追加されているので、それも2〜3枚混ぜてプレイしてみます。すると「コインを一枚使って建ててね」とか「右隣のプレイヤーよりコイン多く持ってると得点高いよ」みたいなカードが出現します。コイン1枚を得るだけで大変ですが、リスクを取って挑みたくなる面白い新カードばかりです。

こうしたコイン系のハイリスクハイリターンな建物と、前述したマスの空きがなくなる現象。この新たなジレンマが本当に刺激的で楽しいですが、気づけば失敗して拡張無しの時より得点が落ちていたり…確実に悩ましさと遊びどころをプラスできる、良拡張でした。

タイニータウン本体が好きという人には、必ず遊んで欲しい拡張です。

ただ二人プレイだと、棟梁になれる回数が多いためコイン使用の恩恵は少なくなり、所持していることで高得点となるカードの人気が高まるなど、若干3人以上時とプレイスタイルに差が出てしまうとは思います。

コンポーネントは、コインとコイン用ボードの他にコイン用計算冊子や、新たなカードと資材キューブが少し。

買う前は3500円にしてはちょっとボリューム不足ではなどと思っていた時期もありましたが、木製の両面プリントコインがとにかく可愛いのと、ルール面での贅沢な拡張要素があったためそんな気持ちは吹き飛びました。

今度発売予定の「民のちから拡張」もとても楽しみにしています。