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  • 2人~5人
  • 30分~45分
  • 12歳~
  • 2020年~
24名
1名
0
約2時間前

脳が気持ち良くなるコンボ!インタラクション有り有りの良作紙ペン!

【評価8/10】

ロール&ライト✖️オープンドラフト

本作は「ガンジスの藩王」「村の人生」「脱出:ザ・ゲーム」等で知られるブランド夫妻の作品。舞台はインド、各プレイヤーはムガル帝国時代の地方領主となり、自分の領地を発展させ富と名声を高めることが目的のゲームです。

紙ペンといえば割とソロ感が強いゲームが多い中、公式ルールでは2〜5人用と、本作は珍しくソロルールが存在せず対人戦が基本となっています。そのプレイ人数設定に相応しく、対人戦が楽しいのに自分の盤面のコンボも楽しくてついついもう一戦!と言いたくなってしまう中毒性のあるゲームとなっていますので紹介させてもらいます^^


◇基本の流れ

各個人の盤面としてサンorムーンのシートと鉛筆(ペン)を配ります。

8個のダイスと象をスタートプレイヤーに渡します。

スタートプレイヤーは8個(4色のダイスが各2個ずつ)のダイスを振り、そのうちの一つを取ってダイスに対応したアクションを行い、取ったダイスと同じ色のダイスを象に載せます。この象に乗ったダイスは基本、他のプレイヤーには使用できません。

残った6個のダイスの中から、スタートプレイヤーの左隣の人が使用するダイスを1個取りアクション。さらに隣の人はダイス5個の中から1個を取り…と時計回りに繰り返します。

スタートプレイヤーの右隣までダイスを全員取ったら、ラウンド終了。象と8個のダイスを左隣のプレイヤーに渡し、次のラウンドが始まります。新たなスタートプレイヤーは8個のダイスを振り、1個ダイスを選んで取ってアクションを行い、同じ色のダイスを象に乗せます。左隣の人は6個のダイスから1個を選び…と、こうした流れをラウンド中に誰かがゲーム終了のフラグを立てるまで続けます。


ダイスアクションではお金や名声点を得ることができます。名声点はシートの左上部から、お金は右上部から塗り始めるので最初は非常に遠く離れていますが、それぞれを徐々に得ていくとお互いがどんどん近付いていきます。やがてお金と名声点が同じ場所の上下ですれ違う時が来るでしょう。そうしたら終了の合図。


全員が同じ手番数になるよう、ダイスを取ってアクションを行い、お金と名声が何個重なってるかを数えます。一番長く重なってるプレイヤーがゲームの勝者です。


◇本作の醍醐味・ダイスのオープンドラフト

本作の醍醐味はズバリ

・ダイスのオープンドラフト

・コンボがコンボを生む展開

です。

まずダイスのオープンドラフトですが、ドラフトでのピックは「自分の利益を最大化する」ことと「他プレイヤーの利益を遮る」間で揺れ動きます。

両方を兼ねる動きがあるのであれば迷いはないでしょう。しかし自分の利益を最大化するならピックするダイスはこれだけど、他プレイヤーの利益を邪魔するならこのダイスだ、さぁどちらを取る?という選択を迫られる場合はより悩ましくなります。

ダイスによる選択は

  • 道の敷設
  • 商品
  • 宮殿
  • ガンジス川

の4種です。道は盤面を広げながら基本的には名声点を稼ぐアクション、商品はお金を稼ぐために必要なアクションです。これらはいわば基本アクションと言えるでしょう。

道は自分の邸宅から始めて他の州に道を敷いて名声点を得ていくアクションです。

道はまっすぐの道・曲がり道・短い道2本の3種類がありますが、正直「短い道2本」は最上位です。なぜならまっすぐの道も曲がり道も「短い道2本」で作れるから。さらに応用的な使い方として直線や曲がり道をT字路にしたり、T字路を十字路にすることもできるため、非常に用途が広い。こうしたダイスの明確な強弱はドラフトでとても効きます。

シートの盤面には、領地の外周に様々なボーナスが配置されているので、点数を稼ぎながらボーナスを獲得することでお得感も得られ気持ちいい!^^


商品

商品ダイスは3種の商品(香辛料、お茶、絹)のうち2種の組み合わせが3パターンと、同種2個の商品が3パターンの計6種あります。商品ごとに入手できる上限数は7個となっており、同じ商品ばかり入手してしてしまうとその後のダイスピック時の選択肢を狭めてしまいます。だがしかし、同じ種類の商品を売れば売るほど1個売るごとに稼げるお金が大きくなっていくのがジレンマ。「お金をたくさん稼ぎたいから同じ商品を増やしたい気もするけど、絹7個持っちゃうと絹絡みのダイスは取れなくなるから困るよなぁ…」など「痛し痒しの状況」も生まれます。

また、各テントの商品を全部売るとボーナスを得ることができます。


宮殿

道と商品が基本アクションとなる一方で、宮殿やガンジス川アクションはやや特殊です。

宮殿は6種の人物が描かれており各人物がそれぞれ異なる能力を持っています。道アクションができるもの、川アクションができるもの、商品を売却してお金を稼ぐもののほか、道アクションで稼げる名声点を上昇させるもの、更に他の5人の誰でも自由に使える「ムガル皇帝」があります。

各人物の能力でアクションを実施でき、更に「上の宮殿」「下の宮殿」ごとに3人の使用回数が同じになった時にボーナスがもらえるため、アクションとしてはお得です。ただし各人物は最高3回までしか使えないという回数制限があるので連発には注意が必要です。同じ人物を使い切ってしまうと、それ以降その人物の出目のダイスは使用できず選択肢を減らすことになってしまいますが、リスクを恐れず強いアクションを先打ちして優位に立った方がいい場合もあるので、ここは悩みどころです。


ガンジス川

川ダイスも6種のアイコンが描かれており、左端から始めて右に向かって最初にそのアイコンが描かれた場所にマークを付け、そのマスに描かれたアクションを行います。各マスには道を敷いたり商品を得たり商品を売ったり宮殿アクションを行えるなど、様々な要素が記されています。川は一方通行で常に右に進み、基本的には左には戻れず、かつ一度塗り潰したアクションは今後二度と使用できないため、川のどこに、いつ進むかが大事になります。

あまり右に行きすぎると自由は利きづらくはなるものの、右のアクションほど効果は強力になるため、これも「一気に進んで強いアクションを打つか、右に進みすぎると自由が利かなくなるのでもう少し待つか」と悩みを生みます。


このように、本作は基本アクションである道・商品と、使用制限がある強いアクションの宮殿・川を駆使しながら名声点とお金を稼いでいく流れが基本となります。上記した通り、強いアクションは裏腹に「今後はその選択肢を選べる余裕がなくなる」裏返しでもあるので、序盤はいざ知らず、中盤から終盤にかけては各自の盤面によって「このダイス目をもらっても美味しくない」「あーそれじゃないんだよ」という場面が増えてきます。盤面が進むに従ってオープンドラフトの醍醐味がどんどん膨らむゲーム設計です^^

更にスタートプレイヤーの場合は自分が選んだダイスと、象に載せる同色ダイスの「計2個」を一気に他プレイヤーの選択肢から取り除けるため「自分の展開を加速できて他プレイヤーを出し抜ける選択は…」と悩み甲斐があり、楽しい瞬間です!


強い人はカルマの使い方が上手い

ちなみに、スタートプレイヤーが象に載せたダイスを選択できる方法は1つだけあって、使用回数に限りはありますが「カルマ」を使って象に載せたダイスと場に残っているダイスのうち1つを取り、これらを振り直して2ダイスのうちの1つを選択し、残ったダイスを象に載せる、という方法があります。個人的な感覚で言うと、上手なプレイヤーはカルマの使いどきが上手だと感じました!ここら辺を工夫してみると、一段階違った楽しさが見えてくるかもしれません♪


◇本作の醍醐味・コンボがコンボを生む展開

一方、コンボに次ぐコンボは具体例を見た方が分かりやすいでしょう。

ゲーム終盤に近い盤面でご紹介します。ダイスピック前はこの状態。ここから


ムガル皇帝をピックし、皇帝能力で王妃(宮殿の上から二番目、川を1−2進む)能力を使います


川を1つ進んで旗アイコンのT字路使用を選択し


右上の黄色の建物の場所にT字路を書き込みます。名声点を3点もらいつつボーナス獲得。先に右のボーナス「2個の商品ダイスの出目のうち、1個のダイスを選び、そこに書かれている商品を獲得できる」を発動してお茶と絹を手に入れておきます。


次にボーナスのうち、棟梁を使用し


短い道2本で「1−3=」と、外周にある「土地の名声点を上げる巻物」に道を繋げ


香辛料(袋のイラスト)3個を売り


8金を稼ぎながらカルマもゲット。


これによりカルマ3個目に丸を付け1名声点も貰い


土地の名声点を上げる巻物のボーナスで


全ての土地の名声点が3点になったのでボーナス獲得。宮殿の誰でも好きに使えるので


上の宮殿の一番下の女性で


好きな商品を1個または2個売ることができるので、お茶3個目と絹2個目を売り


4金獲得


更に一番左のテントの商品を全て売ることが出来たので、ボーナスで川を一つ進めるようになったので


川を1つ右に進み帆船のマスの効果発動。


4金を獲得。更にこれでボーナスの「短い道1本」を踏んだので


「1−3=」の下に、短い道を1本引きます。


ここでコンボが終わり処理終了。

…と思っていたのですが、上の宮殿で赤い女性を選んだ時にボーナスで「商品を1個売れる」も獲得できていたことに後で気付き、更に香辛料を売って4金を獲得しました。ここで正真正銘、終了。


どうでしょう。なかなかのコンボっぷりじゃないでしょうか?これが楽しい!

序盤はさすがにここまでは繋がりませんが、終盤にはシートの色々なところにコンボの目が生まれているので「フゥゥゥ!繋がる繋がるぜぇ!まだ終わらないぜぇ!」とめっちゃ脳汁が出て気持ちよくなります!

上記の「ダイスのオープンドラフト」の項目で、終盤はダイスで選択したい目が減っていることを書いた通り、有効な目、今出たら強い目がどんどん絞られてくるのですが、一方で「今、このタイミングで欲しいダイス」が得られた時は上記のような、あるいは上記以上に繋がる「コンボに次ぐコンボ」、コンボ連鎖も生まれる。

忍耐するからこその、解放した時の気持ちよさ。その対比が見事!


ゲームの勝者は確かに一人です。ですが「コンボが繋がって気持ち良かった瞬間」は遊んだ誰にでも訪れ得る。これが本作を遊んだ後の「後味の良さ」に結びついているのだと思います。

紙ペンではコンボが用意されているものが結構あります。恐らく、「紙に書くことでコンボの処理忘れが起こりづらい」ことから、紙を使わないものよりも長いコンボに耐えうる、と言う判断が製作者にあるのでしょうが、本作のコンボはいくつか紙ペンを遊んだ中でもかなり上位の気持ち良さでした^^


◇弱点

さて、上記では本作の魅力を熱く語ってきましたが、公平を期すため弱点についても挙げなければならないでしょう。

まず、ダイスドラフトが楽しいゲーム性の裏返しとして「紙ペンだけど公式ソロルールがない」点。昨今ではこういうソロがないタイプは珍しいでしょう。紙ペンという時点でソロ可能なはず!と思い込んで買ってしまう人もいるかもしれないので、ここはマイナス点ですね。

ただし、非公式ではありますがBGGには2種類のソロバリアントが投稿されていますので、持っている方でソロも試してみたい方は挑戦してみると良いかもしれません^^


「コンボが繋がりすぎて処理を忘れる場合がある」これはコンボが繋がって気持ち良いことの延長線上にあるので一方的なマイナスではないのですが、上記でも私が宮殿のボーナスを忘れたように、コンボにコンボが乗っかるので、同時にボーナスを2つ以上得ている時にボーナスのもらい忘れが発生しがちです。ここは「気を付ける」しか対策はなさそうです^^;


最後にもう一点、初プレイの時は「どれくらいのラウンド数辺りで終わるのか」がなかなか見えないため、川もいつどこまで進んで良いのかタイミングが測り難いでしょうし、ちょっと様子見のプレイになってしまうかもしれません。そうなると、経験者は遠慮なくガンガン川を下り宮殿の強アクションを惜しみなく使ってどんどんコンボを起こし、相当な差がついてゲームが終わってしまう可能性もあります。

拡大再生産とはちょっと違うのですが、本作は「コンボが醍醐味」のゲームなので、コンボを連鎖できる人とそうでない人との間に「差がつきやすいシステム」であることを念頭に置き、特に経験者と初心者が遊ぶ時などは一言先に説明しておいた方がいいかもしれません。

対策としては、持ち主がコンボをする時に「盤面を作って準備しておけば、こういう風に連鎖が起こることがある」という一例として処理を見せてあげる、という手はあるかもしれません。厳密にいうと弱点への対策にはなってないのですが、「うわーそんなにコンボ起こるんだ、気持ちよさそう!それ自分も起こしたい、もう一回やろ!」と言ってもらえたとしたら大成功ですね!


◇まとめ

以上です。本作はコンボを最高の「気持ちいいポイント」にしたゲームであり、そのためにダイスをピックして準備を進めていきつつ、オープンドラフトであるが故に、自分だけではなく「他の人の選択肢を減らす」ことも考えて頭を悩ます点が醍醐味の対人戦紙ペンゲームです。

繋がりすぎて処理漏れを心配するほどに連鎖するコンボは爽快そのもの!いい感じのコンボを起こせていればゲーム内で気持ちいい瞬間は誰にでも訪れるはずなので、負けても嫌な気持ちにはならず「もう一回!」とおかわりしたくなる、そんな「脳みそ気持ちいい系」ゲームでした。

未経験の方にはぜひ一度、本作のコンボの爽快感を味わってみてもらいたいです^^


以上です。結構な長文になってしまいましたが、最後までお読みいただいた方に感謝です。皆様の良きボドゲライフに貢献できましたら幸いです!

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びーている / btail
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