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  • 2人~6人
  • 60分~240分
  • 12歳~
  • 2020年~

西フランク王国:年代記ハルシカさんのレビュー

253名
3名
0
約3年前

▽西フランク王国シリーズを遊びつくす拡張
【こんな人にオススメ】
・西フランク王国シリーズを3作とも持っていて、どれも好き!
・3作持っているわけではないけれど、協力型ゲームが遊びたい!

私は3作とも所有しており、どれも好んでプレイしています。そして「年代記」は買って良かったと満足しています。以下、ざっくりと内容を紹介しながらどこに魅力があるのかを語りたいと思います。

【概要】
西フランク王国シリーズである「建築家」「聖騎士」「子爵」は、名前こそ「西フランク王国」とついてはいますがどれも別々のシステムを採用したゲームです。この「年代記」では、そんな3作を通して遊べる「キャンペーンモード」と、3作それぞれの「協力型シナリオ」が収録されています。また特典として、「建築家」のプレイヤーボード、「聖騎士」の町民カード、および「子爵」の町民カードが収録されています。

【キャンペーンモードについて】
キャンペーンモードは、前述の通り3作を続けて遊んで勝者を決めるモードです。
「3作続けて」というと難しそうに聞こえるかもしれませんが、別に1日でやりきる必要はありませんし、やることも非常にシンプルです。

キャンペーンモードの勝利条件は「最も多くの書物を集めた人」になります。「3作の合計点が最も高い人」ではないのがポイントです。どれか1作で大敗したとしても、最後まで勝敗は分かりませんからね。

では、どうすれば「書物」を集めることができるのか。「書物」を集める方法は3つあります。
1つ目は、「書物」に書かれた条件を満たすこと。たとえば「建築家」の「書物」では、「大理石を8つ集める」「美徳14を持っている」といった条件が書かれており、これを最も早く達成したプレイヤーがその「書物」を手に入れることができます。早取り要素が生まれ、いつもとは違うプレイ感が楽しめます。

2つ目は、3作それぞれのゲームに勝利すること。ゲームの勝者は特定の枚数「書物」を手に入れることができます。この時、「大勝利」か「僅差の勝利」かで得られる「書物」の枚数が異なります。また、2位以下のプレイヤーも「書物」が得られることがあります。

3つ目は、「紋章」を集めることです。「書物」の下部には「紋章」が描かれており、これを指定数集めることで「書物」を手に入れることができます。

以上のルールにのっとり、「最も多くの書物を集めた人」が勝利します。やってみるとわかりますが、非常に単純ながらも、「今回書物の条件を無視して大勝利を狙おう」とか「勝てそうにないから書物の条件をとにかく達成していこう」といった戦略性が生まれ、少し違うプレイ感が楽しめます。

また、ゲームに負けたプレイヤーは次のゲームでは少し有利に始められるような救済措置もあるため、割と接戦になるようにデザインされています。

【「建築家」の協力型シナリオについて】
「建築家」の協力型シナリオでは、オートマである「大君主」の妨害を受けながらも指定の勝利点を超えることを目指します。この「大君主」の妨害は、「建築家」のオートマとは比にならないくらい苛烈です。労働者をゲーム自体から除外したり、建物カードを捨てさせたり、借金を背負わせたり……。また、「大君主」に対して指定された素材を「寄付」しなければ最後に勝利点が減らされるという要素もあり、勝利点を稼ぐための建築もままなりません。

「大君主」の圧政に立ち向かうべく、プレイヤー同士は、銀貨や素材、建物カードや借金カードを他のプレイヤーに「寄付」することで協力ができます。

「建築家」の基本的なプレイ感はそのままに、「大君主」という強力なオートマを用意することでうまく協力型ゲームになっています。「大君主」には標準モードと上級モードの2つの難易度があるので、自分のレベルに合わせて遊ぶことができます。
なお、公式では「2人~5人(拡張入りなら6人)」となっていますが、1人で2人以上のキャラを扱えばソロプレイも可能です。ソロプレイも十分に楽しめました。

【「聖騎士」の協力型シナリオについて】
「聖騎士」の協力型シナリオでは、「大君主」と外敵の2つの脅威を退けながら、指定の勝利点を超えることを目指します。
「大君主」の脅威は、たとえば「要塞化アクションを指定の回数実行しなければラウンド終了時に名誉力または軍事力マーカーを1下げる」といったもので、みるみるうちにマーカーが下がっていきます。「聖騎士」をプレイ済みの方はご存じの通り、軍事力などの能力値から得られる勝利点は非常に重要で、それがどんどん下げられるのですからいかにこのシナリオが難しいかが想像してもらえると思います。

さて、今「名誉力」といった新しい単語が出てきましたが、これはこの協力型シナリオで新しく導入される能力値です。これは最終得点計算時にのみ効果を発揮する値なのですが、なんと、軍事力などの能力値から得られる勝利点を計算する際に「名誉力マーカー」より上にあるマーカは全て「名誉力マーカー」と同じマスまで下げなければならないのです!
ですから、先ほどの「大君主」の脅威が達成できなかった場合、「軍事力を下げられるのは痛いから名誉力を下げよう」といったことを続けて名誉力が低くなると、どれだけ他の能力値が高くても意味がなくなるのです!
いかにして能力値を上げつつ、「名誉力」も維持するか……。悩ましいパズルが与えられるわけです。

また、「大君主」だけではなく、外敵の脅威も退けなければなりません。これは「毎ラウンド指定の枚数以上外敵を攻撃するか改宗できなければ、名誉力を下げる」というものです。たとえば2人プレイの場合、1ラウンド目は「3枚」攻撃や改宗を行わなければ名誉力が下げられてしまうのです! 名誉力の重要さは前述したとおりですから、これまた何を達成し、何をあきらめるのかを判断する必要にせまられます。

これらの脅威に対抗するため、プレイヤーは協力することが可能です。具体的には、プレイヤーボードの左側のアクションを実行する際、そのアクションの報酬や効果を他のプレイヤーに獲得させることが可能なのです。

以上のように、「聖騎士」の協力型モードは毎ターンやらなければならないことに追われつつ、得点をいかに稼ぐかを考える、非常に悩ましいパズルになっています。協力型シナリオの中で一番難しいので、熟練ゲーマーの方にぜひ挑戦していただきたいです。

【「子爵」の協力型シナリオについて】
「子爵」の協力型シナリオでは、おなじみ「大君主」に王国の統治権を奪取される前に、貧困カードが繁栄カードを公開してゲームを終わらせ、指定の勝利点を超えることを目指します。
この「大君主」が王国の統治権を奪取しようとするのが、ゲームとしても、見た目としても非常に面白くなっています。

「大君主」はゲームボードの外側を回りながら、自分の労働者コマをゲームボード上に配置していきます。最初は一番外側に配置される「大君主」の労働者コマですが、これはどんどん真ん中の城へと近づいていきます。「大君主」の労働者コマが城の真ん中にたどり着いてしまうと統治権が奪取される、すなわちその時点でゲームオーバーになります。全員の負けです。

そうならないように、プレイヤーたちは協力して「大君主」の労働者を追い払いながら得点を稼いでいきます。プレイヤーたちはそれぞれ追加の効果を得ています。たとえば写本アクションを行った際に「大君主」の労働者を取り除いたり、交易をおこなった際にゲームボード上に自分の労働者コマを配置したりできるようになります。プレイヤーたちが得る能力はそれぞれ異なるので、役割分担が重要になります。

これらの効果を駆使して「大君主」の労働者を城に近づけないようにしながら、いかに勝利点を稼ぐか。子爵のゲームの面白さを残しつつ、見た目にも楽しい協力型ゲームに仕上がっています。個人的には、一番のオススメです。

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ハナ
なかりゅう
びーている / btail
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