- 2人~12人
- 45分前後
- 8歳~
- 2011年~
お邪魔者2ぼうし@宝石の煌きさんのレビュー
(2017/10/21 調査カードの項目に追加有り)
お邪魔者の拡張バージョンです。
初期バージョンの「お邪魔者」(以降「お邪魔者1」と呼びます)では9名以上の多人数では、各プレーヤーの手札総数が少なく、ゲームプレーヤーとしては物足りなさを感じるところがあったのですが、この拡張版「お邪魔者2」では道カードの種類と総数、アクションカードの種類が増えた事により、多人数でも充分な手札を持つ事が可能となりました。
また、捨て札も同時に3枚まで行える事となり、カードの入れ替えの手番も減り冗長性も改善されました。
さらに特筆すべきは、道具破壊カードの修復には修復カードを使わずとも自分の手札を2枚捨て札にする事により、修復できるようになった事です。
「お邪魔者1」では手札にいい道カードがあるのに道具破壊カードを最後まで修復できずに終わってしまうというストレスがあったのですが、これはほぼなくなりました。
(※ただ、そのストレス感が「お邪魔者1」のよさである事も事実です。)
その代わり、新たなストレスカードが増えました。それは「牢屋」カードです。この「牢屋」カードは道具破壊カードと同じ効力を持つのに加え、ゲームの最後まで持っているとポイントを一切もらう事はできません。もちろん2枚捨て札で解除できるのですが、手札が1枚、あるいは0枚の状態でこのカードを突きつけられると・・・どうなるかはお分かりでしょう。
また、自分で妨害カードを修復して解除できるようになった事から、他プレーヤーから修復カードを出してもらう事はほぼなくなりました。
そもそもな事なのですが、「お邪魔者2」では正体隠匿性が高くなり、誰が味方なのか容易に判断できなくなっているのです。
さて、新たな役職カードとアクションカードについて説明していきましょう。
まず役職カードです。
1.金鉱掘りは全員同じチームではなくなりました。
すなわち「青の金鉱堀りチーム」と「緑の金鉱掘りチーム」にわかれます。この2つのチームはお互い敵同士です。相手のチームのプレーヤーが金塊のゴールを開けた時、自分のチームは全員負けとなります。
とはいえ、味方のプレーヤーも敵のプレーヤーもわかりません。ですので、確実に勝つためには基本的には自分が金塊ゴールを開けるという行動をしていかなくてはなりません。
もう一つ勝ち方があります。それは新たに作られた「青(緑)の扉カード」です。道カードの中に青(緑)のドアが描かれたカードがあります。それをスタートから金塊のゴールまでの間に配置しておくと、金塊のゴールが開いたとしても、その色のチームにしか勝ちがありません。
このカードは青、緑各々4種類4枚づつあります。
「青(緑)の扉カード」を回避するには3パターンあります。
1.新たに迂回路を作るか 2.落石カードでそのドアを破壊するか 3.はしごカードで新たなスタート地点を作るか です。
1と2はお分かりでしょう。3の「はしごカード」というのは今回新しくできたカードです。
この「はしごカード」は盤面上にあるすべてのカードに対してつなげる事ができます。スタートカードからつながっている必要はありません。
(すなわち落石カードで分断された道でもOKですし、行き止まりカードでもOKです。ただし、ゴールカードに直接つなげる事はできません)
このはしごカードが置かれると、そこはスタートカードとバイパスで繋がっているとみなされます。すなわち第2のスタートカードと考えて良いのです。
このはしごカードを「青(緑)の扉カード」よりゴール寄りに置けば迂回(というより無視)できる事になります。
このはしこカードは落石で破壊された場合の復旧策としてももちろん使えます。
2.「青の金鉱堀りチーム」と「緑の金鉱掘りチーム」の両方に属している役職カードがあります。
「ボス」カードです。ボスは青と緑どちらが勝利しても自分の勝利です。また、自分が金塊ゴールを開けた時は青と緑両方のチームも勝利です。基本的にはどちらのチームにも味方し、補助をしてあげる役職です。一見すると楽で勝ちやすい役職ですが、注意が必要です。
というのは勝利ポイントが他の勝利プレーヤーより常に1ポイント少なくなるのです。
「お邪魔者2」では勝利人数により得られるポイント数が変わってきます。(勝利者数が少ないほどポイントが多い、多いほどポイントが少ない)
たとえば、勝利者数が5人以上の場合は他プレーヤーは1ポイントづつですから、自分は0ポイントとなってしまいます。もし自分が金塊のゴールを開けて青と緑が両方勝ち、自分も含めて勝利者数が5人以上になれば(ほぼほぼ5人以上になると思います)0ポイントです。
ですので、ボスは自分で金塊のゴールを開ける事は止めた方が良いのです。ただ、ボスが一人勝ちできる状況があります。
それは前述した「青の扉カード」と「緑の扉カード」が両方置かれていた(もちろん迂回路もはしごもない)状況で自分が金塊のゴールを開けた時です。
この場合は青の金鉱堀りチーム、緑の金鉱堀りチームは両方負けですので、自分の一人勝ちとなるのです。(注:横着者がいた時は横着者も勝ち)
この考えからすると青の扉、緑の扉どちらか一方でも良いのかもしれません。要はできるだけ勝利者数が少なくなるように調整する事が必要です。
3.「地質学者」という役職ができました。
この「地質学者」はゴールが開いたかどうかという従来の勝利条件は何も関係ありません。今回新たに増えた道カードの中にクリスタルが描かれているカードが10数枚あります。(T字カードやVert-Tカード、行き止まりカードもあります)ゲーム終了後に盤面上に置かれていたこの「クリスタルの道カード」の数だけのポイントが得られるのです。ちなみにこのクリスタルの道カードはスタートからゴールまでつながっている必要は全くありません。とにかくどこでもいいから置かれていればポイントになるのです。2人いた場合は2で割ります。割り切れない数は獲得できません。(たとえば5個の場合は各2ポイントづつです)
4.「横着者」という役職ができました。
この「横着者」も「地質学者」同様、ゴールが開いたかどうかという従来の勝利条件は何も関係ありません。それどころか勝っても負けても他の勝利プレーヤーの獲得ポイントより2ポイント少ない数のポイントを得られます。何もしなくてもポイントが勝手に転がり込んでくるのです。また逆に頑張ってもたくさんポイントがもらえるというわけではありません。基本的には勝利者数が少ない状況を狙っていく役職です。ですので普通はお邪魔者の味方をしていくのがベターなのかもしれません。この「横着者」も「ボス」同様同じ条件で一人勝ちする事ができます。「青の扉カード」と「緑の扉カード」があれば積極的に置いていくべきでしょう。
次にアクションカードです。
1.「調査カード」・・・誰か一人の任意のプレーヤーの役職を自分だけが確認できるカードです。お邪魔者や地質学者を探すのもいいですし、自分と同じ陣営のプレーヤーを探す為に使っても良いと思います。
※この調査カードは自分だけがその情報を知っているという事にしてください。ありのままをその場のプレーヤーに言ってはいけません。
(BoardGameGeekにて作者のフレデリックモヤーセン氏より質問に回答いただきました。2017/10/21追加)
2.「役職変更カード」・・・誰か一人の任意のプレーヤー(自分も含む)の役職を変更できるカードです。終盤自分の勝ち目が薄くなった時に使ってもいいですし、盤面を荒らしまくっているお邪魔者プレーヤーに使う事もできます。役職そのものを変更しておとなしくさせるという手法です。
3.「手札交換カード」・・・誰か一人の任意のプレーヤーと自分の手札を全て交換できるカードです。手札を2枚捨てて道具破壊カードを修復したときなど、自分の手札が1枚少なくなっています。そういう時などに有効ですし、暴れまくっているお邪魔者と手札を交換してしまうのも手です。
4.「泥棒カード」・・・ゲーム終了後に誰か一人の任意のプレーヤーから1ポイントを奪えます。もちろん「泥棒解除カード」もあります。
5.「牢屋カード」・・・「道具破壊カード」の効力に加え、ゲーム終了後までこれを持っているとポイントが一切もらえなくなるという最悪の妨害カードです。
もちろん「牢屋から開放カード」もあります。
以上が新たにできたカード類です。
●道カードが大量に増えた事によって、多少の道カードの無駄遣いが可能になり、「お邪魔者1」のその部分のストレスが軽減されました。
また、はしごカードという新カードの登場により、落石カードの重要性が薄まりました。「お邪魔者1」ではこの落石カードの有無がゲームの勝敗をわけるカギとなっていましたが、「お邪魔者2」ではむしろ大量に出たクリスタルカードを破壊したり、青(緑)の扉カードを破壊したりという事に用いられる事が多くなりました。
全体的な印象として、「お邪魔者1」に比べてがっつり正体隠匿要素が増え、正体隠匿系ゲームとして考えても完成度の高い優れたゲームとなっています。
また、「お邪魔者1」がチーム戦であったのと比較して、「お邪魔者2」はほとんど個人戦となり、味方は確実に存在している事はわかっていても協力できない・協力してもらえない、という新たなジレンマが生じてくるようになりました。(協力できないのは自分の陣営が皆にバレてしまうから。協力してもらえないのは相手が疑心暗鬼の状態だから、です。)
とはいえ、カードが少ない窮屈な状態でストレスを感じながらプレーする「お邪魔者1」に対してよりのびのびとプレーできるようになり、ゲーム性としてはこちらの方が高くなっていると思います。もちろん「お邪魔者1」のヒリヒリした雰囲気・ゲーム感も優れたものであり、5人以下や9名以上の時はこの「お邪魔者2」、6,7,8人の時は「お邪魔者1」という風に両方を切り替えながら遊ぶのが面白いかと思います。どちらも優れたゲームです。
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