リビルディング・シアトル荏原町将棋センターさんのレビュー

リビルディングシリーズ第一弾。お買い物とタイル配置の中量級です。

1889年シアトル大火からの復興を目指し、各町担当となり、人口とアメニティの『需要と供給のバランス』を収斂させて行くゲームです。

収斂系の代表は、「ウェンデイク」「ヘブン&エール」「エマラの王冠」等がありますが、その中でも簡単な部類に入ると思います。

↑ メインボード。手番では、公開中のビルカードを1枚買う。これは2人用なので、公開のビルカードは11枚しかないが、5人プレイだと、なんと32枚にもなる！32択のドラフトは圧巻だ。

↑ しかし、驚くことに、視認性は全く問題ない。なぜなら、カードは実質2種類しかない。左のタイプは、「面積3のオレンジ(レストラン)を建て、ピンク(ショッピング施設)の品質を＋1上げる」。右のタイプは、「面積4の青(娯楽施設)を建て、ラウンド終了時オレンジ建物1つにつき2金貰う」。この2パターンだけ。

右は、担当地域。郊外タイルで土地を拡大し、その上に7種類の建物を建てていく。タイル配置は、隣接ルールは無く、土地タイルの上なら好きな所に置ける。スタジアムや国際空港などのランドマークが西側に建てられた。

レストラン…VPを貰う

ショッピング…VPまたはお金を貰う

娯楽…VPとお金を貰う

大学…(卒業して出稼ぎに出るというフレーバーで)人口を減らす

駅…郊外タイルを貰う

住宅…5金貰う

ランドマーク…終了時VPや即時ボーナスを貰う

これらの建物は全て、6枚のイベント(決算)カードを取ることによって活性化されます。つまり、誰かが、ビルカードを買うアクションに代えて、例えば、レストラン決算カードを取った場合、全員、自分のレストランの品質トラックレベルのVPを貰います。

ただし、これは、需要と供給のバランスがいい時。即ち、レストランの数が人口と同じか多い場合です。なので、まず、自分の町内のレストランの数と人口を比較します。もし、人口の方が多ければ、ストレスとなり、シアトルが目指す完璧なアメニティ社会となりません。その差の分だけVPは減ります。

↑ ジョージタウン。今、誰かが、レストラン(オレンジ)の決算カードを取ったとする。すると、人口13に対し、レストランは10なので、3届かず。もし足りていれば、14VP貰えたはずが、−3となり、11VPを得る。ちなみに、ショッピング(ピンク)決算が行われれば、人口に対して6少ないので、15−6＝9VPまたは9金を得る。娯楽(青)決算が行われれば、同様の計算で12VP&12金が得られる。

なおイベント決算カードは、このオレンジ、ピンク、青の決算以外に、黄(駅)決算、黒(大学)決算、土地決算があります。黄決算は、黄タイルの数だけ郊外タイルが貰えます。買うと1枚4金もするので、この決算で貰えるのは助かります。黒決算では、黒タイルの数だけ人口を減らすことができます。これは、先ほどの3つのアメニティ決算全てに役立ち、しかも全3ラウンドに影響します。土地決算は、町内の土地にある森林、川、鉱山(VP)アイコンに基づいています。第1ラウンドは森林の数だけお金が貰えます。第2ラウンドは川の数だけ人口を減らします(氾濫というフレーバー💦)。第3ラウンドは鉱山と森林の数だけVPとお金が貰えます。

土地となる郊外タイルは、ビルカードを買う時、ついでに4金を払って1枚買うことができます。土地決算があるので、建物を建てる時、アイコン類を潰さないように置かなければなりません。買ったばかりの郊外タイルに建物を建てることもできます。

また、手番では、ビルカードを買う、イベントカードを取る以外に、法律を定める、があります。これは、個人ボードの町ごとに固有能力となっており、しかも3種類から選べます。とても美味しいボーナスなので、ラウンド途中に1回、忘れずにアクションしておきたいです。

考察

◾️全3ラウンド。ラウンド終了フラグは、6枚のイベント決算カードが取られた時。これが超インタラクションとなっている。一つは、法律制定のプレッシャー。6枚捲られる前に法律アクションをしておきたいのだが、急ぎたいのは買い物。ベストなビルを早取りで買っていくのが第一。5人プレイなどでは、4人連続でイベント決算されたらどうしよう、と怖くなり、法律制定のタイミングが難しい。

◾️二つ目は、イベント決算カードを取るプレイヤーへのボーナスだ。取ったプレイヤーは、土地決算と大学決算では、3金が貰える。買い物を続けると金が無くなるのでありがたい。この3金は、安いビルカード1枚分にも相当する。また、駅決算では、黄タイルの数だけ郊外タイルが貰えるが、追加でもう1枚を1金で買うことができる。

◾️三つ目は、他プレイヤーのアメニティが伸びる前に、あるいは自分だけ伸びているアメニティを、一足先に決算してしまうこと。他プレイヤーのアメニティの進行具合をよく見て、決算のタイミングを決める。

◾️人口は、スタート11(万人)、第2ラウンド＋12、第3ラウンド＋12と、大幅に流入してくる。レストラン、ショッピング、娯楽の3種類の建物全てを人口に収斂させるのは難しい。戦略としては、中盤で1種類を諦めた方がVPが伸び易い。

◾️特に狙いとなるのは、VPとお金がセットで貰える青(娯楽)建物だ。しかし、青建物を沢山建てても、品質レベルトラックが上がっていなければ、収入は少ない。人口への収斂にこだわるだけでなく、そもそも収入自体を大きく上げてしまう品質レベルにこだわる戦略もある。例えばレストランのレベル5は28VPもある。これなら、人口と相当離れていても、ある程度のVPが入ってくる。なお、3種の品質アメニティは、レベル5より上に上がる場合は、そのたびに＋5VPが入る。

◾️レストラン、ショッピング、娯楽施設ばかり建てていてもうまくいかない。毎ラウンド終了時に5金が入る住宅(緑)や、建物1つにつき人口が1減る大学も建てたい。

◾️緑(住宅)以外に、毎ラウンド終了時にお金が貰えるビルカードも、色を特化して集めれば、結構な収入になる。

◾️序盤は土地が狭いため郊外タイルが欲しい。しかし4金は勿体無い。そこで、早めの黄色決算を仕掛けるのはあり得る。これで、初めから印刷されている黄色1枚ともう1枚を1金で買えるので2枚土地が置ける。

◾️ランドマークは、一人2つまで建てられるが、15金前後のお金を貯めないと建てられない。また広い土地も必要だ。

◾️序盤は土地が狭いのだが、土地アイコンを潰してまで建ててしまうのは勿体無い。しかし、例えば川アイコンは、第2ラウンドの決算カードで人口を減らした後は、ゲーム終了までもう何の意味もない。なので、以降はどんどん潰していける。

とにかく6枚のイベント決算カードをいつ取るか取られるかが非常にスリルがあり、盛り上がります。マンゴーネの「エキスポ1906」も、ラウンド終了フラグがプレイヤーの意思で決まるタイプでしたが、あれは誰かがカードを出した瞬間ラウンドが終わるという、非常に強烈なものでした笑

デザインがレトロで、ビルも「ニューヨーク1901」のような二次元タイルに戻った感じです。でも面白い。渋さが売りのリビルディングシリーズ、これからも楽しみです。

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