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オラニエンブルガー運河Sato39さんのレビュー

852名
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10ヶ月前

《産業革命をテーマにしたウヴェらしい中毒性の高い渋いパズルが魅力!》

ウヴェ・ローゼンベルクの作品はどれも「玄人好みの渋いユーロゲーム」という印象を持っている。そんな彼の最新作「オラニエンブルガー運河」をソロプレイしてみたのだが、いつも以上にストイックな玄人好みの渋さを感じるタイプで心折られそうになるものだった。しかし、すぐにリプレイしたくなる中毒性のあるパズル感が非常に魅力的に感じたので、その独特なプレイ感をお伝えしたい。

なお、今回はソロプレイの印象であり、2人プレイではプレイ感が違うかもしれない。こちらは今後試してみて追記したい。


まずはいつも通り「オラニエンブルガー運河」を調べてみた。非常に情報量が少なく間違っている箇所もあるかもしれないが、その点をご了承いただき楽しんでいただければと思う。また今回も長文レビューとなっているので、最後の感想だけでも読んでもらえたら嬉しい。


【オラニエンブルク】

オラニエンブルク(Oranienburg)は、ドイツのブランデンブルク州の都市で首都ベルリンの北約35kmに位置しており、ハーフェル川(Havel River)の沿岸にある。もともとはベッツォウ (Bötzow) という12世紀に作られた町で、ブランデンブルク辺境伯アルブレヒト1世がハーフェル川沿岸に城の建造を命じ、この城の周りに商人や職人が集まるようになったのが始まりだとか。

1646年、時のプロイセン公フリードリヒ・ヴィルヘルム(大選帝侯)はオランダ王家であるオラニエ=ナッサウ家の長女ルイーゼ・ヘンリエッテ・フォン・オラニエン(Luise Henriette von Oranien)と結婚した。そして狩猟旅行の際にベッツォウの町に立ち寄ったところ、ルイーゼはすぐに故郷のオランダを思い出し、その風景に魅了されたという。

1650年、フリードリヒ・ヴィルヘルム侯がこの町を彼女にプレゼントすると、彼女はオランダ様式の城の建築を命じた。1652年、この城は選帝侯によって「オラニエンブルク城」と名付けられ、翌年にベッツォウの町は「オラニエンブルク」と改名される。

(参考:WIkipedia「オラニエンブルク」

オラニエンブルク城: flickr by rey perezoso


【ドイツ産業革命とオラニエンブルガー運河】

19世紀前半のドイツ連邦は各邦国が主権国家として独自の政治と経済政策を持ち、相互に関税を掛け合うなど、統一的な経済圏として発展する基盤に欠けていた。そのため、産業の発達、工業化も遅れ、イギリス工業製品を一方的に輸入し、輸出は依然として小麦などの農作物であるという状態が続いていた。

そのような状況の中、プロイセン王国は1834年にドイツ関税同盟を結成して、同盟国間の関税を廃止することで自由通商に踏み切り、ようやく工業化の端緒をつかんだ。これによりラインラントを中心に工業化が進み、ようやくドイツも産業革命の段階となる。

工業化の波は当然のようにオラニエンブルクにも押し寄せ、徐々に工場や商業施設が建設されるようになった。しかし、オラニエンブルクの工場周辺は輸送環境が劣悪だったため、輸送通路として1832年から1837年にかけてハーフェル川の人工的支流となるオラニエンブルガー運河が作られた。

現在のオラニエンブルガー運河の南セクションは遊覧船に使用されている。 Wikipediaより引用

この運河は古いルッピナー運河を分断したため4方向に分かれた運河が生まれ、多種多様な商業・工業企業がこの重要な運河の周りに拠点を構えることになった。さらに道路や線路を介した新しい交通網も建設されることになる。


【ドイツ産業革命の特色】

18世紀後半にイギリスで始まった「綿工業での機械の発明、蒸気機関の出現とそれに伴う石炭の利用」という生産技術の革新とエネルギー変革を第1次産業革命というが、それに対して19世紀から20世紀初頭に起こった、重化学工業の成立と石油エネルギーへの転換を第2次産業革命という。

第1次産業革命が木綿工業を中心とした軽工業から起こったのに対して、第2次産業革命は鉄鋼・機械・造船などの重工業、そして石油資源を利用した化学工業という重化学工業部門での技術革新から始まっているという点が違う。また、第1次産業革命はイギリスから始まったが、第2次は19世紀のドイツアメリカの産業革命において顕著な発展を見せた点も異なっている。

ドイツでは、綿織物などの軽工業はすでに高度な工業化を遂げていたイギリス製品に太刀打ちできなかったため、最初から製鉄、機械などの重工業に力を入れ、また鉄道や道路建設を私企業ではなく国家的事業として推進した。つまり、ドイツは第1次産業革命を経ることなく重工業部門を中心とした第2次産業革命から始まったと言える。

アメリカでは、「鉄鋼王」と言われるアンドリュー=カーネギーが登場し、アメリカ鉄鋼業の4分の1を支配する独占企業に成長させた。彼は引退後にカーネギー財団を設立して社会事業に取り組んだことでも有名である。またジョン=ロックフェラーは石油会社を設立すると、同業者を次々と買収して一大トラストを形成し、アメリカ石油業の9割を独占し「石油王」と呼ばれた。

(参考:世界史の窓「産業革命」


【ボードゲーム「オラニエンブルガー運河」とは】

つまり、本作はドイツ産業革命という大きなテーマを、オラニエンブルクという小規模な地域にスポットを当て、その独特な運河や鉄道などの交通網を構築することにより表現したボードゲームなのだと理解できる。

産業革命をテーマにした有名なボードゲームを挙げると以下のようなものがある。

  • 第1次産業革命(イギリス): ブラス・ランカシャーブラス・バーミンガム
  • 第2次産業革命(アメリカ): カーネギー
  • 第2次産業革命(ドイツ): オラニエンブルガー運河

これらの作品と比較すると、「オラニエンブルガー運河」はやや異色な作品に見えるが、これはウヴェ・ローゼンベルクらしいミクロな視点から産業革命を取り扱っているからだろう。「アグリコラ」や「アルルの丘」などの彼の作品を振り返るといつも身近な存在を題材としており、非常に親しみやすいテーマと辛口の渋いリソース管理が特徴的だ。

今回はこのウヴェ・ローゼンベルクらしい渋くてパズル感の強い本作の魅力を探ってみたい。


【ゲーム概要】

テーマはドイツ、ブランデンブルク州に建設されたオラニエンブルク運河。プレイヤーは4x3マスに区分けされた産業ボード上に建物を建築していき、その周囲に小道、道路、鉄道、運河を建設する。

基本システムはワーカープレイスメントで、7つのアクションスペースにディスクを置いてアクションしていく。アクションは1ラウンドに1回のみで、以下のようになっている。

  1. 建造物を1つ建設し、小道か道路を1本敷設する。
  2. 建造物を1つ建設する。
  3. 小道と道路を合計3本まで敷設する。
  4. 任意の経路(小道道路鉄道運河)を2本まで敷設する。
  5. 木材を4つ得る。
  6. 木材3つ/粘土3つ/鉱石3つのいずれかを得る。
  7. 粘土を4つ得る。

ソロプレイでは1ラウンド4アクションで、7ラウンド終了時の得点を競う。2人プレイでは1ラウンド5アクションで建物カードがなくなったらゲーム終了、勝利点の多いプレイヤーが勝利者となる。


【カツカツの資源は苦しいが、中毒性の高い渋いパズルゲーム!】

最初、文字と効果の書かれたカード建物の見た目から、ウヴェ氏の中量級傑作「ヌースフィヨルド」の類似ゲームを想像したのだが、プレイ感は全く違った。

産業ボードと呼ばれる個人ボードには12の建造物スペースと31の経路スペースがある。ここに建物を建設し、その周囲に経路を構築していくのだが、建物周囲にある4つの経路(小道道路鉄道運河のいずれか)が構築されると建物効果が発動する。また建物に2つの橋が架けられた場合も効果が発動する。

当然、建物の効果なくして高得点は期待できない。そのためどうにかして建物を建設して周囲を埋めたいのだが、資源が足りない!資源を獲得するアクションもあるのだが、アクション回数が限られており建物を建設するアクションが出来なくなるため、どうにかして建設済みの建物を利用してリソースを獲得したいのだが、なかなか思うようにいかない。

このカツカツさがウヴェさんらしい渋いリソース管理であり、また何とか上手く出来ないものかと苦心するところもまた彼らしいパズル要素を感じる。最近のゲームによく見られるような、資源がどんどんインフラして好きなことをして何でも点数が入るようなゲームではなく、少ないリソースを何とか絞り出しながら唸るようにプレイする渋いゲームなのだが、総じて非常に上手く仕上がっている印象だ。


【アクションは7つだが簡単に理解できる!】

アクションボードには実行できるアクションスペースが7つ用意されている。7つは多くて難しいように感じるかもしれないが、上段が建物や経路の建設下段はリソース獲得と覚えると非常に簡単だ。

つまり基本的には下段のアクションでリソースを獲得して、上段のアクションで上手く建物の効果が発動するように建物を建設していくシンプルなパズルゲームなのだが、高得点を獲得するのは意外なほど難しく挑戦しがいのあるものとなっている。またソロプレイの時には赤い制限ディスクが邪魔になり、これも戦略性を高める効果があり面白い。

また上段のアクションスペース3箇所には建物カードが時代ごとに並べられている()。徐々に強力な効果や勝利点を持った建物が現れるだけでなく、建物カードが無くなったアクションスペースにはアクションが追加されるため、緩やかにゲーム展開が加速するように設計されている。これはうまい仕掛けと感じられた。


【資源ホイールは非常に効率が良くソロゲーム向き!】

このゲームの資源は5つ。
基本資源3つ(木材粘土鉱石)と重要資源2つ(レンガ)だ。
本来ならゴチャゴチャした資源管理となるところだが、ウヴェさん得意の資源ホイールを用いることにより、非常にシンプルに仕上がっている。

基本資源と重要資源は、ホイールにより2箇所に分けられ決して交わることはない。つまりホイールを反時計回りに回転させると基本資源が一つずつ消費され、重要資源が一つずつ生産される仕組みとなっている。見た目にも面白く、資源を非常にシステマチックに管理できるホイールは慣れると非常に使い勝手が良いと感じる。

これはおそらくデザイナーがテストプレイを繰り返す中で効率的な資源管理を追求した結果生まれたものと思われ、ゲーム全体をスッキリとシンプルかつスピーディにしており、リプレイ性を損なわない工夫なのだろう。

最近のボードゲームはソロモードを用意してくれていることが多いのだが、準備に時間がかかるとどうしても億劫になってプレイしなくなってしまう。そういう意味で、準備や手順がシンプルであることはソロゲームにおいて非常に重要な要素であり、このゲームのシンプルさはソロでリプレイするのにとても適していると感じる。


【リプレイ欲をそそられるスコアアタック!】

上記の通り、ソロプレイでは7ラウンド終了時の得点でスコアアタックを行う。ルールブックには以下の通り記載されているので、これを目安にプレイすると良いだろう。私も早速プレイしてみた。


【参考:ソロゲームのスコア】

プレイ1回目(Aデッキ)

初めてのプレイでは、巷で「オラニエンブルガー語」と揶揄される少々難解なアイコンの解読に難渋して、あまり効率の良いゲーム展開とはいかなかった。リソース管理に苦しみ、また経路のマイナス点に気付かず、(−10点)のペナルティも受けたため点数は伸びず、81点

かろうじて80点は超えたものの、このゲームの難しさを実感する結果となった。


プレイ2回目(Aデッキ)

2日後、悔しかったのかムラムラともう一度チャレンジしたくなりAデッキを再チャレンジ!
今度は経路のマイナス点を出来るだけ回避できるように小道でも何でも良いので埋めるようなプレイを心がけたところ、結果は101点

マイナス点を(−4点)に抑え、邸宅(15点)や祭事会場(12点)といった高得点の建物を頑張って建設できたことで点数を伸ばすことが出来た。しかしこれでも120点の壁を越えられていない。どれだけ奥が深いんだ。(・_・;

ネットでは120〜130点を獲得している上手なプレイヤーもいるので私が下手くそなだけかもしれないが、次はもっと上手くプレイ出来るような気がして、今もまたリプレイしたい欲が沸々と湧いてきており、何度でも挑戦したくなっている。くそ!もう一回だ!w


<良いところ>

  • カツカツのリソース管理と深い戦略性がゲーマーには堪らない。
  • スコアアタックが熱く、リプレイ欲を掻き立てられる。
  • 資源ホイールによるシンプルなセッティングや膨大なカードセットによる高いリプレイ性。

<悪いところ>

  • シンプルなカードデザインによりテーマ性が薄く感じられる。
  • 「オラニエンブルガー語」と揶揄される難解なアイコンが最初は分かりづらい。

<説明書&対象>

説明書:16ページ。各デッキのカード解説は別紙あり。
プレイ時間:120分(ソロプレイ)、アイコンの解読に時間がかかった。慣れるともっと早く出来そう。
BGG Weight: 3.17(2023/4/27現在)

おすすめの対象は、「苦しいリソース管理と高い戦略性が好きなソロゲーマー」だろうか。特にアグリコラなどが好きなゲーマーならとても楽しめると思われる。


【感想】

これはとても病みつきになる中毒性の高い素晴らしい作品だ。最初は建物名とアイコンだけの愛想のないカードからテーマ性の薄い没入感の低いゲームを想像していたのだが、すぐに夢中でプレイしている自分に気付いた。とにかく資源管理が難しく、また数ラウンド先に建てる建物の場所やタイミングなどを緻密に計算しコントロールする戦略性の深さに虜となっている。

最近のゲームに見られるような、資源がジャブジャブ手に入り何をやっても勝利点に繋がるような気持ちの良いプレイ感では全くないが、場に並んだ建物カードをじっと見つめ、将来でき上がる産業ボードを夢想しつつ、ウンウン唸りながら資源ホイールを回していく静かな時間もまた至高と感じる。

まだソロプレイのみであるが、2人プレイでもあまりプレイ感は変わらない気がしている。ただアクションが制限されると同時に、欲しい建物の取り合いになるため、より厳しい条件下でのプレイとなるだろう。こちらはまた2人プレイをした際に追記しようと思う。

広く万人にお勧めできるゲームでは決してないと思うが、カツカツの資源管理に苦しみ、数ラウンド先の建造物を計画する渋い戦略性に魅力を感じるゲーマーなら、病みつきになるほど中毒性の高いこの作品をソロでずっと遊べるゲームとして棚に並べて置きたくなるのではないだろうか。

薄いテーマ性と渋いゲーム性により賛否両論ありそうな本作だが、私はとても気に入っている。テーマ性を重視する傾向のある自分にとっては意外なのだが、しばらくスコアアタックに夢中になりそうだ。「もしかしたらソロゲームの定番として長く愛されるのではないか」それほどの魅力を持った作品だと感じている。おすすめです。

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