- 2人~4人
- 60分~90分
- 14歳~
- 2016年~
イニシュあーるさんのレビュー
各領地をマジョリティで奪い合う、いわゆる陣取りです。
陣取りなんですが、勝利条件が
- 6 つ以上の領地に自分の氏族コマがいる
- 自分の氏族コマがあるタイルに聖域 (という建造物) が合計 6 つ以上ある
- 他の氏族のコマを 6 つ以上支配下においている (つまり、マジョリティをとっている領地に他氏族のコマが合計 6 つ以上)
のいずれかであるのに対して、各自の氏族コマの数はたった 12 コです。
6 つの領地に均等に氏族を配置したとすると、1 つの領地あたりではたったの 2 つ。
これでは、 マジョリティとれるわけがありません。
たくさんの領地に広く薄く氏族を置くのか、それとも狭い範囲でマジョリティを狙うのかはかなり初期の段階で決断しておかなければなりません。
聖地については、勝利条件に絡んでることはみんな承知ですから建てれば当然狙われることになります。
ここで大事になってくるのが、砦です。
砦さえ建てておけば、氏族コマ 1 つはそれに立て籠もって踏ん張れます。重要な橋頭堡です。
そのかわり、砦自体は勝利条件とまったく関係がありません。
なんともキビし楽しい、ナイスなバランスです。
この鋭いバランスをさらに研ぎ澄ましているのが「集会」と呼ばれるフェイズでのドラフトです。
ここで得たカードをその後の「季節」と呼ばれるメインフェイズでプレイすることで、アクションしていくことになります。
アクションカードの枚数は、人数によって少し異なるものの非常に限られています。
2〜3 ラウンドも回せば、覚える気がなくても覚えてしまうくらいです。
自分で取らなかったカードは他プレイヤーが持ってるわけなので、今回どんなことが起こりそうかだいたい予想できます。
ただ、ウィドウがあるのと、アクションをキャンセルするカード (禁忌) がどのタイミングで使われるのか、任意の捨て札を取れるカード (ドルイド) で何が復活してくるのかなど、読めない要素もいくつかあり、なかなかに裏をかかれます。
ドラフトで得るカードの他に、支配している領地から得られる「地勢カード」もあります。
こちらは誰がどれを取ったのかも、その効果も公開情報です。
単体ではそれほど大きな効果のものはありませんが、うまく使えればなかなか侮れません。
さらにもう一つ、聖地を建てた際やアクションカードの吟遊詩人の効果で得られる「叙事詩カード」もあります。
カードの内容は非公開なうえ、かなり強力な効果を持つものもあります。
ただしちょっとクセが強く、いいタイミングで使えるカードが引けるとは限りません。
そのあたりも、ケルトの神や英雄の力を表しているというフレーバーに妙にあってます。
勝利条件を満しても、即勝利でないところもニクい。
満したときに得られるのは、直接の勝利ではなく「簒奪者」トークンです。
これを持った状態で次の「集会」フェイズを迎えることで、勝利チェックの対象になります。
このときあらためて勝利条件を満しているかどうかがチェックされ、満していれば全ての氏族を束ねる上王と認められて勝利になります。
複数のプレイヤーが「簒奪者」トークンを持っていれば、満している条件が多いプレイヤーが勝利です。
同じなら「ブラン」(首都がある領地でマジョリティをとっているプレイヤー) の勝利です。
これは何を意味しているのかというと、誰かが「簒奪者」トークンを得たあと、他プレイヤーにはシーズンが終るまでに
- 自分も同じかそれ以上の勝利条件を満す
- 簒奪者が勝利条件を満さなくなるように、なにかしら削りとる
のどちらか、または両方を行うチャンスがあるということです。
終盤には足の引っぱりあいと出し抜きあいが待ってるぞという、システムからの明確な意思表示ですね。
王座を巡る権力争い感がすごい。
- 「集会」フェイズのリーダーであり「季節」フェイズのスタ P 、そしてサドンデスで有利な「ブラン」
- 手番順を決める神のお告げを運ぶ「カラスの群」
- 神や英雄の力を表す「叙事詩」
- 武勇を吟遊詩人が歌い伝えることで得られる「偉業」
- 権力争い
など、古代ケルトっぽさ (ホントにそれっぽいかはぜんぜん知りませんが) に溢れています。
「限られた氏族を率いてアイルランドの未知の土地を切り拓いていく、神話と事実が混じりあう古代ケルトの人々」というテーマにシステムもコンポーネントも、そして苦しさもぴったりです。
まだ見ぬ叙事詩を見たくなる。繰り返し苦しみを味わいたくなる、楽しいゲームです。
- 82興味あり
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