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  • 1人~4人
  • 30分~120分
  • 10歳~
  • 2020年~

赤の大聖堂Sato39さんのレビュー

628名
12名
0
約3年前

<ロンデルは悩ましく、大聖堂のマジョリティは厳しく楽しい>

今年のエッセン・シュピール‘21で行われた人気投票「スカウトアクション」で、3位の好評価を受けた注目作を4人プレイさせていただき非常に面白かったのでレビューします。ちなみに帰宅後にポチりました。なお、ゲーム概要に関しては他レビュワーさんの素晴らしいレビューがあるので割愛させていただき、4人プレイでの感想を中心にレビューしたいと思います。


【上手くまとめられた3つのシステム】

ゲームメカニクスとしては、3つのシステムが上手く組み合わされています。

  1. 大聖堂建築におけるエリア・マジョリティ
  2. ダイスを使ったロンデルによる建材獲得
  3. 個人ボード改良による能力改善

これらが一見すると、古き良きユーロゲームを彷彿とさせるアートワークで綺麗にまとめられています。


【①大聖堂建築におけるエリア・マジョリティ】

まずこのゲームの目的はタイトル通り、大聖堂の建築です。そして、「その建築に多大なる貢献をしたもの」=「最もたくさんの場所を建築したプレイヤー」が大量の名誉点を獲得することができ、勝利に近づきます。このエリアマジョリティがこのゲームの根幹であり、とにかく熱い!

大聖堂は4〜6列の塔で構成されており、高い塔ほど獲得できる評価点が高くなります。このため出来るだけ高い塔のマジョリティを目指すのですが、塔は下からしか建築出来ないため高い塔ほど勢力争いのタイミングがシビアで熾烈になっていきます。この時、どこまでその塔にこだわるのか、それとも違う塔の優勢を目指すのか、戦略が悩ましく面白いです。

またこの時にランダムに置かれた工房タイルを獲得できますが、これも大聖堂は下から建築する必要があるため自分の旗を置くタイミングが非常に重要です。この工房タイル獲得の駆け引きも非常に熱いです。


【②ダイスを使ったロンデルによる建材獲得】

大聖堂の建築には建材が必要です。そしてこの建材の獲得方法は市場でのダイスを使ったロンデルになりますが、ダイス目に合わせた建材しか獲得できないため、その時に欲しい建材が手に入らないこともあります。その時、お金を支払ってダイスを追加で進めるのか、違う建材を狙うのか選択を迫られます。

また各建材には3つまでダイスを置くことができ、(ダイスの数)×(描かれた数)分の建材を獲得することができます。つまり他プレイヤーと同じ建材を選ぶとブーストがかかり嬉しいのです。このため、その時欲しい建材を取りに行くのか、それとも今は必要ないが多くもらえる建材を獲得しにいくのか悩ましいです。しかし建材の保管数には限りがあるため、いらない建材を貯め込んでも困ることになります。とても悩ましい。

また、ロンデルの外側には職人ギルド御者ギルド商人ギルド聖職者による4枚の影響力カードが並んでおり、その場所に応じたアクションが実行できます。このアクション目当てでダイスを動かすこともでき、さらに選択が悩ましくなっています。


【③個人ボード改良による能力改善】

個人ボードの左右両端にはダイスの色に応じた工房タイルを置くことが出来るようになっており、これによりロンデルでダイスを移動した際に追加のボーナスがもらえるようになります。これにより戦略の幅はグッと広がり、動かすダイスの選択肢はさらに悩ましくなります。

また建材の保管庫も限られているため、とにかく建材を貯めるようなプレイはできず、いつもカツカツの建材を効率よく運び大聖堂を建築していく必要があります。


【序盤と後半で得点効率が違う】

このゲームの得点には、「評価点」「名誉点」があります。最初は「評価点5点=名誉点1点」の配分ですが、最終的には「評価点1点=名誉点1点」となります。つまり序盤は名誉点の得点効率が非常に高いのですが、後半になるにつれ評価点の得点効率が良くなっていきます。ちょっとややこしいですが、評価点と名誉点を獲得するタイミングが重要になってくるのは、とても面白い仕掛けだと思いました。


<良いところ>

  • 大聖堂建築におけるエリア・マジョリティがとにかく熱い!
  • ダイスを使ったロンデルによる建材獲得が悩ましい。
  • 個人ボード改良により戦略の幅が広がり、選択肢が増えて悩ましい。

<悪いところ>

  • 選択肢が多く悩ましい要素が多いためダウンタイムは長め。
  • ダイスによる運要素があり、計画通りにいかないことも多い。

<説明書&対象>

説明書:20ページ。インスト:20分、プレイ時間:1時間30分(4人プレイ)
BGG weight: 2.80(2021/12/9)。やや重めの中量級。
お勧めの対象は、「ダイスによる多少の運要素も戦略でカバーして、マジョリティ争いを楽しめるゲーマー」でしょうか。じっくり考えてプレイするのが好きな方には向いていると思います。

※今回のレビューにあたり説明書より画像を引用させていただきました。問題があれば削除いたしますのでご連絡いただければ幸いです。


【感想】

これはとても悩ましくて楽しい作品でした。手番中に行いたいアクションはたくさんあり、その中でもタイミングを逃すことが出来ないアクションを1つ実行して、1周まわって次に自分の手番になった時にはロンデルのダイス目は様変わりしているというジレンマ。

欲しい建材はあるけど、今は必要ない建材の方がたくさん手に入るジレンマ。どの塔のマジョリティを優先するのか、他プレイヤーの狙いはどこなのか、他人の顔色を窺いながら場所を確保する駆け引き。ルールは20分程のインストで理解できる程簡単なのに、非常に濃密なプレイ感です。

4人プレイだとややダウンタイムは長めになりますが、ダイス目がどんどん変わっていくためそのたびに戦略の見直しが必要となり、ずっと次のアクションを悩んでいましたね。時間はあまり気にならず、最終得点計算まで勝敗がはっきりと分からないこともドキドキして楽しかったです。

リプレイしたくて、帰宅後に早速ポチりましたよ(笑)おすすめです。

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