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  • 4人~8人
  • 30分~60分
  • 13歳~
  • 2005年~

シャドウハンターズミチミツさんのレビュー

408名
2名
0
7年以上前

【まえがき】
2005年に国内デザイナーがGame Republic社から発売し、その後2008年にZ-Man Games社から英語版、2010年にKOSMOS社からドイツ語版が発売されています。日本語版もありましたが今では絶版となっています。
ゲーム自体は人狼系をベースにした正体隠匿、戦闘による排除が主となっています。話すことが苦手な人でも遊べるように工夫されているのが特長です。人狼系とは言っても内容は大幅に異なるため、人狼とは思わない方がいいと思います。

【ルールの簡単な説明】
レビュアー自身はゲームを所有していないため、インスト時の内容を元にしています。

まず始めにキャラクターカードをそれぞれのプレイヤーに配り、これでプレイヤーの役割を決めます。このカードは当然プレイヤーだけが見て確認、裏向きで伏せておきます。
次に場に場所カードをランダムに配置、そして黒・白・緑のカードそれぞれを混ぜて山札とします。
プレイヤーのコマ1個をボードのダメージ管理トラックの0のところに置き、もう1個はダイスで決めた場所に初期場所として置きます。

ゲームの目的は、プレイヤーがハンターであれば、すべてのシャドウプレイヤーを倒すこと、シャドゥであれば、すべてのハンタープレイヤーを倒すこと、一般市民であれば、市民ごとに設定された勝利条件を満たすこととなっています。

ゲームは、スタートプレイヤーから順番に手番を行います。
手番では、まず最初にダイスを振って移動先を決めます。
移動先の場所によって、行えるアクションが変わります。黒・白・緑それぞれのカードを引いたり、HPを回復したり等の効果があります。
そして、移動先の場所のグループ内にいる他プレイヤーを攻撃するかどうか選択します。攻撃しない場合は手番終了、攻撃する場合はダイスを振って命中判定->ダメージ決定して、攻撃対象のプレイヤーにダメージを適用します。

これを繰り返しながら、それぞれのプレイヤーは自分の勝利条件を満たすように行動を行います。

カードは黒(攻撃的な効果が多い、武器装備など)、白(防御・回復的な効果が多い)、緑(他プレイヤーの正体をつきとめる効果)の3種類があります。
黒と白のカードは引いて即公開しなければなりません。そしてその効果は取り消すことができません。
緑のカードは正体を知りたい他プレイヤーに渡すことで、そのプレイヤーの正体を知る足がかりにすることができます。例えば「ハンターであればダメージ1点を負う」という効果のカードであれば、このカードを渡すことでそのプレイヤーの正体をハンター、シャドウと一般市民のどちらかに絞り込むことができます。

【感想】
以前から面白いゲームだという話は聞いていましたが、希少なゲームでなかなかプレイする機会がありませんでした。他のゲームにはない要素がいくつかあり、これらがうまく融合していると感じました。

1つ目の要素は、このゲームはいわゆる人狼系に属するゲームですが一切話す必要がないというな点です。それを可能にしているのが緑のカードです。
緑のカードに書かれている質問に対して、該当すればその効果を適用=質問通りの人物であるということ、効果を適用しなかった=質問通りの人物ではなかったということが、カードを渡したプレイヤーだけにはわかり、正体をある程度絞り込むことができるのです。これにより一般的な人狼で必要とされる会話が不要となり、誰でも遊ぶことが可能になりました。
またカードを渡したプレイヤーだけが直接的に知ることができるわけですが、その後の行動により他のプレイヤーも断片的な情報を得られることがあります。
例えばプレイヤーAがプレイヤーBに緑のカードを渡して、何かしらの情報を得たとします。他のプレイヤーがわかることは、プレイヤーAがプレイヤーBに緑のカードを渡したという事実だけです。しかし、この後にプレイヤーAがプレイヤーBを攻撃した場合、他のプレイヤーは少なくともプレイヤーAとプレイヤーBが敵対する関係であるということがわかります(しかし一般市民というイレギュラーな存在があるため、ハンター対シャドウであるとは断定はできません)。

2つ目の要素は、一般的な人狼にない攻撃という行為です。一般的な人狼では疑わしきプレイヤーを投票で処刑するかどうか決定し、処刑することで排除します。しかし、このゲームでは直接的に攻撃してHPを0にすることで、ゲームから排除します。攻撃により排除するため、当然自分自身が返り討ちにあって排除されることもあります。また攻撃することで、同じ仲間(ハンターもしくはシャドゥ)たちに攻撃対象のプレイヤーが敵であることを知らせるという効果もあります。もちろん、敵側にも知られることになるため、正体を隠していたプレイヤーから攻撃されることもあります。最終的には攻撃によって、敵側のプレイヤーを殺さなければならないため、人狼とは全く異なるプレイ感だと思います。

3つ目の要素は、ハンター対シャドゥの対立構造に一般市民というイレギュラーな存在を組み入れているという点です。これにより単純な二極構造ではなく、複雑な関係を作り出すことができています。一般市民は人物によって、それぞれ目的が異なります。ハンター側に協力したり、シャドゥに協力したり、もしくは両方に関係なく誰かを殺すことだったりします。そのため、プレイヤーの正体がその行動から単純に判断できないようになっています。シャドゥと思われるプレイヤーを攻撃していても、単純にそのプレイヤーがハンターであるとは判断できないわけです。これによりカオス(渾沌)な状況を作り出し、プレイヤーを疑心暗鬼な状態に陥れることに成功しています。
ただ個人的には、一般市民の勝利条件はサマリー化するか、もしくはすべて覚えておくべきだと思います。一般市民の勝利条件がわからなければ、正体の判断ができず、またその行動も理解できないからです。ここは注意が必要かと思います。

上記の通り、このゲームにしかない特徴を持った素晴らしいゲームだと思いますので、機会がある方は一度は遊んでみて欲しいと思います。惜しむらくは、現在入手が難しく、また日本語版の重版・リメイクは恐らく無理そうだという点です。本当に惜しいことです。

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