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  • 2人~4人
  • 60分~90分
  • 12歳~
  • 2023年~

デルタ荏原町将棋センターさんのレビュー

860名
9名
0
3ヶ月前

生物工学ボードゲーム。フランス、アルルの丘陵の南、カマルグ。地中海に面するローヌ川沿いの三角州地帯が舞台となります。

ここで150年以上前、水晶を動物に施す研究がされていました。

現在のカマルグ自然公園では、実際に、フラミンゴ、白馬、雄牛など、沢山の生物が見られ、長閑に暮らしています。


手番では、手札からカードを、アクション置き場に出すだけ。アクション置き場は、

工場(歯車)

探検(クリスタル)

研究(フラスコ)

の3つ。そして、このアクションは1回ずつしかできません。つまり、1枚ずつ3箇所でアクションしたら、ラウンド終了です。全6ラウンド。

なので、ラウンド終了時には、各3アクションスペースには、4人プレイだったら、4枚ずつカードが並べられています。


手札の人物カードには、歯車やクリスタルやフラスコやコインの資源が書かれており、これは、プレイすると貰うことができ、アクションに使うことができます。なので、例えば、クリスタル2つとコイン1つのアイコンがある人物カードは、探検スペースに出すと、クリスタル3個が貰えます。コインは、出したスペースによって定まる資源で、この場合、クリスタルとして+1になります。そしてこの3個を含めた個人ボードのクリスタルを消費して、探検アクションをします。

探検アクションは、クリスタルを消費して、小島を1つ進み、VPを貰います。奥の小島にどんどん進めば、大きなVPとなりますが、途中、ロープウェイ(飛行船)やパイロットが必要な小島もあります。また、途中で、ミニボーナスの改造トンボを拾うことができます。

工場アクションでは、歯車の数だけ工学トラックを進めます。進めば進むほど終了時VPが大きくなり、トラックの途中で改造トンボを得ることができます。また、このアクションでは、発明アイコンを持つ人物カードを使うと、工学トラックをいくつか後退させ、メカニマルを産み出したり、追加の探検アクションができたりするようになります。

研究アクションでは、メカニマルの研究をします。まず、手札にあるメカニマルカードを1枚手元に公開することができます。が、第1ラウンドでは、まだメカニマルカードが1枚も無いのでできません。さらに、各4種類のマカニマルの研究トラックを進めることができます。これには、カードを捨てる(除外)必要があり、カードの角に書かれているメカニマルアイコンのトラックが1マス進みます。これは終了時、各メカニマルカードの枚数に掛けるVP単価トラックで、

改造タートル…MAX4VP

改造フラミンゴ…MAX5VP

改造ホワイトホース…MAX6VP

改造バッファロー…MAX7VP

まで進ませることができます。

また、研究図書館ではもう一つ、頭微鏡アイコンを持っている人物カードを使ってアクションをすると、フラスコを払って、条件付き終了時VPの論文タイルを貰うこともできます。

↑ 研究図書館。今、(自称)ロボット長官をプレイ。顕微鏡アイコンを持っているので、フラスココストを払えば、論文タイルを取ることができる。なお、コイン1を持っているので、フラスコ1を入手する。まだメカニマルカードを持っていないので、公開もトラック上げもパスすることにした。


さて、こうして全員アクションが終わると、4人プレイなら、3箇所に4枚ずつカードが置かれています。ラウンド終了時に何をするかというと、各アクションスペースごとに「イニシアティブ」の高い順に、カード補充を行ないます。イニシアティブは、カードごとに、0、1、2個のスターが描かれているので、2個のスターの人物カードを出せば優勢になりますが、大体が同点になるので、その場合、左から優先、つまり、早く出していたプレイヤーがアドバンテージとなります。

取れるカードは、ラウンド頭からすでに公開されていて、工場からは上級人物カード、探検からはメカニマルカード、研究からはミッションカードが、それぞれ1枚ずつ貰えます。

この時初めて、メカニマルが1匹手に入ります。ミッションカードは終了時VP。上級人物カードは、スタート時の手札より強い人物カードです。

3枚使って3枚補充なのですが、プレイに使う肝心の人物カードは、3枚使って1枚補充されることになります。これでは、そのうちプレイできなくなるので、もう一つ、別の補充があります。

スタート時の手札は10枚なのですが、ランダムに3枚、自分の3つの捨て山に1枚ずつ捨ててあります。この捨て山を一つ選び、カードを補充します。「モンバサ」と同じですね。そして、現在のラウンドで使った3枚のカードは、1枚ずつ3つの捨て山に置かれます。


これで第2ラウンド以降は、手札のメカニマルを研究アクションにて公開(存在)させることができます。これにも1〜4フラスコ必要です。前述したように、1つのメカニマルトラックも進ませることができます。この時捨てるカードは、正確には人物カードまたはミッションカードになります。これらのカードには、どのメカニマルトラックを進めることができるか、右上にアイコンが書かれています。


考察

◾️カードを圧縮してメカニマルトラックを上げていかなければ、各メカニマルを何枚も集めても大きなVPにはならない。したがって、人物カードはどんどん減っていく。あまりにも人物カードが少ないと、弱いアクションしかできなくなる。そこで、人物カードではなく、(達成できそうにない)ミッションカードの方を捨てる手がある。

◾️各メカニマルには特徴がある。改造バッファローは、改造タートルと比べれば、存在数も少なく、また、トラックも上げにくい。改造ホワイトホースは、永続効果のロープウェイ(飛行船)やパイロットを持っていたり、改造フラミンゴは大量の資源を供給したりする。どのメカニマルを集めるか決めることは難しいので、他プレイヤーと被らないように特化していきたい。

↑ 左下が上級人物カードの例。改造タートルには、ラウンド途中でカードの回復ができるものもある。

◾️工場の発明品タイルにもメカニマルは沢山現れる。これは、発明アイコンを持つ人物カードを使えば、歯車を支払うだけでメカニマルが手に入る。しかも、メカニマルカードのように研究アクションで圧縮する必要は無いので、特化するのに便利だ。

◾️探検、メカニマル、歯車トラックの他に大きなVPとなるのが論文タイルだ。これは顕微鏡アイコンを持つ人物を使い、フラスコを払うことで手に入る。ミッションカードよりも大きなVPになるので、終了時までには何枚か手に入れておきたい。ただし、フラスコはメカニマルの公開に使うので、なかなか序中盤に論文を書くこと余裕が無い。

◾️ラウンド終了時の各カード補充では、探検スペースでイニシアティブが一番のプレイヤーが、好きなメカニマルを取ることになる。また、工場のイニシアティブでは、上級人物カードが早取りとなる。この探検と工場スペースが重要となる。研究スペースのミッションカードはイニシアティブが低くても妥協できるだろう。

◾️実は、各ラウンド頭に、スタピーから順番に、ターンボーナスタイルというのを取っている。この取ったボーナスタイルは、ロープウェイ(飛行船)+1、イニシアティブ+1、発明または顕微鏡、コイン+2と、どれもラウンド中プレイした人物カードの上に置くことができる。そして、新たなプレイ順が決まる。特にイニシアティブ+1は、イニシアティブ3が可能となり、補充の一番手が確定的となる。

↑ 工場。ターンボーナスタイルは、こんなふうに手番を後にすれば強力なものが手に入る。発明品カードのメカニマルは、集める狙い目となる。

◾️上級人物カードの補充は、発明アイコンあるいは顕微鏡アイコンを持つ人物を優先して取りたい。スタート時、発明アイコンと顕微鏡アイコンを持つ人物は、ロボット長官たった1人なので、1回使ったら、回収するのに少なくとも1ラウンド待たねばならない。

◾️最終ラウンドの補充の競りはパラダイス。3つのスペース共通の専用カードが公開され、無料メカニマルカード、無料探検、無料トラックなど。欲しいものばかりで興奮する。

◾️三角州は、左から、塩田、沼地、森林に分かれているが、一番奥に進みやすいのは、真ん中の沼地だ。しかし、これはどのプレイヤーも分かるはずで、先に小島に渡られてしまうと、探検コスト+1クリスタルが追加されてしまう。こうなると沼地よりも塩田、森林方面に切り替えたくなる…

↑ 探検。どうしても補充で、上の改造バッファローが欲しいのであれば、ここでイニシアティブ2のカードを出すしかない。黄プレイヤーも赤プレイヤーもイニシアティブ1なので。


カードの圧縮が大いに楽しめるゲームです。その圧縮のためには、終了時VPとなるミッションカードを諦め、捨てた方がいいという、他のゲームでは考えられない展開が待っています。終了時VPはもう1種類、論文タイルがあるので、ミッションカードごめんね、と割り切る必要があります。

デッキを構築していくゲームではありません。しかし、イニシアティブの競りを含めた、『圧縮縮小のハンドマネージメント』という技が必要となるゲームです。



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