- 2人~6人
- 10分前後
- 8歳~
- 2020年~
アニミックスBluebearさんのレビュー
「キングドミノ」「ブルーラグーン」をリリースしたBlue Orange Games社が2020年に発表したばかりの、野生動物をテーマにした作品。
プレイ時間は公称10~15分程度で、6人まで対応できるという小箱のカードゲームです。
■予想よりかなり思考性が高い
アフリカのサバンナっぽい代表的な動物たちの生息域を広げることで各自のポイントを伸ばしてゆくコンパクトなカードゲームということで、早速入手して試してみました。
(6人まで参加できて15分程度っていうのはとても貴重なんです!)
イラストタッチも美しく、さくっとできそうな軽い雰囲気で、女子チームにもウケが良さそう。
じゃあ最後にこんなの買ったけどやってみる?…という感じで取り出したところ上々な印象でプレイ。
…ところがどっこい、ひたすらひたすら脳みそを振り絞るゲームでした(笑)
盛り上がって大爆笑…という展開は全くなく、ひたすら無言で考えて手札と場のカードを見比べ、悩んで悩んで手番を実行します。
公称10分とありますが、どうしても考え込んでしまうので20分は見た方がいいでしょう。
ルール自体は決して複雑ではなく、一度説明されればすぐにプレイできるレベルなのですが、激しいジレンマにさらされるので、どうしても長考になりがちです。
(極端な長考でない限り、それほど苦にならない印象だったのは、その間に自分も考えているからです。また相手の動きも貴重な情報なので、ぼんやりしている余裕はありません。)
プレイ人数に応じた場を作り(5人なら6×5、6人なら6×6)、ランダムにカードを並べ、手札には6枚(6人プレイ時のみ5枚)を持ちます。余ったカードは使いません。
山札というものはありません。
ちなみに下の写真のように、割と広い面積を使うのでご承知下さい。
手番には次のどちらかをおこなうだけです。
①自分の手札から1枚を選んで前に伏せて置く。
②手札1枚を、場の任意のカードと交換し、手に入れたカードを自分の前に伏せて置く。(このとき「山」トークンを置き、それ以降はもう交換できないルール。このため延々と同じ場所のカードが交換されることはない。)
これだけです。
ちなみに、この『山トークン』。カードの背のデザイン、色調とほとんど同じでかつ小さく、置いてもちょっと識別しにくい。これだけちょっと何とかならんかったかなあ…って思います。何か他にうまく代用できるものがないか、ちょっと思案中。
ゲーム進行は最初に配られた手札を全て使い切ったら終わりなので、5人以下なら6ラウンド。6人なら5ラウンドで終わります。
やる事だけならけっこう早い。
問題はポイントの取り方。
動物の種類によって違いますが、その動物カードが場にたくさん並んでいるほうがポイントが高くなるようになっています。
なので、自分が狙っている動物はできるだけたくさん場に出ている方がいい。
しかしここからが問題。
その点数は、手番の結果で自分が獲得して前に伏せて置いたカードの枚数が、各動物ごとに数えて《最大多数》でないともらえないのです!(同数なら均等に折半します)
そうです、もうおわかりですね!
共通の場にたくさん出ているほうがいいのに、自分の前にもたくさんないと勝てない!(その動物カードが特定の配列で全体の場にたくさん出ているほど基本得点がどんどん高くなるのに、その動物カードを自分の獲得の場に他の誰よりも多く確保していないとポイントにならないという、どうやっても両立しないジレンマ!)
うかつに場にたくさん出して、他のプレイヤーに《最大多数》を持っていかれると、自分の点数にならないどころか、相手によりたくさんのポイントを与えてしまうのです。
これは悩む!
各動物カードはそれぞれ10枚しかありません。(それは分かっている)
場に出ている枚数も見ればわかる。
自分の手札はもちろんわかるし、伏せて出したカードの中身も分かっている。
相手が場と交換して置いた動物も何だったかは見ていれば分かる。(頑張れば少しくらいは覚えておけるレベルなのがくやしい)
何を取って、何を置いたかで、ある程度相手の狙いも予想できる…(かもしれない、笑)
ただ、相手が手札から置いたカードだけが分からない。(伏せて出すから)
だから、どうすれば自分がポイントを取れるのかマジで考えるのです。
この思考感が久しぶりに心地いいですね。
■多彩な動物たち
全部で8種類の動物たちの中から、プレイ人数に応じた動物を選び出してセットを作るので、その組み合わせによってプレイ状況や戦略が大きく変わります。
(4人なら5種類、5人なら6種類、6人なら7種類となっていて、使わない動物は箱にしまいます。)
このため、展開のバリエーションが豊富なので、こういう工夫は大歓迎です。
(リプレイ性が高い…と言いたいところですが、1回やるとけっこう頭が疲れるので、せいぜい2回戦がいいところですね。)
うちのメンバーにはなぜかペンギンが人気。(サバンナっぽいのに、なぜペンギンなのかは謎です。笑)
この動物カードが、共通の場にどのように配置されているかによって点数が決まります。
例えば
《ゾウ》だったら、横の行で見て最も多い枚数×2点
《ペンギン》だったら縦横に連続して並んでいる最大のグループを見て、その枚数×2点
《インコ》だったら上下、左右のペアが何組あるか見て、そのペア×4点
という感じです。
単に共通の場に多ければいいというものではなく、特定の並び方に気をつけなければならないわけです。
このように、その動物が場にうまく並んで、なおその枚数が多いほど点数が高くなる仕掛けです。
これを自分が獲得するためには、手元によりたくさんの枚数を確保しなければならないという、絶対両立できない条件を課せられる苦しさを思いきり味わえます。
運の要素はほとんどありませんが、全部を読み切れるほど情報公開されているわけでもない、という絶妙なバランスです。
良くできています。
メンバーにもなかなか好評でした♪
■高級なパッケージ
このゲームの箱は、最近のゲームの中では圧倒的に厚くしっかり作られています。
最初に買ったときには、実は開け方がわからず、危うく破損するところでした(笑)
普通のゲームのようにパカっと上箱が取れる感じには見えず…
構造を見て、てっきり中箱を上下にスライドすると思い、指で力を入れて押してみたものの動かず、何度もあちこちをグイグイ押してしまいました。
ところが実は横から開くようになっていて、しかもそこにはマグネットが内蔵してあり、ピッタリきれいに閉じることができるようになっているのです。
これ豪華です♪
(実は同じアークライト社の《ミステリーポータブルシリーズ》でも似たような豪華な仕掛けがあります。)
…ただ、コスト的にかかっていそうなので、もっと安い箱で価格を下げてくれてもいいのになあ…なんて思ってしまいました。
■余談
ゲーム終了時には、各動物ごとの点数をそれぞれ計算し合計点を出す必要があります。
もちろんメモ用紙の端っこでも問題ないのですが、やっぱり専用のスコアシートみたいなのが欲しいじゃないですか。
何とか自分で作ろうかと思っていたら、やっぱり同じことを考える人がいるようで、BGGにありました。(写真のようにデザイン的にも専用の付属として使えるレベルです)
これ使いやすいのでおススメです!
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