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  • 3人~5人
  • 40分~60分
  • 13歳~
  • 2017年~

箱庭鉄道YYYKKKさんのレビュー

1549名
4名
0
約7年前

内容をまったく知らずに雰囲気とコンポーネント買いしたらめちゃくちゃおもしろくて何度もやってます! 

という友人のすすめでプレイしてみました。

このゲームは,この箱庭のような六角形の土地の中の鉄道会社にプレイヤーが株式投資をするゲームです。

それだけ聞くと,ヘビーな鉄道や電力会社の経営ゲームですが,このゲームでは,それらのヘビー級経営ゲームから細部を切り落とし,密度をどんどん濃くして見た目もシステムもまさしく「箱庭」,という感じに仕上げてあります。

ここでいう,「密度が濃い」とは,

  • 一つのトークンやプレイスペース,プレイヤーの行動が複数の意味や副作用をもっている
  • それによって多くの相互作用と情報量が圧縮されて提供されている

を指しています。この点を中心に,簡単にシステムの説明をします(インストではないので細部ははしょります)

プレイヤーの手番は,プレイヤーボード(写真左)の各自の色のポーンの列の中の位置で表されます。ポーンは2つありますので,1ラウンド中,プレイヤーの手番は二回来ます。この2回の手番では,株式を買う,鉄道を敷く,のアクションが1回ずつできます。

円盤は毎ラウンドランダムに出現します。手番が回ってきたプレイヤーは自分のポーンでどの円盤をとるか決めます。円盤を取るという簡単な1アクションから次の作用が生まれます

  • 取った円盤の色の株式を買う
  • 同じくその色の鉄道を伸ばす(鉄道か株式かは選択)
  • 次のラウンドの手番が決まる
  • (終盤の手番だけ)「優良な株式」かどうかの選択を行う

4つです。多いですね。密度高い!
円盤を株式とみなす場合は,自分の株式ボードへ。鉄道にする場合は,マップの上のすでに置いてある同じ色の鉄道につなげて敷設します。鉄道を敷く地面には赤と白の数字アイコンが書いてあります。白地に敷設したらその数だけ,全員が持ってるその色の株が上がり,赤地なら下がります。
円盤の数はポーンの数よりひとつ多く出てきます。そのラウンドで誰にも選ばれなかった余った一色は,プレイヤーボードの上部(写真だと黄色と赤の円盤)に置かれていきます。これは「人気のない鉄道」ということですが,逆に投機対称ではない優良企業ということになり,ボーナスがつきます。ここも密度が高いですね。
6ラウンド行って,持っている株の価格の合計が高い人が勝利します。

以下,感想を述べます。

まず,間違いなく良いゲームです。牧歌的な見た目ですが,

  • 一番に出ないように気をつけながら
  • 他のプレイヤーと株式を持ち合うことで利害を分かち合い
  • 利害を共通する他のプレイヤーが自分に有利に動いてくれるように仕向けて勝つ!

書いてみると結構ガチガチの経営ゲームです。コンポーネントや雰囲気も確かに良いし,「箱庭で鉄道」という風景にもワクワクします。その上,こんなに簡単に,鉄道ゲーム,経営ゲームのエッセンスを味わえる。いいことづくめです。

このゲームの目指したところは,鉄道経営ゲームを,ライトに,できれば子供でも楽しめるようにしたい,というところではないかと推測します。そのために「鉄道経営ゲーム」を成立させる要素をギリギリまで削り落とし,それでも残った要素を,さらに圧縮することで簡略化し作り上げたシステムなのだと思います。

素晴らしい仕事だと思うのですが,半面,システムを圧縮することの難しさも強く感じます。

「密度が高い」の反対は「冗長」です。「冗長」と聞くと悪い感じがしますが,ゲームにおいては,冗長さはリアルな何かをシミュレートしている場合が多いです。そしてこの「何かのリアルさ」が,プレイ時の感情をつくり,体験を生み出す場合も多い。パッと思いつく例を上げると。。

- アクワイアではホテルはアメーバ並に抽象化されてますが,ホテル名や,株券やお金は無駄にリアルです
- サイス/大鎌戦役 はプレイヤーボードはめちゃくちゃ圧縮が効いていてますが,ミニチュアやマップは豪華かつ細密です
- マネー は,お金でなくてもいい競りゲームですが,各国のお札がリアルなので,何か為替操作をしているような気になります

最近意識に上がりやすいゲームからパッと思いついた例なので,ちょっと偏ってますが,言いたいことはつたわるかと思います。

そして,本ゲーム「箱庭鉄道」については,圧縮をきかせすぎて,感情移入するための「冗長さ」を削り落としすぎなのではという印象を持っています。

例えばですが,各色の鉄道会社にそれっぽい名前やロゴをつけ,それぞれに株券を模したカードがある,とか。鉄道会社に何か,歴史や実在を感じさせる情報をちょっと足すとか,してくれたら,と思います。それこそ冗長の極みですが,(僕には)感情想起の起点にはなります。

このゲームをプレイして,「システムの圧縮の素晴らしさと難しさ」について,考え込んでしまったので,そのあたりを長々と書いてしまいました。
総論としてはとてもいいゲームです!

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YYYKKK
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