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  • 2人~5人
  • 45分前後
  • 8歳~
  • 2019年~

ファスト・スロースSato39さんのレビュー

480名
12名
0
3年弱前

《思い通りにいかない動物たちに願いをたくす、ナマケモノのほのぼのレース》

お正月に8歳を含む息子たちとプレイして非常に楽しかったのでレビューします。


【アートワークと専用プリント駒が可愛らしくファミリー向け】

デザイナーはボードゲーム界の鬼才、フリードマン・フリーゼさん。緑のFの人として有名ですね。タイトルのFast Slothsは直訳すると「早い(fast)ナマケモノ(Sloths)」。風変わりなテーマですが、ゲーム性とよく合っていて流石です。

海外での発表は2019年ですが、2021年にサニーバードさんから日本語版が発売されました。その際、パッと目を引いたのは、別府さいさんがデザインされた可愛い動物駒(別売り)です。とても愛らしくて、このゲームの雰囲気にピッタリだと感じました。しかもナマケモノ駒を実際に乗せることができ、ナマケモノを運ぶというゲーム性をよく考慮された素晴らしい仕上がりだと思います。


【ピック&デリバリーのレースゲームでルールは簡単!】

ゲーム概要としては、手番の最初に6種類の動物カードから好きな3枚(ゲーム中徐々に減っていく)を引いた後、1種類の好きな動物カードを任意の枚数プレイします。そして、その動物駒を動かしてナマケモノ(プレイヤー自身)を乗せて移動し、葉っぱ駒8個を早く集めたプレイヤーの勝利です。とても簡単。


【思い通りにいかないピック&デリバリー】

ゲームシステムはオーソドックスなピック&デリバリーでありながら、運びたいものは「自分では全く動けないナマケモノ」というアイデアが面白いです。これが実によく効いていて実際に遊んでみると、想像以上に自分の計画通りにはいかず、とても悩ましいことが分かりました。

というのも、次の手番に自分が動かそうと思っている動物が他プレイヤーにより移動されてしまい、そのたびに計画変更を余儀なくされてしまうのです。でもそれが、とても悩ましく楽しい!


【よく調整された仕掛け】

ゲーム自体はレースゲームなので差がついてしまうと逆転できないのではないか、という危惧もありましたが、葉っぱ駒を獲得するごとに手番初めに獲得できるカード数が減少し、さらに手札のカード総数も減っていく仕掛けにより途端に動きが鈍くなり、序盤に少し失敗しても十分挽回できるように思いました。

また、動物カードも移動ポイントの昇順で山札を作っているため先手番が必ずしも有利ということもなく、このあたりは有名デザイナーさんなので、しっかりと調整されているように感じましたね。見事です。


【妨害要素はなく、ほのぼのとしたインタラクションが楽しい!】

1ゲーム内で使用する動物は6種類。ロバはゆっくりだけど移動できる地形が多くワニは川を移動できるが川沿いしか移動できないユニコーンは移動スピードが速いが1枚しか使用できずアリは10匹いて隊列を作りナマケモノを運ぶことができるなど、それぞれ特徴のある動きをするのが面白く、手番毎にどの動物で移動するのか考えるのが楽しいです。しかも複雑ではないので8歳の息子も自分でしっかりと考えることが出来ました。

また、すべての動物は全員が共通して動かせるため、他プレイヤーが使用したアリの隊列を使用して楽に葉っぱ駒のあるところまで移動したり、他プレイヤーが使用していたユニコーンを乗り逃げしたり、思わず「あー!」と叫びたくなる意外性があるのに、妨害されるわけではないので嫌な感じもなく、むしろ盛り上がり楽しいです。


【個性的な動きをする動物たちの組み合わせでリプレイ性も高い】

両面のゲーム盤を2枚合わせるためマップは4種類。使用する動物は12種類の中から6種類を選ぶため、924通り。つまり盤面は924×4=3,696通りの組み合わせがあり、さらに動物駒を置く場所は各プレイヤーが1つずつ決定するため、同じ条件になることはまずないでしょう。非常にリプレイ性は高いと思います。


<良いところ>

  • アートワーク、専用プリント駒が愛らしく子供や女性にもウケが良い。
  • 調整された仕掛けにより、あまり差がつかず最後まで楽しめる。
  • 妨害要素はなく、ほのぼのとしたインタラクションがパーティやファミリーにぴったり。
  • 使用する動物の組み合わせでゲーム内容がかなり変わるためリプレイ性も高い。


<悪いところ>

  • 動物はそれぞれ特殊な動きをするので、インスト時に正確な説明が必要。
  • 他プレイヤーの動きで計画が崩れてしまうため、計画性をもって勝ち負けにこだわるプレイヤーには合わないかも。


<説明書&対象>

説明書:8ページ、 インスト:15分、 プレイ時間:70分(4人プレイ)
BGG weight: 2.17 (2022/1/5現在)、軽めの中量級

言語依存がないため基本的に誰でも楽しめる受け皿の広い作品だと思いますが、テーマ性やアートワークを考慮すると、色んな動物でワクワクできる小学生ぐらいの子供さんや、可愛い動物駒やアートワークに惹かれた方には特におすすめできます。5人プレイまで対応しているところもポイントが高いですね。


【感想】

今回、8歳の三男を含む息子たちと4人でプレイしましたが、とても和やかに楽しむことが出来ました。可愛い動物たちと言語依存のないコンポーネントにより、三男が夢中になって遊んでいたのは印象的でした。また長男、次男も様々な動物を試してみながら、その意外な移動力などに驚き楽しんでいるようでしたね。

ゲーム進行としては全プレイヤーがほぼ同じタイミングで同数の葉っぱ駒を獲得していく接戦となり、ワニカードを4枚同時プレイして一気に川沿いを攻めた三男ワシを使って山を飛び越えた私が同着1位となり、残り手札の1ポイント差で私が勝利しました。

各動物が見せる意外な移動距離に驚き、狙っている動物を動かされることに一喜一憂しながら、最後の最後まで誰が勝つか分からないレース展開に終始盛り上がり、皆が楽しめたと思います。アートワークの雰囲気も良く、ファミリーゲームとして素晴らしい出来だと感じられました。おすすめです。

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