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  • 1人~4人
  • 60分~120分
  • 12歳~
  • 2024年~

スティーブンス荏原町将棋センターさんのレビュー

218名
5名
0
24日前

震災のリスボン復興がテーマ。王立ガラス工場を設立したスティーブンスの史実に基づきます。怪作に期待が懸かるコスタ&ローラの新作です。箱絵が額縁のようで美しい。


手番では、本社工場の4つのスペースのどれかからガラスを1つ取ってアクションするか、個人ボードのディスクを取って雇用する(工場にカードを置く)か。この2択しかありません。

工場は、メインボードの左右に、本社工場のスペースが2つずつ、小工場のスペースも左右に2つずつあります。小工場の4つのスペースは、最初はガラスが1つも置かれてなく、雇用も0人なので、アクションすることができません。

アクションとは、ガラスを1個取って、その工場スペースの外に並んでいる雇用カード列を起動させること。その際、自分のディスクが載っているカードが全て起動しますが、同時に他プレイヤーのカードも起動します。

そこで、もう一つのアクション「雇用」で、自分のカードを沢山置いておく必要があります。雇用カードは左右3枚ずつ公開されていて、コストを払って1枚カードを取り、そのカードを、本社工場か小工場のスペースの外に並べます。その時、個人ボードのディスクを1枚外し、カードの上に置きます。

この個人ボードのディスクというのが、永続効果と終了時VP、それと影響力トラックの障害物となっており、ディスクを開放することで機能します。

カードの上に置かれたディスクは「親方」と呼ばれ、本社工場の列にカードを置くと1枚につき1VP、その上の小工場の列に置くと3VP、一番上の小工場の列に置くと5VPとなります。しかし、序盤は、小工場にカードを置いても起動されません。

とにかく、雇用アクションをするだけで各種効果とVPが確約されるのです。

↑ 本社工場の上に小工場がある。スタート時は、本社工場の緑か青のガラスを取って、その列を起動させる。青のガラスを取ると、赤プレイヤーと水色プレイヤーが収入を得る。上の小工場には、雇用カードも無ければ、ガラスも無い。しかし、雇用カードが置かれ、投資が始まると、ここに、オレンジ、ピンク、黒のキューブが沢山置かれ、起動アクションができるようになる。


本社工場の4つのスペースのうち下2つは、カード列の起動ではなく、「輸出」部門と「投資」部門です。

輸出は、影響力コストを払って、輸出カードを買います。これには、輸出するガラスの種類(あるいは小物製品)が1〜3書いてあり、このガラスを用意すると、終了時VPとなります。ただ、1枚ずつVPになるのではなく、ポルトガル行き、イギリス行き、植民地行きの3種類があり、このセットだとVPが大きくなります。例えば、行き先2種類のカードに合計5個のキューブだと5×2=10VPとなります。MAXは、カード3種類集めてキューブ9個つまり27VPです。そしてこういうセットは何組作ってもOKです。

↑ 左が輸出カード。影響力を払う。右が投資カード。お金を払う。どちらも、透明ガラスを1つ取ってから購入。ガラスが無ければアクションできない。VPトラックの下にフランス軍がいる。ラウンドごとに5マスずつ進んでくる。


投資が、このゲームのポイント。カード列の起動だけでは儲けが小さく、このゲームの資源であるお金と影響力は、うまく回らなくなります。投資カードには、オレンジ、ピンク、黒のキューブが1〜2個書かれていて、即ではなくラウンド終了時にまとめて貰えます。そしてこのキューブを、任意の「小工場」のスペースに自由に分配して、影響力、お金、小物製品、追加アクションなどを貰います。この投資のキューブは、使い切らないといけません。自分のリザーブのガラスキューブに加えてはいけません。

この仕組みによって、スタート時物理的に使えなかった4つの小工場のカード列の起動が行なえるようになります。本社工場の起動と全く同じで、ガラスを取って、そのカード列を起動します。この時、オレンジやピンクや黒キューブが手に入るわけです。

そして、手元の投資カードは、ラウンドが終了するたびに繰り返し使えます。ただし、投資は、森林破壊と水質汚染を伴います。「オレンジキューブ2個」とか「3VP」などの強い投資には、「森林トラック−1」や「水質トラック−1」のアイコンがあり、投資を行なうたびにトラックが下がって行きます。この2つのトラックは、15→7→0VPと超極端なので、終了時最悪でも7VPはキープしなければなりません。それ故、後半は、投資できない場合があります。


VPは、親方VP、輸出VP、森林・水質トラックVP、個人ボードの穴開けVP。個人ボードのVPは、残った影響力1につき1VP、残金2金につき1VP、残ったガラス2個につき1VP、小物製品3種のセットコレクション1セットにつき5VP。勿論、どれも、ディスクを開放していないと貰えません。

↑ スタート時の個人ボード。投資や輸出を置いてみた。実際は、ディスクが沢山外されている。この輸出の場合、3種類揃って、コストキューブは計7個なので、終了時7×3=21VP入る。投資は、序中盤なら、この5枚全部できて、ラウンド終了時に、合計7VPとオレンジキューブ3個とピンクキューブ2個と黒キューブ1個貰って、全て小工場に自由に分配してボーナスを貰う。そして、森林トラック−2、水質トラック−2となる。もし森林トラックがこれ以上下げられなくなった場合は、左の縦一列だけを辞めて、右の列、1オレンジ1黒+3VPの投資だけすることができる。水質−1だが。


ラウンド終了は、本社工場の4つのスペースのうち2スペースのガラスが空になった時。この時、フランス軍が襲って来て、生産は一旦中止。投資や輸出のフェイズになります。空になったスペースにはガラスを補充しますが、だんだん補充数が少なくなっていくので、ナポレオンとぶつかる機会が多くなります。誰かのVPマーカーが、VPトラックを反対方向から進むフランス軍のマーカーとぶつかった時終了フラグです。


考察

◾️親方を置くだけでVPが入る。特に、一番上の小工場にカードを置けば、簡単に5VPが手に入る。下の工場のカード数未満しか上の工場には置けないというルールはあるが、すぐに効果で、同数はOKとなる。そうなると、誰かが中段の小工場3VPの列に置いた瞬間、5VPの列にカードを置くことができる。ただし、上の工場になればなるほど、投資キューブが置かれにくくなっており、起動できる可能性は一番低い。

◾️新しいカードを取って親方を置く代わりに、誰かが置いたカードの親方の下に(ディスクマスがあれば)弟子としてディスクを置くことができる。起動すれば親方同様そのボーナスが入る。「森林トラック1上がる」「水質トラック1上がる」のカードボーナスは非常に助かるので、弟子入りする価値は大いにある。ただし、終了時、その親方に1VPが余分に入ってしまうのと、当然ながら自分には親方VPは入らない。

◾️序盤、優先してディスクを空けたい効果は、「公開の人物カードカット」「輸出・投資カードの1枚をカット」「下の工場と同じ枚数でも上の工場に置ける」あたりだろう。特に「輸出・投資カードの1枚をカット」は、次の効果が「コスト−1金または−1影響力」なので、早めに空けたい。終了時VP系統は、急ぐ必要はない。

◾️ただし、影響力トラックの5、10、15、20マス目にあるディスクは、オレンジキューブの投資カードを取ったら、早めに外さないといけない。例えばオレンジキューブ4個投資すると8影響力にもなる。ディスクを取らないと影響力が足止めを喰らって大損してしまう。そして、このオレンジ投資は、簡単に20近くまで上げられる。1影響力=1VPとなるので、戦略の一つだ。

◾️安全な投資をするなら、「1キューブ+1VP」というタイプの投資カードがオススメ。森林・水質トラックをマイナスにするアイコンも無く、終盤、投資できないということもない。ただ、大儲けするのなら、森林破壊と水質汚染をしながら、トラックの回復を行なう戦略だ。

◾️実は、小工場のオレンジ、ピンク、黒キューブは、起動する時、1つではなく、2、3個まとめて取ることができる。それには、個人ボードのディスク「2」や「3」を開放しておくこと。特に3個(以上)まとめて取った時は、投資部門や輸出部門のガラスが空になっても、そのアクションが打てるという特別ルールが使えるようになる。

◾️輸出カードは、キューブコストが3個など多いものを選びたい。当然、終了時VPが大きくなるから。キューブはそれなりに貯まるはずなので、コスト1個などの簡単な輸出品は避けたい。


総じて、危ういバランス笑。特に、3VPの工場の上に即5VPのカードを置けるという、これが正攻法だとしたら、次手番の人が置くという「お約束」になります。

まあ、5VP親方戦略が必ず勝つというわけではありませんし、ゲーム自体は友達にも好評。この不思議なバランス感覚、気持ち悪さが、なんとも言えずに面白いと笑

確かに、作りは、起動といい、弟子制度といい、小工場のアクションスペースといい、他プレイヤーの半協力要素ばかりでできています。これは新鮮味があります。

このゲームもbgg4.0となっていますが、最近の重ゲーは、とにかく半協力要素が含まれている物が多いですね…


※ レビューにご感想・ご不明な部分等ございましたら、ご遠慮なく下にコメントください🙂

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