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  • 2人~4人
  • 45分~60分
  • 13歳~
  • 2019年~

ビッグシティ:20 周年記念版Sato39さんのレビュー

516名
9名
0
1年以上前

《徐々に発展する街並みが大迫力!シムシティ好きにはたまらない》

今年遊んだ名作の中でも個人的にかなりツボにハマった作品なのでレビューしたい。


【目を奪われるほど豪華なコンポーネント!】

やはり一番に目を引くのは、その大きく精巧な建物のミニチュア。重量感もしっかりとあり、初めて見た者を虜にしてしまう豪華さがある。ちなみに赤は住宅、青はオフィスビル、緑は公園など色でしっかりと識別されるので迷うことはない。ただ白の特殊建物だけは形で判別する必要がある。


【オリジナルは1999年発表】

ゲームデザイナーは、フランツ・ベノ・デロンジェ(Franz-Benno Delonge)。「マニラ」や「トランスアメリカ」などのデザイナーだ。残念ながら2007年に他界したようだが、ミュンヘンの裁判官として働きながらゲーム制作を行い、子供からおばあちゃんでもプレイできるシンプルなゲームを理想としていたようだ。(参考:The Dice Tower Interview with Tom Vasel)

今回レビューする本作は、1999年に発表された初期作品のリメイクで2019年にクラウドファンディング経由で製品化された。私は実物を見たことはないが、オリジナルはプラスチック製の建物で本作と比較するとチープな感は否めないが当時としてはかなり頑張っていたと思われ、このゲームはやはり雰囲気がとても重要なのだと考えていたのだろう。

オリジナルのBig City(1999)、BGGより引用


【ゲーム概要】

プレイヤーたちは不動産売買を行い、街に住宅やオフィスビルを建築していき発展させていく。街の発展に貢献し、もっとも高い名誉点を獲得したプレイヤーの勝利となる。

場には1~8の区画に対応した不動産カードが並べられている。1の不動産カードには1の区画(11~19)の数字、2の不動産カードには2の区画(21~28)の数字 というように各々の区画の数字が書いてあり、初期手札として1~5の不動産カードを1枚ずつ配られる。

初期手札が配られた後、スタートプレイヤーから順番に地域タイルを置いていく。まずは自分の手札に都合の良いように置くことになるだろう。

このとき、私は4の地域タイルを置き、初回手番で12と48の手札を出した。これにより2マスの住宅駒を置くことができ、6点を獲得。さらに郊外になるので+1点の加点が付き、合計7点となる。

以上のことを繰り返すだけなので、基本ルールは非常にシンプルでとても簡単だ。

そして、8までの地域タイルが全て場に置かれて、全ての不動産マス上に建物が建築されたらゲーム終了となり、勝利点の一番多いプレイヤーの勝利となる。


【市役所がターニングポイント!】

では、単純に隣あった地区のカードを揃えるだけのゲームかというとそうではない。ゲーム序盤は住宅オフィスビルしか建築できないため単純なゲームに思えるが、そのうちに1マスや2マスの駒はなくなってしまう。こうなると手札を3枚揃えるしかなくなるが、それもかなり難しいのだ。

そこで誰かが市役所を建てることになる。市役所は0~5点とやや点数が低いこともあり最初は誰も建てたがらないのだが、5点欲しさに誰かが市役所を建てると、皆が特殊建物を建てることができるようになる。

特殊建物には、映画館、郵便局、銀行、協会、ショッピングセンターなどがあり、こうなると街はとても華やかになる。ただ特殊建物は「住宅とオフィスビルに隣接していないといけない」などの条件があり、複雑度が一気に増してぐっと悩ましくなる。


【路面電車の駆け引きが熱い!】

手番で出来るアクションには建物を建てること以外に、地区タイルを置いたり、不動産カードを交換したりすることができるが、とりわけ熱いのは路面電車だ。市役所が建つと路面電車路線を敷設することができるようになり、路面電車に隣接して建物を建築すると得点が2倍になる。

こうなると自分の持っている数字の傍に路面電車を走らせたくなるが、一度誰かが路面電車を置いてしまうとそこから繋がるようにしか電車を置けない。しかも枝分かれや終点になるようには置けないので、なかなか自分の思うようには置かせてもらえない。この路面電車の駆け引きがかなり熱い!


【公園や工場による妨害もある】

不動産カードには数枚の数字の書いていない公園と工場カードがある。これらはお邪魔カードで、好きな場所に公園や3~4マスの大きな工場を建てて、他プレイヤーの建築を邪魔することができる。特にトッププレイヤーの独走を止めるときや、路面電車を敷いて明らかに建築を狙っている時には非常に有効であるが、このあたりはやや古めかしいシステムデザインに感じるところで、好き嫌いが出てしまうかもしれない。

ファミリーゲームとして遊ぶときには適度にしておくのが良いと思うが、気の知れたゲーマー同士なら遠慮なく邪魔しあうと盛り上がって楽しいものだ。


【故デロンジェも望んでいたリメイクと拡張】

今回20年ぶりにリメイクされるにあたって新要素として「再開発フェイズ」というものが追加された。これは全プレイヤーのアクションが全て終了した後に、上位プレイヤーから順に1枚(オプションで2枚)を場に出して強制交換させられることになる。

フレーバー的には、市長は空き地となっている不動産を再開発することに決めたのだとか。ともあれ、これにより手札のカードを温存しておくことは非常に難しくなっており、使わないカードは次々とプレイヤー間を移動することになりゲームが停滞しにくくなっているのだろう。

今回のリメイクにはこれ以外にも様々な変更、追加要素がある。20年ぶりの新拡張「Urban Upgrade Expansion(都市開発拡張)」はその最たるものだろう。

上述のとおり、デザイナーのデロンジェは2007年に他界しているのだが、Mercury Gamesは生前に彼とビッグシティの改良、拡張について検討していたとのことなので、きっとデロンジェの望む形でのリメイク、追加拡張となっていることだろう。(参考:KickStarter, Big City: 20th Anniversary Jumbo Edition


<良いところ>

  • 大迫力の精巧なミニチュアによる美しい街並みを表現。
  • シンプルなルールで始まり、後半は複雑で悩ましくなるシステム。
  • 路面電車や公園、工場などの熱い駆け引き。

<悪いところ>

  • 手札のカード運によるところも大きい。
  • 特殊建物の建設条件、得点計算がややこしい。
  • 妨害要素がある。

<説明書&対象>

説明書:11ページ。インスト:15分、プレイ時間:60~75分(4人プレイ)
BGG Weight: 2.57(2022/12/4現在)。中量級

おすすめの対象は、「シンプルなルール、豪華なコンポーネント、街づくりを楽しむ」ことに魅力を感じた方だろうか。


【感想】

初めて「名作ゲーム会」で本作を見せていただいた時には、その豪華なコンポーネントに目が釘付けになった。主催者さんは「ドンジャラ」みたいなゲームですよ、と教えてくれたのでワクワクしてゲームを始めると確かに簡単なルールで気楽にプレイでき、何となくリアルな「シムシティ」みたいだなぁと感じていた。

ところが市役所が建ったとたんに他プレイヤーの眼光は一気に鋭くなり、特殊建物がバンバン建ち始め、工場による妨害、路面電車の取り合いなど、阿鼻叫喚のゲーム展開だった。

「これは面白い!」

そう思った私は、セールになっていた本作をすぐさま購入し自宅で子供たちと遊んでみた。はたしてこんなインタラクションの強いゲームを子供たちは楽しめるだろうか、と一抹の不安を抱きながらもゲームを進めてみたところ、意外にも展開は穏やかで、みんな出来上がっていく街並みを楽しむように建物を建てていくことができた。

ゲーム勝敗は、当時8歳の三男がマイペースに1マスの住宅を楽しそうに並べていたところ、次男が30点のショッピングセンターを建設して買ったかと思われたが、偶然にも3枚目の不動産カードを手にした私もショッピングセンターを建設して逆転勝ちとなった。

おそらく10歳程度なら特殊建物の条件は理解可能なため、かなり幅広い層で楽しめるゲームだと思われる。ファミリーでほのぼのと街建設ゲームとして遊んでもよし、ゲーマー同士で熱い駆け引きを楽しむこともできるゲームと考えられ、豪華なコンポーネントも相まってシムシティのような街づくりゲームが好きな人には、かなり刺さるのではないかと思う。

デザイナーのデロンジェは既に他界しており、この気持ちを伝えることができないのは残念だが、この豪華な20周年記念版を開発してくれたMercury Gamesと、国内に和訳付きで販売してくれたホビージャパンに心から感謝したい。 おすすめです。

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