- 1人~4人
- 60分~120分
- 14歳~
- 2022年~
オロス荏原町将棋センターさんのレビュー
噴火によるマグマと、冷え固まったプレートによる大陸移動説をゲーム化。見た目はパズルゲームに見えますが、どちらかと言うと「テラミスティカ系」です。
結構頭を使うゲームですが、パズル重視は序中盤で、中盤からは戦略が物を言います。要は、一つ山が出来てしまえば、その山に建設できる3種類の聖地は、一人1種類しか建てられないので、3人のプレイヤーは分け合いながら確実に1つは建てられるのです。
したがって、プレートをいろいろ動かすことばかり考えなくても、VPの取り方はいくつも現れます。
しかし基本は、プレートを動かし、ぶつけ、重ねて自分の近くに山をつくること。
アクションは6種類。
・シフト(一列移動)
・ムーブ(移動合体)
・噴火
・学問
・信者移動
・建設
個人ボードの6つのアクションスペースにいる4人(スタート時)の信者ワーカーを、空いているスペースに置いていく「個人内ワーカープレイス」です。手番では、3アクション行なうことができます。
↑ 中盤から終盤へ。あちこちに聖地が建ち始めた。例えば写真下の緑の信者は、信者移動力3あれば、階段を降り隣のマスに移動し、神殿を建てるのが狙いになる。上の方にある火山4は、噴火をさせると、自身のプレートに+3、左のプレートに残りの+1のレベルを増やし、隣り合わせのレベル4同士になる。
山タイルは、レベル4とレベル4のプレート同士が衝突し、片方が隆起することで生まれます。なのでまず、レベル4のプレートを隣り合わせに2つつくることが必要です。
この時ポイントとなるのは、できる限り自分の信者が乗っているプレートを動かすことです。
VPの得点源となる聖地は、山の上にしか建てられず、その時信者がいないと建てられません。なので、自分の信者がいるタイルをレベル4にしてから山をつくれば信者移動の手間が掛かりません。
これら衝突ができるアクションが、「ムーブ」です。例えばレベル1とレベル2をぶつければレベル3に、また、レベル3とレベル2のプレートをぶつければレベル4の土地と火山1になります。いずれもプレートが1枚消えます。ただし、スタート時のムーブは、「3枚連続で繋がっているタイル」を3枚セットで同時に同方向に1マス動かすしかアクションできません。タイル1枚だけを動かすことはできないのです。
もう一つのプレート移動アクションは、「シフト」です。このアクションは、縦か横の一列を全て同時に同方向に移動させます。つまり、衝突は起こりません。これがムーブとの大きな違いです。
このシフトとムーブの2つが、大陸移動のアクションで、どちらのアクションも、山を含むセットや列を動かすことができません。また、この2つのアクションだけが、プレートのワープができます。上下左右端から押し出されたプレートタイルは、反対側の端に移動します。
「信者移動」アクションは、文字通り信者ワーカーを1マス移動させるもの。陸続きでないと進めません。
「噴火」アクションは、タイル上に置いてある火山トークンを噴火させ、その数字と同じ数だけプレートが育ちます。ムーブアクションと同じようにプレートのレベル数に足し算します。4以上になった時は、余った数分、隣のプレートにレベルを足します。
「建設」アクションは、聖地を建てます。聖地は、石碑、聖堂、神殿の順に一マスに1つずつ建てることができます。条件は、その山のマスに信者がいること。同じ山の中に一人2種類以上建ててはいけません。3人のプレイヤーで神殿まで建った時、そのマス(山タイル)の上は3階建ての階段状になっています。
「学問」アクションは、個人ボードの信者ワーカーを修行させるもので、専用のスペース(信者2人分)または自分の聖地に信者1人をワープさせることができます。あるいは、このアクションを使って、信者2人までを個人ボード内に引き戻すことができます。
引き戻すたびに、知恵がつき、個人ボード内にある8種類のトラックが進みます。知恵は学問中から戻す方法だけでなく、聖地を建設することでも上がります(石碑は知恵1、聖堂は知恵2、神殿は知恵3)。アクショントラックを上げると、以降、アクション内容が強化されます。
例えば、
シフトトラックでは、山を含む列を動かせるようになったり、
ムーブトラックでは、1枚のタイルだけで動かせるようになったり、レベル3同士で山が作れるようになったり、
学問トラックでは、メインボードに2人目3人目の信者を送れるようになったり、
信者移動アクションでは、1回の移動距離が大きくなったり海を進めるようになったり……
神を信じる力は、偉大で、知力となるわけです。
↑ ゲームスタート時の基本セットアップ。セットアップのマップは全部で10種類。いずれのマップも太古を懐かしむ。この中央の大陸は、ウェゲナーが提唱する「パンゲア」なのか……
VPは、終了時VPだけで、
・聖地ごとのVP(石碑、聖堂、神殿の数×各トラックの数値。MAX21VP)
・各アクショントラックのVP(MAX7VP)
・アクショントラックの横列のVP(終了時の学問中の信者の数×1〜3)
・昇天トラックのVP(MAX15VP)
の4種類。
昇天トラックというのは、聖地を建てた時必ず進むトラックで、どの聖地を建てても必ず2マス進みます。これが15マス(基本ゲーム)進んだ時終了トリガーが引かれ、その時のマス目のVPを全プレイヤーが貰えます。
↑ 個人ボード。右3つが各聖地トラック。進むだけVP単価が上がっていく。左側にあるのが横列クリアによるVP。クリアするとゲーム中追加の信者ワーカーも手に入る。右上にいる2人の信者は学問中。一番下にある白い部分がワーカープレイススペース。ここにいる信者を動かしてアクションする。空いたスペースしかアクションできないので、連続で同じアクションはできないが、一手番3アクションできるので、例えば、ムーブ→信者移動→ムーブなど、工夫すれば手番中に2回行なうことは可能だ。
考察
■終了時VPの中で大事なのはやはり聖地VP。このゲームの柱は、やはり聖地を建てること。それにより知恵を増やし、トラックを上げ、昇天トラックも2進み、そして、聖地トラックのVP単価を上げていくことだ。
■3種の聖地トラックの上げ方の目安となるのが、写真にある単価5VPのマス。このマス目までは上げておきたい。3VPから5VPに上がるのは勿論、このマスまで行くと、ボーナスで1知恵が貰えて、また任意のトラックが上がる。
■しかし、この右側の3つのトラックを上げていけばいいと思っても、そうはいかない。序中盤に上げたいトラックは、逆で、5つのアクショントラックだ。アクションの能力が弱いので、まずは強化が第一となる。
■強化の優先順位は、ムーブの「3枚連続で繋がっているタイル」という制約を、まずは、「2枚連続で繋がっているタイル」に変えたい。さらにもう一つ知恵を上げ、「1枚のタイルだけでも動ける(斜めもOK)」も早めに欲しい。
■聖地が一つでも建てることができたら、早速建てた聖地に、学問アクションでワープさせたい。そのためには、学問アクショントラックを一つ上げ、「メインボードに信者ワーカーを3人まで置ける」にしておきたい。信者ワーカーがメインボードに多ければ、その分だけ山がつくり易く、即ち聖地が建てやすくなる。
■知恵3でトラックが3つ分も上がる神殿が一番お得に見える。しかし、そうとも言えない理由がある。それは、山タイルの上に3階建てになった神殿から地上に降りるまで、階段上に全て1マスと数えるからだ。1回の移動距離を大きくしなければ、次の山を狙いに行くのが面倒になる。
■いずれにせよ、自分で山をつくるのは序盤中心で、中盤からは、いかに他プレイヤーがつくった山に移動して行くかが戦略の分かれ目となる。スタート時、各プレイヤーは、石碑、聖堂、神殿を3つずつ持っている。例えば石碑を3つ建ててしまったら、自分で山をつくる意味はない。
■各アクショントラックも、一番上まで上げると、終了時7VPが入る。それだけでなく、ゲーム中そのアクションをするたびに昇天トラックが自動で1上がる。ただ、終盤カンストしてもあまり使う頻度がないので、狙うなら中盤。
■火山4などがある土地では、噴火アクションでプレートが一瞬でレベル4以上になり、一手番中に山がつくれることもある。低地ではムーブでレベル4のプレートをつくるより断然早い。また、噴火アクションでは、噴火をさせず、火山形成として火山3を任意のプレート上に設置することもできる。
■終了フラグが切れたら、最後の手番では、学問アクションを最低1回は行ないたい。もし写真のように横列クリアが2列以上達成していたら、学問アクションで+1、2人追加で修行に行かせた方がVPが伸びる。また、横列が1つもクリアできてないような場合、学問アクションでは、2人を引き戻し、聖地トラックを上げられるだけ上げよう。
■沢山聖地を建てても、学問で聖地VP単価が上げていなければ勝てない。逆に、学問特化戦略はあり得る。これは、聖地をほとんどつくらず暇さえあれば学問アクションを行なっていく。ただアクショントラックの7VPよりも、掛け算ベースの聖地VPの方が当然ながら大きいので、ある程度聖地をつくらなければ、学問特化だけでは優勝しづらい。
NPCのオートマカードが秀逸で、2人プレイは勿論、3人プレイ時もぜひ導入したい仕様です。赤や黄色、特に赤は凶悪なので、緑や青、特に緑がバランス良くゲームを掻き乱してくれます。
いわゆるテラミスティカ系はやはり楽しいなと改めて感じました。そして60個近い穴空きのレイヤー。何より、システマチックに見えるこのような個人ボードが好みです。そして、最善手を考え楽しむのに程良い難しさ…
個人ボードだけでなく、ゲーム終了時の盤面も立体感があり、火山のアクセントも入り、芸術点も高いです。
欠点としては、テーマが「地学」そのものなので、ゲームが面白くても、コアな人気となるに違いないでしょう笑
※ レビューにご感想・ご不明な部分等ございましたら、ご遠慮なく下にコメントください🙂
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