カスカディアハナさんのレビュー

アメリカ北西部の大自然をテーマにした、中量級のタイル配置ゲーム。2022年ドイツゲーム大賞受賞作品。

詳細なルールは割愛させていただき、感想だけ書かせていただきます。

【良かった点】

このゲームは、とにかく素敵なコンポーネントと分かりやすく手軽なルールが魅力ですね。斬新さやインパクト、盛り上がりといったものは控え目ですが、クセがなく、人を選ばず安定して楽しめる王道ゲームといった印象です。今後の中量級ボードゲームの定番になりえるゲームだと思います。

大自然をイメージした6角形のタイルや木製の動物ディスクを並べた様子はとても綺麗で、このアートワークだけでも満足感があります。美しいパッケージイラストからジャケ買いをする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ルールも非常に分かりやすく、インストやセットアップが簡単、プレイ時間も30分～1時間と程よいです。

ゲームはタイルをドラフトして配置するパズルゲーム。キングドミノにイメージが近いです。下に敷き詰める生息地タイルと、その上に配置する動物ディスク、それぞれ違うルールで別々に得点計算をする二重構造パズルが特徴です。生息地タイル、動物ディスクそれぞれのパズル自体は非常に簡単で弛いものですが、その２つを両立するのがなかなか難しいです。各場面でどちらを優先した方が得点が伸びるのか考えなければならず、今後の自陣の広がり方や相手の動向を見ながら最適解を探していく作業は、シンプルながらも非常に悩ましいです。

【気になった点】

タイルをドラフトしていくゲーム性から、大人数だとコントロール不能なファミリーゲーム要素が強くなり、少人数だと駆け引きと読み合いの要素が強くなります。特に2人プレイはわりとシビアな印象です。得点計算が複雑で中間の形勢判断がしにくい点は今風ですね。周囲を気にするよりも自分のパズルに没頭する場面が多いので、ソロプレイ感が気になるかもです。

また、安定した面白さはありますが飛び抜けた新しさはないので、人によっては「そこそこ面白いけど平凡」という感想になると思われます。

【まとめ】

手軽でクセが少なく、きっちりと悩ましいジレンマも味わえるので、プレイ層や場面を選ばずオススメできる万能選手だと思います。中量級ゲームにチャレンジする入り口や、ボードゲーム初心者に紹介するのにも良さそうですね。世界観とコンポーネントが素敵なので、それだけでも買う価値ありです。

宝石の煌きやカルカソンヌのような、万人に愛される代表的ボドゲになれる良作だと感じました。