- 1人~6人
- 60分~90分
- 10歳~
- 2018年~
ルート:さざめく河のけだもの軍記(拡張)ヒロさんのレビュー
ROOTの第一拡張になりますので、基本セット(はるけき森の動物戦記)がないと単体では遊べません。
本拡張では、基本セットの4派閥(猫野侯国、鷲巣王朝、森林連合、放浪部族)に加えて、蜥蜴(トカゲ)教団と河民商団(カワウソ)、ダブル放浪(放浪2人目)、メカ野侯国(猫野侯国のオートマ化)が増えました。
この拡張によってプレイ人数が、基本セットでは2〜4人だったのが、1〜6人となります。
メカ野侯国(猫野侯国を自動化)を入れることで、「プレイヤー連合軍VSメカ野侯国」といった協力プレイも楽しめます。これにより、戦争ゲームならではの激しい殴り合いが苦手な方も協力ゲームとして楽しめるようになりました。
注意点として
公式ルールに則って(説明書通りに)メカ野侯国を動かすと、プレイヤー側はかなり厳しい闘いを強いられます。それくらい凶悪な動きをします。そのため、BGGにあがっている有志作成のオートマルールを採用した方が難易度的におすすめです。
〈追加派閥について〉
・蜥蜴教団
戦争によって巣を追われた森の民(追放民)を救おうと信者を集めている宗教集団。でも見た目は怪しいローブを纏って怪しげな儀式を行うカルト教団…といったイメージ笑。
「秘儀」というとても強力な特殊能力を使うことができます。秘儀には「聖戦」「改宗」「聖域化」の3つがあり、コストとして「神官」が必要になります。戦争で防御側として倒された自軍の兵士が「神官」となるという仕組みのため、他の種族から見ると蜥蜴の兵士を倒したいけど、倒すと秘儀で逆襲されるし…といったジレンマが産まれます。これだけ見るとかなり強そうに見えますが、それを自由に使えないようにする「縛り」があります。それが「追放民」という概念です。自分の手番から次の手番まで一周する間に捨て札となった一番多いカードの種族(ウサギ・ネズミ・キツネ)が「追放民種族」となり、毎手番ではその追放民種族と一致した広場でしか秘儀を実行出来ないようになっています。クラフトの実行にも「追放民」を参照することとなり、計画通りに動けないもどかしさが蜥蜴教団にはあります。(ゲーム全体の捨て札のコントロールが難しいため)
使用感として…強力な「秘儀」を使える状況を早い段階で作れないと、何も出来ないまま終わるといった印象です。しかし、秘儀の一撃(聖域化)で拠点を破壊できるので、鷲巣王朝の内乱を誘発したり、戦争で強い森林連合の拠点を潰したりとプレッシャーをかけ続けることができるところは面白いです。ちなみに、私は蜥蜴教団で勝てたことが一度もありません笑。
・河民商団
戦争で一儲けしようと商売をしにきた商人傭兵集団。カワウソなのでマップ上の川を道とみなして移動でき、商人らしく商売で勝利点を稼ぐ派閥です。
常に手札はオープン状態で、他のプレイヤーはいつでも商団プレイヤーの手札を購入することができます。この「手札の販売」以外に、購入した手番中に限り「川を移動できるようになる渡河能力の付与」や「河民商団の兵士を味方兵士として扱う(傭兵)」も販売しています。購入した他のプレイヤーから「代金」をいただき、その「代金=資産」を使って河民商団はアクションを行います。ルートには貨幣がないので、「代金」は兵士駒で支払います。
そして、この販売価格は毎手番で個別に自由に設定できます。この価格設定がとても重要で、いかに他のプレイヤーとの商売を通じてwin-winの関係を築いていけるかが序盤のカギとなります。
そのため、他のプレイヤーが何も買い物をしてくれないと河民商団はかなり苦しい状況に陥ります。代金として兵士駒を支払う性質上、サプライの兵士駒が多い猫野侯国や蜥蜴教団、鷲巣王朝あたりが、多少は購入してあげないとゲームにならないと思います。逆に兵士駒の少ない森林連合や自身のアイテムで支払わなければならない放浪部族とは相性が悪いです。
ただ、河民商団がいることで、他プレイヤーは手札カードの引き運が悪い時に助けとなってくれるので、自身の利益優先で河民商団を利用する価値は大いにあります。
使用感として…まとまった資産が手に入らないとなかなか勝利点を稼げないため、中盤までに「資産」を確保するため、たとえ他のプレイヤーが有利になったとしても商売優先で立ち回った方が良さそうです。私のプレイ回数が少ないこともあって戦略がまだピンときてませんが、河民商団がいるかいないかでゲーム全体の雰囲気が変わるのは確かです。
・ダブル放浪
こちらは、2人目の放浪部族が使えるようになります。基本セットの3人(匹?)に加え、新たに3人のキャラクターが増えます。純粋にキャラクターが増えたので、戦略が変わって面白いです。
『総評』
ソロプレイ対応も含めて、ルート基本セットを楽しめた人であればマストバイな拡張です。新しい派閥のトカゲとカワウソもプレイ感が新鮮で面白いです。ただし、基本4派閥でルールに慣れたプレイヤーでないと扱いが難しい中級者向けだとは思います。
これだけプレイ感の異なる派閥同士で、しっかりとゲームとして成り立たせているところは、流石だと思います。興味のある方は、難しいと敬遠せずに触れてみて欲しいと思います。
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